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Engineer's Voice 開発者の想い

すみずみまで解像せよ/一体型設計

35mmフルサイズセンサーを搭載しレンズ一体型設計によって最高画質を目指した、DSC-RX1。その開発の核心「レンズ一体型設計による画質調整」について解明する。

すみずみまで解像せよ/一体型設計

「レンズ一体型設計だからできた“最高画質”」

コア技術部門 光学設計部 金高 文和

金高:前述の通り、RX1にはフルサイズセンサーとゾナーT*という最高品質の組み合わせが惜しみなく搭載されています。それと同時に、その2つの組み合わせによる画質性能を最大限に引き出すための手段として一体設計、一体調整という考え方があります。一体調整は製造上のばらつきを抑えて設計値に近い光学性能を確保するための手段です。画面の中心にピントが合っている状態で、周辺の解像がよくなる位置にセンサー面が来るようにミクロン単位で調整することで、画面周辺部まで解像感を飛躍的に高めることが可能です。

コア技術部門 構造設計部 天野 高太郎

天野:しかし何度も議論を重ねて、レンズ一体型設計の構想は着実に図面に落ちていきましたが、やはり実際は設計図通りにはいきません。なぜならカメラ一台一台で、部品にバラツキがありますし、レンズとセンサーの調整位置にもバラツキがでてしまいますから。その中で、レンズとセンサーの調整位置が一番いいポイントを、試作を繰り返しながら測定し、見極める必要があります。今回は、試作を続けながら、データをとり、画質を検証するという作業を量産前まで徹底的に行い、調整位置を割り出しました。しかしながら、最終的には機構設計の枠を越え、実際にイメージセンサーとレンズの位置が最適になるように調整して組み立てる製造事業所の協力が必要になります。

「一台一台、イメージセンサーの位置を合わせる」

大島:レンズ一本一本の光軸の傾きと一個一個のイメージセンサー面の傾きを測定し、その位置調整は一台一台、訓練を積んだ組立作業者によって製造事業所のクリーンルームで行われます。レンズが傾いたまま、イメージセンサーが傾いたまま、そのまま組み付けると傾いたままになりますから、組み付ける時に、一台一台、画面中心から周辺まで良好な解像が保たれるように調整しています。非常に時間もコストがかかる製造方法ですが、RX1では最高画質の追求ということで採用しました。

システム&ソフトウェア技術部門 画質開発課 前田 喬行

前田:画質設計についてもRX1で採用されるフルサイズイメージセンサーはα900に搭載されていた物と比べ、約2.4倍(※)のダイナミックレンジを有しています。その性能を最大限活かして人間の眼で見たままの明暗差のリアリティーをいかに表現するかっていうことを突き詰めました。高感度側の画質についても、ノイズを極限まで抑えながら、鮮明な解像を発揮。また、ノイズ処理では、平坦領域やエッジ領域などの画面内の絵柄を判断して、その絵柄に応じて、最適なノイズ低減処理とシャープネス処理を行っています。これにより、解像感を保ちつつノイズを最小限に抑えた高感度撮影を実現しています。
※α900比