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商品情報・ストアヘッドホンスペシャルコンテンツ XB 開発者インタビュー

誰も体感したことのないような、本物の重低音がここにある。

デザインと設計のコラボレーションがつくり出した、たった一つの理想の形

小宮山 工場で試作品ができた頃には、僕の中ではヘッドホンのデザインがほとんど決まっていて、通常なら最低50枚から60枚のバリエーションの絵を描くんですけど、今回は1枚しか描いてないんですね。普段は1ヵ月くらいかかるものが、時間にするとほんの2、3時間程度。縫製の方がパッドを縫ってるのを眺めていたら 、頭の中で3次元の形が「ポンッ!」とできあがって、「もう、これ以外ないっ!」っていう感じ。

松尾 でも、設計はそこからがたいへんなんですよね。特に小宮山がこだわったのは、スライダーとヘッドバンドの幅を一緒にするというところなんですが、それがなかなか難しい。幅を変えれば強度設計もしやすくて、つくりやすいものになるんですけど。

小宮山 パワフル感を表現するためにこれだけのイヤーパッドにしてるわけですから、それを押さえるバンドの部分も、ガッチリ押さえ込んでいるといった力強さが必要だったんですね。段差があるとその部分だけが弱く見えてしまうから、そこは妥協したくなかった。はじめは、スライダーの設計担当者に「すいません、ここ変えてください」って何度も言われたんですけど、そのたびに「ん〜〜〜」って唸ってたら、しまいには最初に思い描いた通りのデザインに仕上げてくれた! このヘッドホンのコンセプトを表現するうえで、見た目がすごく大事だってことを、設計を担当したみんなが理解してくれて、そのためにものすごく努力してくれたんですよね!

松尾 イヤーパッドにしても、試作品ができたまでは良かったんですが 、「でも、これって量産できるの?」ってことになって(笑)。縫製の方は天才的な技と経験で試作品をつくってくれたけど、それを海外の工場で量産するとなると、つくるための技術も伝えないといけない。しかも、イヤーパッドのでき具合が音にそのまま影響しますから、音質にとって問題ない品質のものを量産しなければならない。そのために、これを担当した筐体の設計者は、量産開始ギリギリまで、何度も何度も日本と海外を行き来してるんですね。こういう形で実現できたのは、ホントに彼らの頑張りのお蔭だと思います。これがなかったら、このヘッドホンのコンセプトを実現できなかったわけですから。

小宮山 見た目の問題だけでなく、あらゆる人の耳に合わせてまんべんなく密閉するには、このイヤーパッドが不可欠なんですよね。

松尾 ソニーのヘッドホンは“イヤーコンシャスデザイン”といって、耳の角度とか、顔の形など、色々なことを細かく計算したうえで、ハウジングのフォルムや可動範囲などを決めてるんですね。普通のヘッドホンなら、色々な向きに合わせられるように可動部が増えてくるんですけど、このヘッドホンはイヤーパッドが部厚くて柔らかいので、どんなある程度の向きにも追従してしまうんです。

小宮山 イヤーパッドが過剰に大きいことで、勝手に合わせてくれるんですよ。だから、デコボコした関節がなくて、ヘッドバンドとスライダーの部分を「スパッ!」と1枚の板にすることができた。

松尾 可動部が少ないから、「こりゃ設計がラクでいいや!」って思ってたんたんですけど、かえってえらい目に遭っちゃいました(笑)。

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