特撮マンとして様々な作品に参加する。特撮監督として平成『ガメラ』3部作、『さくや妖怪伝』、『修羅雪姫』、『ピストルオペラ』など多数に関わった後に映画監督としてデビュー。なお、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(1997年)にも絵コンテや脚本で参加。代表的な監督作品に『ローレライ』、『日本沈没』、『隠し砦の三悪人THE LAST PRINCESS』。『巨神兵東京に現わる』、『のぼうの城』(犬童一心と共同監督)など。最新作として『進撃の巨人』の映画版が2015年公開に向けて始動。
(監督作品『のぼうの城』のblu-rayを試聴して)……なるほど、音の分離が非常にいいというか、すべての音がきちんと聴こえてきていますね。こちらがスタジオで作りこみながら聴いてきた音がそのままに聴こえてくる。音場は拡がりつつも、音のソースがダイレクトに耳に響いてくる感じがあります。
音を濁らせず、生音の良さを自然に出してくれているのが作り手としては一番ありがたいですね。こういう再生環境で聴いていただければ、どうしてこういう音になっているのか、どうしてこういう音が入っているのかという作り手の意図が、観る人により伝わってくれるんじゃないかなと思います。
(MDR-HW700DSを手に取って)実は、このヘッドホンの耳当てに使われている柔らかい素材(低反撥イヤークッション)がすごく好きだったりします。長時間つけていても疲れるということがなくて、装着感がすごくいいものになっているんじゃないかな。それと、ボリュームの調整がアナログのダイヤル式(ボリューム(音量)つまみ)というのもいいですよね。自分の気持ちいいところにきちんと合わせられる感じがあって、映画を観る人、映画の音に入り込む人の気持ちがよくわかっているな、と。映画は、観る人が気持ちよく観ていただけるのが一番ですから。
僕はずっと、ホームシアターの環境がもっと普及してほしいな、と思っていたんです。作り手としては、やっぱり最高の環境で観ていただきたいですから。ここしばらくは映画館のサウンドシステムも進化して、どこの映画館でもとてもいい音環境で作品を観られるようになったと思います。家庭での視聴環境もそうなってくれれば嬉しいですよね。その点、このヘッドホンシステムはとてもいいんじゃないかな。
これは映画に限られた話ではないと思うんですが、ナチュラルとリアル、現実と表現はそれぞれ別ものなんです。現場で撮ったものをそのままに出しても、なかなかリアルな表現にはなりえない。ある場面をリアルに表現するためには、それなりの工夫を行って、観る人に届くものにしなければなりません。サウンドであれば、台詞、自然音、効果音、音楽といった要素がありますが、そのときどきの場面と演出によって、それらの要素をひとつひとつ細かく作り込んで、見ている方のところにどう届くかを調整していくわけです。
その意味でいうと、映画では画面に映っていないものを音で表現するのが難しいんです。音だけで、どうやって見えないものを構築していくか。もしかしたら、このMDR-HW700DSでいろんな映画を音に注意しながら観てみると、監督や演出の技術やこだわりの部分を感じられるかもしれませんね。たとえば一映画ファンに戻ってお話しすると、まず映画の面白さと音響の凄さが一致していたドルビーA、SRサラウンド時代があって、『マッドマックス2』『ストリート・オブ・ファイヤー』『レイダース 失われたアーク』、これらの作品を小細工抜きの音圧勝負をぜひこのヘッドホンで試してみてほしい。そして時代が少し下がってドルビーデジタル初期、この頃ですと『ツイスター』『マトリックス』『インディペンデンス・デイ』でしょうね。他に『リーサルウェポン3』の音響設計は、映画の中身以上に楽しかったかも(笑)。最近ですと、『ソーシャル・ネットワーク』で、音楽が流れる騒々しいクラブの中での会話という何気ない場面での音響設計が一番凄かったですね。これはあまり騒がれていないけど、本当に凄いんです。ぜひMDR-HW700DSで確認してほしい。今年は『マン・オブ・スチール』『スター・トレック イントゥ・ダークネス』『パシフィック・リム』の爆音三本が楽しいのではないかと。特に、『マン・オブ〜』の、今流行りの硬質な低音セットアップと『スター・トレック』のベン・バートによる細かい音付けをMDR-HW700DSの9.1chサラウンドで比べてみると楽しいかもしれない。
そして僕自身も、次の監督作品を準備しています。もちろん音にもこだわっています。ぜひご期待をいただければ嬉しいですね。映画館で観て、その後ソフトになったらこのMDR-HW700DSで聴いていただければと思います!