埼玉でくすぶるヒップホップグループの青春をリアルに描いた『SRサイタマノラッパー』でゆうばり国際ファンタスティック映画祭2009オフシアター・コンペティション部門グランプリなど数多くの賞を受賞。2009年、映画監督協会新人賞を受賞。シリーズ第3弾の『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』は、徹底的な1カット撮影とインディーズ映画としては最大規模のフェス撮影で話題に。他にもテレビドラマやミュージックビデオなど、活躍の場を広げている。この11月、自身5本目の音楽映画となる『日々ロック』が公開される。来年の公開待機作に『ジョーカーゲーム』がある。
(試聴して)あ、すげえ。こんなに音が響くんですか。(自身の作品のいろいろなシーンをサーチして)……すごいですね。どの方向からの音も、ちゃんと全部聴こえていますね。映画のなかで作り込んだ音の再現率が抜群にいい。MAスタジオで編集しているときの、一番ハイスペックな音が聴こえている感じ。これまでのヘッドホンとはちょっとレベルが違うな。びっくりしました。
たとえば僕が監督をさせてもらった『劇場版 神聖かまってちゃん/ロックンロールは鳴り止まないっ』の最後のライヴシーンは、それをネットで見ている子どもやお母さん、将棋の決勝戦を戦っている二階堂ふみちゃん、それぞれ違うシチュエーションを重ねています。当然それぞれ音の環境が違うので、ライヴの音と映像を基本にしながら自然に全てが盛り上がるよう作り込んでいくわけですね。そのすごく繊細な作業と、ライヴ音源のダイナミックさと拡がり、それが全部同時にきちんと鳴らされていると思います。すごいですね。
また、同じく僕が手掛けた今回公開される『日々ロック』も、クライマックスで3人が同時に演奏して、7人が動き回り、その後ろで竹中直人さんが叫んでいるというシーンがあるんですが、やっぱりその録音、音作りは大変なわけですよね。でもこのヘッドホンであれば、ステージと竹中さんとの距離の表現を、どなたにも聴きとってもらうことができるだろうなと思いました。空間がきちんと表現されているということでしょうね。
(4人まで同時使用できると聞いて)えっそうなの?(笑)すごいな。デジタルサラウンドヘッドホンって、今、ここまで進化しているんですね。
いろいろなモードがあるんですね。「シネマモード」は音の空間に拡がりが出ますね。よりサラウンド感が増す感じ。9.1chとなると、ちょっとこれまでのものとは次元が違いますね。通常の前後左右だけではなくて、本当に立体感まで感じられる。「ボイスモード」は人の声が立って、芯がしっかりする感じかな。僕みたいにずっとヘッドホンをつけて映画を見まくるようなタイプには、作品の傾向によっていろいろ耳元でモードを切り替えられるのはすごく便利かも。このイヤークッションもいいですね。長時間着けていても疲れないし。
僕自身は、ここ数年、自宅ではほとんどヘッドホンで映画を見るようになっていますね。他にもこういう人が増えているんじゃないかな?大迫力のホームシアター環境を自宅に気軽に実現することができるし、ケーブルがなければストレスなく自由に動きまわることもできる。そしてこのMDR-HW700DSで特にBlu-rayの映画を見ると、そもそも映像自体の情報量が違うので、画質も音も受け取る側の感覚が全く違う。密度とクリアさが同時に増幅されるというか。
今回の『日々ロック』もそうですけれど、全作品、毎回ものすごく時間をかけてこだわって音作りをしています。実は音と映像の関係ってすごく繊細で絶妙なもので、「この場面」は「この音」が聴こえないと困るということが多々あるものなんですね。そこを細かく、本当に色々な繊細な音を入れながら映画、そして音を作っています。大きな音も使うし、もしかすると劇場によっては聴きとりづらいかもしれないような細かい音もたくさん入っています。だから僕自身は、劇場で大音量で楽しんでもらえるのももちろん嬉しいし、自宅のホームシアター的環境で、こういうヘッドホンでじっくり音を楽しんでもらえるのも嬉しい。9.1chサラウンドであれば、本当に映画館にいるような臨場感を味わってもらうこともできるでしょうし。
僕は、音楽が鳴り始める瞬間の、日常生活を一気にぶっ飛ばしてくれる瞬間、その快感が好きなんです。だから音楽を題材にした映画が多いのかな。そのためにも、ぜひこのMDR-HW700DSでいいヘッドホンで映画の「音」も楽しんでもらえると嬉しいですね。