写真(1)は、黒いアゲハチョウが、ヒガンバナに舞い降りる一瞬です。被写体までの距離は3メートルくらい。花がまだ少ししか開花していない時期に、開いた花に目をつけて待ったら、このシーンに出会えました。このような写真は取り直しがききません。三脚を用意する暇もないので手持ち撮影です。これは望遠側いっぱいで撮っていますが、ボディ内蔵手ブレ補正は、スローシャッターの時ばかりではなく、望遠撮影をシャープにする機能としてもかなり信頼がおけますね。AFの精度や手ブレ補正機能に優れた“α700”ならではの写真だといえます。
一瞬の出会いに強い“α700”だからこそ、たった一枚しか撮れない写真にもっと自分の思いを込めて仕上げたい。そのためボクは、RAWで撮影します。露出補正やホワイトバランス、クリエイティブスタイル、そして“α700”独自のDレンジオプティマイザー/アドバンスなど、撮影前にぜんぶ納得がいく設定ができれば、それに越したことはありませんが、こういった一瞬の撮影ではなかなか準備できません。
だから、撮るときはシャッターチャンスに集中して、オートやスタンダードで撮っておいて、RAW現像の段階で、自分の思いをこめた写真に仕上げるようにしています。
(2)は、RAW現像で背景をマイナスに補正して、アゲハチョウとヒガンバナを引き立つようなトーンに整えたものです。RAW現像は、けっして「失敗写真の救済」ではありません。イメージに合わせた撮りかたを追求するための手段です。それを撮影時にするか、現像時にするかという違いだけ。たった一枚しか撮れない写真には、RAW現像に自分の思いをこめたいのです。
(3)は、路地でなにげなくカメラを向けていたら、人力車がフレームに入ってきた瞬間です。もう一枚撮れるかなと待ち構えていましたが、もうやってくることはなく、たった一枚の写真となりました。やや強いコントラストをRAW現像で調節し、(4)に仕上げました。画像を劣化させることなく、何枚も撮り直しができない写真に自分の意思を埋め込むことができるのが、RAW現像の魅力ですね。 |
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(1)〈オリジナル画像〉いいタイミングでシャッターが切れたが、色合いなどは整えたい。
(2)〈RAW現像後〉背景をマイナスに補正して、チョウとヒガンバナが引き立つトーンに整えた。
(3)〈オリジナル画像〉
(4)〈RAW現像後〉ややコントラストが強すぎると思ったので、シャドウ部をやや明るく、ハイライト部を抑えた。 |