一般社団法人ミュージック・クリエイターズ・エージェント代表理事/
京都精華大学ポピュラーカルチャー学部教授
プロデューサー/エージェントとしてイベントや音源映像や書籍などの企画制作をしたり、マネージメント・クライアントであるミュージシャンと仕事をしながら、京都の大学で教えたり、音楽を志す方々へのなんでも相談室としての一般社団法人で代表理事を務めたりしています。もともと業界に入ったのは、70年代にイエロー・マジック・オーケストラのスタッフになったのがきっかけですね。ちょうど最近、30年振りにまたバンドをやりたいななんて思っていたところだったのですが、結局のところは、ひとりの音楽ファン/リスナーのつもりです。今回のXB70もXB50も、その視点から見て、とてもいいヘッドホンだと思いました。
まず、装着感がとてもいい。インナータイプのヘッドホンは、耳の中のちょっとした収まり方の違いで聞こえ方がかなり変わってくることがあるんですが、それがない。やっぱりすごく進化している/考えられているな、という感じです。
そして音質がどちらもとても良くできていると思いました。この価格でここまでの音質を実現するのは大変なことなんじゃないかな? ともに低音部分の再生がすごく自然。僕はコントラバスの音を基準に音楽を聴いているところがあるんですが、自然に、その低音の聴かせるべき部分が聞こえてきています。
XB70は音域もすごく広がっているし、特に小さなボリュームで聴いたときに音楽の美味しいところが聞こえてくる感じがあります。XB50もとてもバランスがよくて、低音とともに、中高音の出方がすごく好きですね。ともに無理に強調したり、不自然に聞こえるところがなくて、音楽を「楽しむ」ための音になっているという印象です。
そしてデザイン、カラー・バリエーションがとてもいいですね。今は、特に若い人たちにとっては、実際、音楽はヘッドホンで聴く/触れるものになりつつあると思うんです。そうなると、音楽は音であると同時にファッションとしての面もある。たとえばTシャツを着替えるように、その日の気分やお天気に合わせてヘッドホンを変えて楽しむような、音楽との付き合い方が定着するんじゃないかな。
今は、音楽の聴かれ方、あり方がすごく変わってきている時代です。今までの音楽業界のやり方だけでは先に進めなくなってきている一方で、音楽そのものは、ある意味でものすごく盛り上がっている。これは音楽を楽しむこと、音楽が好きということ自体がすごく重要になってきているということだと思うんです。
音楽の世界では、スペックやヒエラルキー、セールスといった「数字」ではなく、すごくフラットに、ひとりひとりの個性、楽しい/面白いとか、これが好き/嫌いみたいな部分が一番大きな意味を持つものになってきた。だからこそヘッドホン祭みたいなイベントも盛り上がっているんでしょうし、そこに集まっている若者たちがすごく盛り上がっているのを見ると、僕はとても嬉しくなるんです。
そしてこれはある意味で、音楽というものの原点回帰だと思うんです。音楽自体の楽しみ、喜びが改めて注目されるようになってきている。今回このXB70とXB50を試す機会をいただいて、そういう気持ちがメーカーの側にも伝わっているような気がして、とても嬉しく思いましたね。技術者の方々が音楽を楽しんでもらおうと思っているのがすごくよくわかりますから。やっぱり僕にとってはソニーは特別なブランドです。今後の展開にも期待したいですね。