「楽曲を提供するようになった当初は、クライアントの存在や作品の向こうで待っていらっしゃるオーディエンスのことを考えることが、すごくプレッシャーでした。でも今はプロデューサーであるもう一人の自分がいて、自分自身を俯瞰的に見ながら曲を作ったり楽曲を振り分けたりできるようになりました。ただし、アニメ作品のタイアップ楽曲を作る際は意識も作り方も違いますね。アーティストさんと相談もしますし、楽曲に何を求められているのか、何を考えて私に発注してくださったのか。それをしっかりと読み取れるまで、その監督さんの過去作品を全て観たり、脚本を読み込むことは怠らないようにしています。
そこから先は、頭を使って作るのではなく、まるで一筆書きのように曲を一気に書き上げます。曲が生まれる時の初期衝動、ファーストインプレッションを大事にしないと良い曲が書けないので。その瞬間は感動で鳥肌が立つほどです。作った曲で感動ができるかどうかを一番の指標にしています。これは音楽に限ったことではなくて、商品やプロダクツに対しても同じ。ファーストインプレッション、直感を大切にして選ぶようにしています。イヤホンも同じで、音を聴いた瞬間の感動で選んでいますね」