美術家。1980年代後半より美術作家として活動を始める。98年から展覧会などでサウンド・パフォーマンスを開始し、蛍光灯を使用した自作音具「オプトロン」を制作。現代美術側からの音あるいは音楽へのアプローチを続け、世界的な評価を確立する。個展やソロ・パフォーマンスのほかに、数々のユニットでも活動。
もともとは美術畑の人間です。その表現手段のひとつとして蛍光灯を使っていたんですが、蛍光灯が発光するときに出てしまう放電ノイズを増幅/コントロールする事を表現に取り込みました。生活面においては必要ではないものを増幅させてみたら面白かった、という(笑)。それを機にオプトロンという自作音具に発展させてパフォーマンスを行っています。視覚と聴覚、両方が活動の領域と言っていいでしょうね。
普段は、移動中にヘッドホンで音楽を聴いていますね。移動中の電車の中で、景色を見ながら自分のアルバム用に録音した音のチェックを行ったりする。すごくアナログな方法なんですけれど。
実はコードレスのヘッドホンを試すのは今回が初めてなんです。今までは有線のものを使ってきたんですが、音楽を聴きながら作業に集中していると、ふとした拍子に手をひっかけたり、コードの範囲以上に動いたりしてトラブルが起きる。コードが切れちゃったりしてね。ものすごく悔しいんだよね(笑)。これならばそういうことはなくなりますね。
このXBA-BT75はどれくらい離れても聞こえるのかな(再生機から徐々に離れて部屋の端まで移動)。おっと、こんなに離れても大丈夫なんだ!! しかも動きやすいね。ここまで電波が届く範囲が広いとは思わなかったな ※注1。これは面白い!
音質もいいですね。レンジが広くてニュートラルな音がする。自然で、再生機器の音をそのままに耳に届けてくれているように思う。ある特定の音域を膨らませてあったり、癖のあるヘッドホンも多いんだけど、このXBA-BT75は音楽家が届けたい音が、過不足無くクリアに聞こえてきています。人間の耳の性能の素晴らしいところは、音にフォーカスができることです。いろいろな音のなかで、聴きたい音を聞き分けられるんですね。よって本当は再生環境に癖はないほうがいい。音楽を提供する側にとっても、このほうが嬉しいですね。その意味でこのXBA-BT75は、かなりニュートラルな音質を実現していると思います。
最近の傾向としては、聞こえる部分だけを強調し、聞こえないとされる部分をオミットしてしまうということがあると思います。でも「聞こえない」とされる部分も意外と大切なんじゃないかな。たとえばこうして部屋の中で話していても空調の音が聞こえています。ヒトの「自然」な音環境というのは、不必要だと思われていたり、耳がフォーカスしていない音も含めてのものなんですよね。
やはりコードレスであることが大きい。有線と違って、再生機器を気にすることなく音楽を聴きながら動けること、これはとても大きなメリットです。いろいろな作業をしながら使ったり、移動中に使うのが一番便利な使い方ではないかと思います。
そして僕のような人間にとっては、このヘッドホンにはさらに新しい使い方や楽しみ方があるように思うんです。たとえばダンサーには便利に使えそうな気がするし、きっとほかにもいろいろな使い方が考えられるような気がする。いろいろ試してみたいと思います。そもそも僕のオプトロンも、蛍光灯本来の機能とはちょっと違うしね(笑)。