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商品情報・ストアデジタル一眼カメラ αもっとαを楽しむ “α700”リレーインタビュー
“α700”リレーインタビュー プロカメラマン編
1.馬場信幸氏 2.清水哲朗氏 3.吉住志穂氏 4.藤城一朗氏
RAW現像で写真に意思を埋め込む
■白とび・黒つぶれの補正
“α700”に付属しているRAW現像ソフト「Image Data Converter SR」を使うと、RAWデータに対して、“α700”が撮影時にできる設定のほとんどを現像段階で加えることができます。やったことがない人にとっては、RAW現像はなにかすごく難しいことのように思えるかも知れません。でも全くそんなことはありません。すべての機能を使う必要はないのです。“α700”はJPEGでも思い通りに近い写真が撮れるように作られていますから、 RAW現像では 「こう表現したい」と思う部分だけの補正で十分です。

まずは、白とび、黒つぶれの補正です。オリジナル画像(1)の白とびの部分を、(2)のようにピンク色に表示して教えてくれます。この白とび部分の露出を補正したのが(3)です。細かい部分まで見つけるのが大変な白とびも、デジタルならではの処理で楽に補正できました。

それから、αのRAWデータは「ARW」という形式ですが、“α700”になってバージョン2にアップしました。ここに新たに加わった「バージョンスタック」という機能があります。1つのARWデータに施した処理の過程を、複数ファイルに分けることなく、そのプロセスを保存できるようになったのです。明るく補正した写真もいいけれど、暗くしてみるのもまたいいという具合に、複数のファイルをそれそれぞれ別々に保存しなくても、1つのファイルにプロセスとして複数保存し、そこに戻って閲覧できます。RAW現像をガンガン楽しみたいっていう人には、パソコンのハードディスク使用量も抑えられるし、かなり便利な機能です。
 
(1)〈オリジナル画像〉肉眼では白とびの正確な判別は難しい。
(2)白とびをチェック。ピンクの部分が白とびしている部分。
(3)白とびに対する露出補正後
■トーンカーブとコントラスト
「Image Data Converter SR」でよく使用するのが、トーンカーブによる写真の明るさやコントラストの調整です。パソコンのマウスでトーンカーブを持ち上げたり、あるいは引き下げたりして露出や色を調整します。操作中に、修正前のイメージと修正後のイメージ並べて表示し、仕上がりを比べながら操作することができます。

(4)に並んでいる画像は2枚ともオリジナル画像です。この左側の画像を基準に、トーンカーブを操作すると右側の画像が変化します。トーンカーブを上に持ち上げていくと、画像全体が明るくなります(5)。反対にトーンカーブを引き下げる(6)と、画像全体を暗くすることができます。

(7)は、ハイライトを上げてシャドウを下げ、コントラストを強くしたもの。トーンカーブはS字を描いたようになります。逆にコントラストを弱くしたいときは、ハイライトを下げてシャドウを持ち上げます。逆向きのS字カーブを描くイメージです。難しそうなコントラスト調整も、こんなふうに直感的に、パソコンのマウスを数回クリックするだけで、できるわけです。

 
(4)〈オリジナル画像〉
(5)トーンカーブを上げて、画像を明るく補正
(6)トーンカーブを下げて画像を暗く補正
(7)コントラストが強くなるS字型のトーンカーブ
■自分のイメージを伝える色補正
トーンカーブを使って、明るさだけでなく、R(赤)、G(緑)、B(青)の色合いをそれぞれ調節することができます。いわゆる写真の「色かぶり」もこれで補正します。(8)は、左側の画像がオリジナル画像。全体的に赤っぽい、いわゆる「赤かぶり」となっています。トーンカーブを使ってR(赤)の数値をやや引き下げ、B(青)の数値を持ち上げることで、自然な色あいを引き出しました。抑えたい色を引き下げると同時に、別の色を引き上げると鮮やかさのある写真に仕上がります。

天気のいい日に風景を撮ってみたけれど、青空の色がいまひとつ良くない、という経験はないでしょうか(9)。カメラは正確に色を記録していますが、われわれには「記憶色」というものがあって、「もっと青かったはずだ」と思ってしまうのです。こんなときにも「記憶色」に近づけるためにRAW現像が有効です。

青空を強調するためのRAW現像では、青の色合いを上げてみたけれど、突き抜けるような青空ではなく、どことなく濁った印象になってしまうことがあります。空は「青」と思われがちですが、別の色も含まれているからです。だから、青だけをあげても、いまひとつクリアになりません。(10)は、青を上げると同時に、黄色を下げて青空を強調したものです。

(11)は、空に浮かぶ白い雲のコントラストがやや弱い印象です。トーンカーブでハイライトを抑えつつ、コントラストを上げることで雲のディテールを引き出し、さらに空、水面に映りこんだ空の青さがクリアになるように調節。(12)に仕上げました。

(13)は、見たままの色合いには近いと思うのですが、ボクのイメージする色あいである「期待色」は、もっとピンクを強調した感じです。そこで、椿のマゼンタ色を、イメージする色へ補正し、全体的なトーンを調整しました。こんなふうに自分のイメージを細かく写真に反映できるので、RAW現像は面白くて仕方ないんですよ。時間がたつのを忘れて寝不足になるぐらい(笑)。デジタルスチルカメラは失敗を気にせずに撮れるから、何枚でもバシバシ撮って、結局撮りっぱなしの写真がパソコンに眠ったままになりがちです。時には、フイルムの現像のように、RAW現像でじっくり一枚の写真を丁寧に仕上げるのも、なかなか楽しいものですよ。

 
(8)トーンカーブR(赤)をわずかに引き下げてB(青)を上げ、赤の色かぶりを抑えた。
(9)〈オリジナル画像〉
(10)青を上げると同時に、黄色を下げて青空を強調。
(11)〈オリジナル画像〉
(12)〈RAW現像後〉雲のディテールが失われないようにハイライトを抑えつつ、水面に写り込む青空の色が濁らないように少し青色を強調した。
(13)〈オリジナル画像〉
(14)椿のマゼンタ色を、イメージする色へ補正し、全体的なトーンを調整した。
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