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商品情報・ストアデジタル一眼カメラ αもっとαを楽しむ “α700”リレーインタビュー
“α700”リレーインタビュー プロカメラマン編
1.馬場信幸氏 2.清水哲朗氏 3.吉住志穂氏 4.藤城一朗氏
“α700”だからこそRAWで撮りたい
■昔のレンズが生き返る“α700”
“α700”の魅力のひとつは、昔の“αレンズ”との相性ですね。ボクは、デジタル時代になっても、カメラを選ぶ時の要(かなめ)になるのは、なんといってもレンズの良し悪しだと思っています。ソニーのαは、ミノルタからコニカミノルタ時代を通して一貫していた“αレンズ”の設計思想をしっかりと受け継いだ、安心感のあるブランドです。描写やボケといったレンズの「味」が、デジタルになってもしっかりと失われずに残っています。“α700”は、その“αレンズ”の味がよく生かされるカメラだと思うのです。

デジタルカメラは往々にして、デジタル処理の精度が高いあまりに、フイルムカメラ時代の昔のレンズを使うと、ちょっと描写が甘くなる傾向があったように思います。レンズの「味」というのは、わかりやすく言うとレンズの「欠点」でもあります。残存収差とかフレアといった欠点です。フイルムカメラ用のレンズというのは、その悪い部分を残して、いかに「味」にしていくかという設計がなされていました。それがフイルムとマッチして、すごくいい味となっていたんです。

ところが、デジタルになると、本来レンズの「味」となるべき欠点を、補正処理するようになりました。アナログとデジタルの、レンズに対する解釈の違いとでもいいましょうか。少し残念に思っていた部分です。例えばボクが長年愛用しているレンズに、ソフトフォーカスレンズ「AF SOFT 100mm F2.」があります。ソフトフォーカスレンズは、収差を大きくすることによってフワッとした表現をするレンズですが、それをデジタルカメラに使うと、フワッとしすぎて、何だかボケボケになってしまいました。“α700”ではそのボケボケ感が締まって、フイルムカメラで撮影したような「味」になったんです。単にぼんやりしているのではなくて、芯のあるボケ描写という感じです。

こんなふうに、“α700”のおかげで、昔から大切にコレクションしてきたお宝レンズが、ものすごくいい感じで使えるようになりました。昔のレンズを引っ張り出して使うのは、とても大きな楽しみです。ただ高精細に、シャープに撮れればいいというのであれば、デジタルの技術で簡単にできるでしょう。“α700”の場合は、いい意味でフイルムカメラに近く、レンズの「味」をグッと引き出してくれる。それがボクにとって“α700”を使う最大のメリットですね。センサーやエンジンのような技術面の裏付けだけでなく、写真に対するソニーの哲学や姿勢といったものを感じます。
 
■撮り直しがきかない一瞬をRAWで撮る
写真(1)は、黒いアゲハチョウが、ヒガンバナに舞い降りる一瞬です。被写体までの距離は3メートルくらい。花がまだ少ししか開花していない時期に、開いた花に目をつけて待ったら、このシーンに出会えました。このような写真は取り直しがききません。三脚を用意する暇もないので手持ち撮影です。これは望遠側いっぱいで撮っていますが、ボディ内蔵手ブレ補正は、スローシャッターの時ばかりではなく、望遠撮影をシャープにする機能としてもかなり信頼がおけますね。AFの精度や手ブレ補正機能に優れた“α700”ならではの写真だといえます。

一瞬の出会いに強い“α700”だからこそ、たった一枚しか撮れない写真にもっと自分の思いを込めて仕上げたい。そのためボクは、RAWで撮影します。露出補正やホワイトバランス、クリエイティブスタイル、そして“α700”独自のDレンジオプティマイザー/アドバンスなど、撮影前にぜんぶ納得がいく設定ができれば、それに越したことはありませんが、こういった一瞬の撮影ではなかなか準備できません。

だから、撮るときはシャッターチャンスに集中して、オートやスタンダードで撮っておいて、RAW現像の段階で、自分の思いをこめた写真に仕上げるようにしています。

(2)は、RAW現像で背景をマイナスに補正して、アゲハチョウとヒガンバナを引き立つようなトーンに整えたものです。RAW現像は、けっして「失敗写真の救済」ではありません。イメージに合わせた撮りかたを追求するための手段です。それを撮影時にするか、現像時にするかという違いだけ。たった一枚しか撮れない写真には、RAW現像に自分の思いをこめたいのです。

(3)は、路地でなにげなくカメラを向けていたら、人力車がフレームに入ってきた瞬間です。もう一枚撮れるかなと待ち構えていましたが、もうやってくることはなく、たった一枚の写真となりました。やや強いコントラストをRAW現像で調節し、(4)に仕上げました。画像を劣化させることなく、何枚も撮り直しができない写真に自分の意思を埋め込むことができるのが、RAW現像の魅力ですね。
 
(1)〈オリジナル画像〉いいタイミングでシャッターが切れたが、色合いなどは整えたい。
(2)〈RAW現像後〉背景をマイナスに補正して、チョウとヒガンバナが引き立つトーンに整えた。
(3)〈オリジナル画像〉
(4)〈RAW現像後〉ややコントラストが強すぎると思ったので、シャドウ部をやや明るく、ハイライト部を抑えた。
DSLR-A700
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