金高:前述の通り、RX1にはフルサイズセンサーとゾナーT*という最高品質の組み合わせが惜しみなく搭載されています。それと同時に、その2つの組み合わせによる画質性能を最大限に引き出すための手段として一体設計、一体調整という考え方があります。一体調整は製造上のばらつきを抑えて設計値に近い光学性能を確保するための手段です。画面の中心にピントが合っている状態で、周辺の解像がよくなる位置にセンサー面が来るようにミクロン単位で調整することで、画面周辺部まで解像感を飛躍的に高めることが可能です。
天野:しかし何度も議論を重ねて、レンズ一体型設計の構想は着実に図面に落ちていきましたが、やはり実際は設計図通りにはいきません。なぜならカメラ一台一台で、部品にバラツキがありますし、レンズとセンサーの調整位置にもバラツキがでてしまいますから。その中で、レンズとセンサーの調整位置が一番いいポイントを、試作を繰り返しながら測定し、見極める必要があります。今回は、試作を続けながら、データをとり、画質を検証するという作業を量産前まで徹底的に行い、調整位置を割り出しました。しかしながら、最終的には機構設計の枠を越え、実際にイメージセンサーとレンズの位置が最適になるように調整して組み立てる製造事業所の協力が必要になります。