α7SⅡが捉えた夜空
写真家
茂手木秀行氏
九十九里浜の天空に拡がる世界
ジャンルを問わないプロフェッショナル
プロフォトグラファーと言うと、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。 風景写真家、鉄道写真家、動物写真家、スポーツカメラマンやポートレートフォトグラファーなど、特定の被写体ジャンルに特化し、その道を極めた人というイメージをお持ちの方が多いのではないかと思います。 しかしそうした撮影ジャンルを超越して、どんな被写体でもそれぞれに最適な撮影技術を駆使して撮影してしまうプロフェッショナルが居ます。いわゆる職業系(広告)フォトグラファーです。
今回、私が訪ねた写真家 茂手木秀行氏はファッション系から時計、宝石等の物撮り、ペットそして風景から果ては天体写真まで、あらゆるジャンルをクライアントのオーダーに合わせて撮影します。 と言うのも、茂手木氏は1980年代にマガジンハウスへ入社。最初に配属されたクロワッサン編集部から 足掛け25年間。その後ターザン編集部→ブルータス編集部→ポパイ編集部と、それぞれ購読者層がまるで異なる情報誌に掲載される、多種多様な広告写真を撮り続けてきました。 そんな様々な被写体を、これでもか!と撮影されてきた茂手木氏にも、最も胸躍りワクワクしながら撮影に臨む被写体があります。それは天体・星景写真です。中学生で天文・気象部に入部した時から、天体・星景だけは別格だそうです。どんなに疲れていても眠くても、素敵な夜空になりそうな夜には一人で撮影地へいそいそと向かわれるとのこと。
α7SⅡで月を撮る
茂手木氏のアトリエは、千葉県九十九里浜にあります。茂手木氏は数多くの天体写真や星景写真を、このアトリエからすぐに行ける場所で撮影されています。 九十九里というと広い砂浜のイメージをお持ちの方が多い(私もその一人)かと思いますが、実際に 行ってみると、この写真のように岬があったり人造湖もあったりと、その風景は意外と変化に富んでいました。
この日の夜は、雲が無く美しい月夜の晩ということで、茂手木氏は“こんな夜は撮影するのは当たり前”といった面持ちで準備を開始。 ただ撮影準備と言っても、アトリエの庭に設置した天体望遠鏡にカメラを付けるだけ。準備をしながら「月と星雲を撮り終えたら、海に星景を撮りに行きましょう」とのこと。なんだかとてもライトな感じです(笑) 持ち出したカメラはα7SⅡ。とてもコンパクトなので、天体望遠鏡に取り付ける際にもとても楽で重宝するとのこと。
天体望遠鏡にα7SⅡを取り付けて、早速月を撮影開始です。 「お!いいですね〜!」と茂手木氏の嬉しそうな声。どんな月が撮れたのかと見せていただくと、浮かび上がるような立体的な月が写っていました。 さらに茂手木氏「コペルニクスを撮ろう!」とのこと。詳しい方もいらっしゃるかと思いますが、月の中心部でひときわ目立つクレーターの名前です。ポーランドの天文学者ニコラウス・コペルニクス(1473-1543)にちなんで名づけられました。
さて、そのコペルニクス撮影ですが、天体望遠鏡で、焦点距離およそ5,000mmにしての撮影です。 茂手木氏によると、このような焦点距離になると大気の揺らぎの影響を大きく受けることになるそうで、なかなかシャープな写真を撮影することは困難だそうです。 そこで茂手木氏が思いつかれたのが、α7SⅡに搭載されている4K動画機能を活用すること。 最初、私はそう言われても「???」だった のですが、結果はご覧の通りです。動画で数秒間撮影し、その中から揺らぎの少ないシーンをセレクトし、平均化してこのような1枚の写真が生まれました。これには驚きました。
愉しいですね! このカメラ。
月の撮影だけに留まらず、茂手木氏の夜空の撮影は続きます。 こちらは海岸に打ち上げられた流木越しに見る天の川の写真です。単に星空だけを撮らずに、こうした構図で撮られるところが茂手木氏らしいと思わず唸ってしまいました。こうした星景写真は三脚とα7SⅡさえあれば撮影できるものなので、特にα7SⅡユーザーならば挑戦してみて欲しいと何度も茂手木氏が言われていました。
そして極めつけは、こちらの星雲写真です。
天の川に浮かぶ干潟星雲(いて座にある散光星雲(輝線星雲)。散光星雲を南北に横切る帯状の暗黒星雲が存在し、その姿が干潟に似ていることが名称の由来だそうです)
茂手木氏が言われるには「空の綺麗なところなら肉眼でも見える時がありますよ。でもね、この綺麗な色合いは写真ならではです。この美しい色合いが映りやすいカメラとそうで無いものがあって、α7SⅡは映りやすいので、美しい色合いとディテールが見事に表現できてますね〜」とのこと。因みに星雲のアップの撮影には星空雲台や赤道儀と呼ばれる専用の台座が必要になります。
撮影を終えて
来年には星景写真の個展を企画されているという茂手木氏。この夜も素敵なお写真をたくさん見せていただくことができました。 最後に茂手木氏の機材バックを拝見。α7SⅡにレンズはSEL1635ZとSEL55F18Z、そして今回は出番がありませんでしたが、RX1RⅡです。それに双眼鏡やリモコンも。
今回の月や星景の撮影を通して、とにかくセンサーの素性の良さに感嘆されたという茂手木氏。これからの夜空は、ソニーのカメラの出番が多くなりそうだとのことです。
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