ケーブルにわずらわされることなく、より自由なスタイルで音楽を楽しめることから人気の完全ワイヤレスイヤホン。昨年2017年には、ソニー初の完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000X」が市場に投入され、大きな話題を呼んだ。2018年10月、そんなソニーから、完全ワイヤレスイヤホンの最新モデル「WF-SP900」が発売される。ここでは、防水・防塵対応、4GBメモリー内蔵に加えて、大幅に安定した左右の接続性とすぐれた装着性を実現した注目モデルの実力を速攻レビューした。
通勤時に音楽を聴いてみた
左右の接続が途切れにくく装着性も高いので、長時間リスニングも快適
ソニーの完全ワイヤレスイヤホン「WF-SP900」の最大の特徴は、さまざまな場面で快適に音楽を楽しめること。IP68相当の防水・防塵性能(※1)を備え、雨天時や水中でもちゅうちょなく使えるとともに、イヤホン内に音楽を保存できる4GBメモリーを内蔵するため、スマートフォンとBluetooth接続できない環境でも音楽を楽しむことができる。いつも音楽と供にいたい音楽好きにとって魅力的なイヤホンだが、その本当の実力は使ってみなければわからないもの。そこで本記事では、「WF-SP900」を普段の生活の中で試して、その実力を検証した。
※1防水:イヤホン本体のみ、水泳用イヤーピースを装着した状態で、あらゆる方向からの水の直接噴流によっても本体機能を保護します(IPX5相当)。また、水泳用イヤーピースを装着した状態で、水深 2mに30分沈めた条件で、本体機能を保護します(IPX8相当)。
防塵:イヤホン本体のみ、水泳用イヤーピースを装着した状態で、塵埃(じんあい)が入った装置に8時間入れてかくはんさせ、取り出したときに内部に塵埃が浸入しない機能を有することを意味します(IP6X相当)。
「WF-SP900」を使用してまず感心したのが、接続安定性の高さだ。完全ワイヤレスイヤホンの課題とされる左右の音切れが気になる場面はほとんどなく、検証の間、電波が干渉しやすいターミナル駅で使用しても切れることはなかった。本モデルは、アンテナ構造を刷新することで左右のイヤホン間の音切れを起こりにくくさせるとともに、左右の接続方式には近距離磁気誘導技術「NFMI」が採用されている。また、ソニー独自のバランスド・アーマチュア型ドライバーが採用されるため、音質は非常にクリアで、特に中高域が心地よく耳に響いた。
また、「WF-SP900」は装着性の高さも申し分ない。本モデルは、耳の穴にイヤーピースを挿入するカナル型であるうえ、イヤーピースの装着位置を2段階で調節でき、装着時の安定感を高められる。また、イヤーピースがS/M/L/LL の4サイズ、耳の溝に沿わせるアークサポーターがS/M/Lの3サイズ同梱されるため、さまざまなカタチの耳にしっかりフィットし、落ちづらくできるのもポイントだ。
試しに、「WF-SP900」を耳に装着した状態で首を左右に大きく振ったり、ジャンプしたりしてみたが、耳から外れたり、ズレたりせず、安定感は高かった。完全ワイヤレスイヤホンを購入するうえでの悩みとして、「落としたり、なくしたりするのが心配」という人は多いが、本モデルはこうしたデメリットを減らしている。また、イヤホンが耳にしっかりフィットするため、遮音性が高いのもポイントだ。実際、通勤時に1時間程度装着したままだったが、着けていることをつい忘れてしまうほどしっかりとフィットしており、快適に音楽を楽しめた。
さらに、「WF-SP900」はデザイン性も高い。卵型のボディは凹凸の少ないシンプルな形状で、装着時の見た目も実に自然。ホワイト、ブラック、イエローの3色のカラーバリエーションは、どれも落ち着いたカラーリングなので、カジュアルな服装はもちろん、スーツと合わせても違和感はなかった。
- ホワイト
- ブラック
- イエロー
カラーバリエーションには、ホワイト、ブラック、イエローの3色を用意。ケーブルがなくスッキリと装着できるため、耳元をオシャレに演出できる
カフェで音楽を聴いてみた
ネット動画視聴も快適! スマホアプリの使い勝手も上々
近年、スマートフォンが大画面化し、動画配信サービスが普及したことで、スマートフォンで動画を楽しむ人が増えてきた。そんな時に完全ワイヤレスイヤホンを使う場合、大きな課題とされてきたのが、音切れや遅延だ。しかし、「WF-SP900」なら、従来ほど映像と音声にズレが生じたり、左右片方の音が切れたりすることなく、快適な映像視聴が行える。
