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商品情報・ストアヘッドホンスペシャルコンテンツ MDR-NC500D 開発者インタビュー

ノイズキャンセリングヘッドホン 「MDR-NC500D」開発者インタビュー

  • 01. 15年前から実現を切望してきたノイズキャンセリング機能のデジタル化
  • 02. アナログを超えたデジタル そのキャンセル性能と音質
  • 03. とことん軽量化にこだわり装着性を追及した「MDR-NC500D」
  • 04. この開発チームだからこそ実現できたノイズキャンセリングヘッドホン「NC500D」

03. とことん軽量化にこだわり装着性を追及した「MDR-NC500D」

石田   設計するにあたって最初にしたことは、前のモデルや「NC500D」に近いヘッドホンをバラして、部品1点1点の重さを計測することでした。それをコツコツと表にまとめて、そこから「NC500D」で構成されるある程度の部品を選び、重量を概算したんです。それでも当初は220gぐらいありました。
そこから、この部品は重過ぎるから20%削減しよう、この部品の壁を薄くしようなど、機能や性能をちゃんと果たせるように軽量化の工夫をしていきました。今回はリチウムイオンバッテリーを使うということもあり、前のモデルと比べても重くなってしまう。そのため部品ひとつひとつまで目を配り、それが1g、2gの単位であっても削れるところは削っていきました。部品点数は電子部品以外だけで120点以上になるのですが、チリも積もれば山となるで、その積み重ねの結果195gまで軽量化することができました。

角田   また今回は、ハウジングとそれを支えるイヤーハンガーにマグネシウムのチクソモールド、ヘッドバンドの金属部分に超々ジュラルミンと、軽くて剛性のある材料を使っています。

石田   実は、ソニーのヘッドホンでハウジング部分にマグネシウムを使ったことはなかったんです。今まではプラスチックがほとんどで、厚さが1.5mmありました。これをマグネシウムにすることで、約0.6mmまで抑えられる。これだけで重さに換算すると20%は軽くなる。ハウジング自体が10gぐらいありますので、片方で2g、左右で4gも軽量化されるんです。ただマグネシウムは扱いづらい素材でもあるので、ハウジング部分に使うのには苦労しました。

角田   ちなみに、ソニーのヘッドホンでマグネシウムを素材として使い始めたのが、1997年に発売した「MDR-F1」というヘッドホン。その頃は薄さが1mmだったんです。次にマグネシウムを使ったのが2004年の「QUALIA 010」。このとき初めて0.8mmまで薄くすることができるようになり、これはすごいなと思いました。それが今や0.6mmですから。
強度の面から考えると1mmの薄さだとプラスチックに比べて優位性が出ないんですが、0.8mmで同じぐらいの性能になる。つまりこの時点までは細い部品などマグネシウムでしか実現できない、使わざるを得ない部分だけに使う素材だったんです。それが今回、0.6mmまで薄くすることができるようになり、プラスチックよりも明らかに軽い部品として使えるようになった。これは我々としても初めての経験でした。

鬼頭   それでも満足がいかないのか、石田からはもっと小さくならないか、もっと軽くならないか、基板ももっと小さくしてくださいと言われました(笑)。でもどうしても、音質を考えた場合小さくできない部分もありますからね。

石田   でも基板は初期に比べてかなり小さくなりましたよね(笑)。

角田   石田は大変厳しい男で、あるとき私が呼び出されて、『ドライバーユニットのこの部分をプラスチックにしてください、そうすると3.5g軽くなります』と。今までも音響的な理由でドライバーユニット自体の設計を新しくすることはあったのですが、この場合、品質の安定等の理由から、実績があり流用可能な部品については極力流用するポリシーでやってきましたので、軽量化のためだけにドライバーユニットの部品を換えるということはほとんど考えていませんでした。一度は断ろうとしたのですが、『1個で3.5g、2個で7gも軽くなるんです』と、シミュレーションまで見せながら真顔で説得されまして、分かりましたと(笑)。「NC500D」のために、ドライバーユニットの部品も全て新しくすることになったんです。

板橋   でもその甲斐あって本当に小さく、軽くなりました。試作機は『これ外箱かな?』って思うぐらい大きく、それこそ開発初期のものは大きな機械を三段積んで、ワゴンに乗せて運んでいたぐらいですからね(笑)。

角田   社内のデモンストレーションでもガラガラとワゴンで運んで、皆から『これのどこがヘッドホン?』って聞かれ、『これ全部がヘッドホンなんです』と答えていましたから。皆、半信半疑だったんじゃないでしょうか(笑)。

鬼頭   「NC500D」は、100Hz以下の超低域のキャンセル量というのが非常に優れていて、今までノイズキャンセリングヘッドホンを着けると、耳がツーンとなるようなところが改善されています。また100Hz以下のノイズは音というより、振動や圧迫感という感じになるのですが、これがすごく軽減され、飛行機や新幹線などで長時間使用しても疲れが少ないんです。

板橋   あとは、ヘッドバンドのスライダー部分にコードが入っているのですが、通常は3本ぐらい、多くても6本でした。でも「NC500D」にはその倍の12本も入っている。最初聞いたときは、それは絶対無理だろうって思いました。

石田   スライダーの中をカールさせながら、伸縮もできる新しいコードを開発したんです。もうこれがないと「NC500D」は成立しなかったと言ってもいいぐらい。そういった新しい素材や部品の開発、極限までの軽量化のすべてが「NC500D」には詰まっています。

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