トーンカーブを使って、明るさだけでなく、R(赤)、G(緑)、B(青)の色合いをそれぞれ調節することができます。いわゆる写真の「色かぶり」もこれで補正します。
(8)は、左側の画像がオリジナル画像。全体的に赤っぽい、いわゆる「赤かぶり」となっています。トーンカーブを使ってR(赤)の数値をやや引き下げ、B(青)の数値を持ち上げることで、自然な色あいを引き出しました。抑えたい色を引き下げると同時に、別の色を引き上げると鮮やかさのある写真に仕上がります。
天気のいい日に風景を撮ってみたけれど、青空の色がいまひとつ良くない、という経験はないでしょうか
(9)。カメラは正確に色を記録していますが、われわれには「記憶色」というものがあって、「もっと青かったはずだ」と思ってしまうのです。こんなときにも「記憶色」に近づけるためにRAW現像が有効です。
青空を強調するためのRAW現像では、青の色合いを上げてみたけれど、突き抜けるような青空ではなく、どことなく濁った印象になってしまうことがあります。空は「青」と思われがちですが、別の色も含まれているからです。だから、青だけをあげても、いまひとつクリアになりません。
(10)は、青を上げると同時に、黄色を下げて青空を強調したものです。
(11)は、空に浮かぶ白い雲のコントラストがやや弱い印象です。トーンカーブでハイライトを抑えつつ、コントラストを上げることで雲のディテールを引き出し、さらに空、水面に映りこんだ空の青さがクリアになるように調節。
(12)に仕上げました。
(13)は、見たままの色合いには近いと思うのですが、ボクのイメージする色あいである「期待色」は、もっとピンクを強調した感じです。そこで、椿のマゼンタ色を、イメージする色へ補正し、全体的なトーンを調整しました。こんなふうに自分のイメージを細かく写真に反映できるので、RAW現像は面白くて仕方ないんですよ。時間がたつのを忘れて寝不足になるぐらい(笑)。デジタルスチルカメラは失敗を気にせずに撮れるから、何枚でもバシバシ撮って、結局撮りっぱなしの写真がパソコンに眠ったままになりがちです。時には、フイルムの現像のように、RAW現像でじっくり一枚の写真を丁寧に仕上げるのも、なかなか楽しいものですよ。