下北沢のレコードショップ「CITY COUNTRY CITY」店長、
平田立朗さんによる「ハイレゾで、聴きたかった10曲」。
高解像度なハイレゾ音源を、ヘッドホンでじっくり聴いてみると、
馴染み深い曲にも、思いがけない発見がありました。
後編も引き続き、平田さんにとって思い入れ深い
大好きな曲ばかりを、ハイレゾで聴いていきます。
これはまさしく超名盤。ブライアン・ウィルソンの鬼才ぶりが、いかんなく発揮されていると思います。シンプルに聴こえるけれど、とても重層的で深みがある。このヘッドホンで聴くと、音の細かいところまで浮き彫りになってくる印象でした。モノラル盤ならではの一体となった音は、ハイレゾで聴いてもやっぱり迫力がある。ずっしりと音に厚みがあって、モノラル盤の魅力が存分に感じられました。 レコード好きな人の中にも、最終的にはモノラル盤に行き着くという人が結構いますね。
パット・メセニーの演奏で知られる曲ですが、このアルバムではレディオヘッドのメンバーであるジョニー・グリーンウッドがギターを弾いています。ミニマル・ミュージックならではの催眠的な気持ちよさが、より助長されているようで、聴いているうちにどんどん深みにはまっていく印象。音の波動の中を漂っているような感覚で、ハイレゾの音質にはものすごく合っている気がします。
ディアンジェロは、このアルバムがリリースされて5年くらい経ってから聴き始めました。それまではロックばかり聴いていたので、自分ももう少し大人になってからというか(笑)。この一曲を聴いただけでも、才能に圧倒されますね。とくにハイレゾでは、ベースラインとドラムの分離や重なりが、とても気持ちいい。ヘッドホンで聴くとその快感が際立って、まるで耳が喜んでいるように感じられました。
このライブ盤はとくに音質がよかった。野太いベースをはじめとして、暴れるような演奏がダイレクトに聴こえてきて、めちゃくちゃカッコいいですね。それに、観客の熱気と混然となったアンビエンスもすごい。当時の時代感をはらんだライブ会場の空気まで、鮮やかに再現されている気がしました。こういうライブ盤こそ、ハイレゾで聴いてみる楽しさがあると思います。
曽我部(恵一)さんのこのアルバムは大好きで、これまでに何度も聴いているだけに、違いがよくわかりました。人柄というか、優しさというか、本人のもっている人間味がとてもよく表れている。ハイレゾの音源からは、そんな印象を受けます。個人的なつきあいも長く、アルバムができるまでの苦労も知っているからこそ、新たに発見できた深みや新鮮さに、ジワっとくるものがありました。
取材を終えて。ヘッドホンを通して聴いたハイレゾの音は、「聴き続けていても疲れない」。それは毎日欠かさず音楽に触れている平田さんにとって、うれしい驚きだったそう。繊細なニュアンスが再現されているからこそ、心地いい。その曲が録音された環境や瞬間のイメージも広がり、ミュージシャンの息づかいや人間味のようなものまで、生き生きと伝わってくる。大好きな一曲を聴き直してみることで、そうした発見ができたら楽しいですね。(Hi-Res 10 songs編集部)
前編はこちらからご覧いただけます。
※取材時にはハイレゾ対応のウォークマン「NW-A35」、ヘッドホン「MDR-1000X」で試聴しました。
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※音楽配信サイト「mora」で配信されている曲の中から選曲をしています。
※ハイレゾで聴く場合は「mora」で購入する必要があります。
※本ページに掲載している情報は2017年3月1日現在の情報であり、予告なく変更される場合がございます。
平田立朗(ひらた たつろう) 2006年、ミュージシャン・曽我部恵一さんとともに、下北沢に「CITY COUNTRY CITY」をオープン。レコードショップであり、カフェバーでもある同店の店長を務める。レコードのバイイングは、主にアメリカ・シカゴ。その他にDJや選曲など、音楽に関連した活動を続けている。
CITY COUNTRY CITY
http://city-country-city.com/
Edit by EATer / Photography by Kiyotaka Hatanaka(UM) / Design by BROWN:DESIGN
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レコードショップ「CITY COUNTRY CITY」店長がハイレゾで、聴きたかった10曲(前編)
音にこだわる下北沢のアナログレコードショップ店長平田立朗氏に、好きな10曲を選んでもらいハイレゾで聴いてもらいました。Hi-Res 10 songs vol.0 : ハイレゾ10曲
ハイレゾの魅力を確かめるには、自分の好きな曲を聴いてみるのがいちばん。このシリーズでは、音楽とともに生きるさまざまなプロフェッショナルたちに、「ハイレゾで聴いてみたい10曲」を選んでもらい、実際に試聴していきます。音楽と人との絆をつなぐヘッドホン~新・モバイルミュージックライフ~
今回紹介するのは、これまでのヘッドホンでの音楽体験を一変させるかもしれない、ユニークな機能。食事は“音”でもっと豊かに。音も調味料にする「ハイレゾダイニング」
今回、大人のソニーでは、音と食事の体験の関わりに注目。料理に新たな体験をもたらすチャレンジを続ける2人のシェフに、音と料理のペアリングを試していただきました。