今回の検証で利用してみて、ソニーの操作アプリ「Sony|Headphones Connect」の使い勝手の高さにも感心させられた。なかでも気に入ったのが、音質を自分好みに調節できるイコライザー機能。8種類のプリセットの中から好みの音質を選べるだけでなく、5バンドのイコライザーを調節して、自分好みの設定を保存しておくこともできる。また、楽曲操作アプリ「Sony|Music Center」を使えば、イヤホン本体に保存している楽曲の選曲やシャッフル/リピート再生など、再生方法の設定も可能だ。
基本的な操作は本体側面にあるボタンから行えるが、ソニーの操作アプリ「Sony|Headphones Connect」を使うことで、さらに細かな操作や設定が可能になる
「Sony|Headphones Connect」は、8種類のプリセット(Bright、Excited、Mellow、Relaxed、Vocal、Treble Boost、Bass Boost、Speech)の中から好みの音質を選べるイコライザー機能を搭載。低域を強調したり、全体的に音をクリアにしたりといった、任意のカスタマイズも可能だ
運動中に音楽を聴いてみた
水に強くて、スマホいらず。運動中でも音楽を楽しめる!
IP68相当の防水・防塵ボディを実現したのも「WF-SP900」の特徴。さらに、本体に4GBメモリーを内蔵するため、スマートフォンとBluetooth接続できない環境でも音楽を楽しめる。この防水・防塵性能と内蔵メモリーの組み合わせによって、通常音楽が楽しめないプールや海の中でもイヤホンを使って音楽を聴くことができるのだ。
水泳時には水中で激しい動きをするため、耳の中に水が入ったり、イヤホンをなくしたりするのでは? と不安に感じる人もいるだろう。実際にプールで使用してみたところ、水泳時に音楽を聴くというのは新しい感覚でとても心地よい(※3)。ダイエットなどで長時間ゆっくり泳ぐ人にはピッタリではないだろうか。今回は、プールのみでの使用だったが、海での使用も可能。今度は海水浴で使ってみたいと感じた。また、左右のイヤホンをつなぐリーシュコード(同梱)を使えば、万が一、耳から外れてもイヤホンをなくす心配が少なくなるため、プールなどでも安心して使える。
※3 水中で「WF-SP900」を使用する場合は、施設のルールに準じ、十分に安全性に配慮したうえでご使用ください。「WF-SP900」は、水深2mでの30分間の使用に耐えるIPX8等級の防水性能を実現し、水泳用イヤーピース(S/M/L/LL)とリーシュコードが同梱。プールでも使用できる
もちろん、「WF-SP900」は、ランニングやエクササイズなど、水泳以外のスポーツ時の使用にも向いている。本体は防水仕様なので、汗や突然の雨も気にせずに使えるのはもちろん、4GBメモリーを内蔵するため、スマートフォンを携帯する必要もない。また、体が上下に激しく動いても、耳にフィットしたまま外れない抜群の装着性も、スポーツ用として適している。さらに、「アンビエントサウンドモード(外音取り込み機能)」も搭載しているので、周囲の状況をしっかり把握しながら音楽を楽しめる。「スポーツをするときに音楽は欠かせない」という人は、「WF-SP900」をぜひ試してみてほしい。
まとめ
さまざまな場面で快適に音楽を楽しめる
完全ワイヤレスイヤホン
完全ワイヤレスイヤホンを選ぶうえで、多くの人が最初に気にするのは、「すぐにズレ落ちて、なくしてしまわないか?」という点ではないだろうか? その点、ソニーの「WF-SP900」は、耳にピッタリとフィットし、装着時の安定感が高い。実際、通勤時に使用したり、激しい運動をした際も、落ちたり、ズレたりすることはなかったため、さまざまな場面で安心して使える。また、IP68相当の防水・防塵性能を備え、4GBメモリーを内蔵するので、さまざまな場面でイヤホンのみで使えるのも魅力。完全ワイヤレスイヤホンの課題とされてきた音切れや遅延についても、かなり解消されていた。このような魅力を備えた「WF-SP900」は、いつも音楽と供にいたいと思う音楽好きにとって、非常に魅力的なイヤホンとなるはずだ。
- ホワイト
- ブラック
- イエロー