ボストン大学修士課程修了。2004年、音楽家集団annonymassを結成し4枚のアルバムをリリース。現在はソロ・ミュージシャンとしてアルバムをリリースするほか、作編曲家/ユーフォニアム奏者としてYellowMagic Orchestraをはじめとする数多くのアーティストをサポート。CM、映画音楽なども多数。
作編曲家/ミュージシャンとして、CMや映画の音楽を作ったり、いろいろなアーティストのサポートを行っています。電子楽器と(管楽器の)ユーフォニアムが専門なのですが、もしかしたら、日本では珍しいタイプかもしれません。フルオープンエア型のヘッドホンを使うのは、今回のMA900が初めてだったんです。耳のまわりに空気がこもるということがなく、新しい経験でした。すごく楽で、リラックスして音楽に向き合うことができるんですね。もちろんスピーカーよりも、音楽そのもの、音楽全体をきちんと聴きとることができる。心地よく音楽の良さを楽しむためのヘッドホンなんだな、と思いました。
今回は、最近ぼくがサポートしているYellow Magic OrchestraのSACDを聴いてみました。SACDはやはり情報量が多いので、当時の「音」「空気」がきちんと聞こえてきます。YMOは70年代から活躍しているグループなので、機材や技術も含め、いろいろなことが変わってきているのですね。SACDで聴くと、マイクの立て方やテクノロジーといった、当時の録音形式がどのようなものだったかまでを明確に聴き取ることができる。MA900とSACDの組み合わせは、そういう細かい部分までを楽しむことができますね。しかしプロのミュージシャンとはいえ、実は毎回それほど専門的な聴き方をしているわけではありません。仕事が続いているようで疲れてしまいますから(笑)。特に分析やチェックをすることもなく、普通の人と同じように、流れてくる音楽を楽しむということもしているわけです。このヘッドホンはそういうときに最適だと思いました。そしてジャンルを選ぶこともなく、いろいろな音楽に合う音質だとも思いますね。映画やゲームのように、リラックスして音を楽しむようなときにも向いているんじゃないかな?
一方で、この形でプロ用のものができたらいったいどうなるのかな?とも思いました。さらに新しい音の楽しみ方が生まれるかもしれません。ちょっと楽しみですね。音にはそれぞれの面白さがありますが、僕自身は、「生」の音が好きなんです。そして「声」ですね。誰もが持っている楽器でありながら、それぞれに全く違う個性がある。こんなに奥の深いものはないのではないかと思います。僕のソロ・アルバム『Euphobia』にもいろいろな音が入っています。このMA900で、その音、声、空気を楽しんで頂ければと思いますね。