今回、“α65”を持って熊本県の阿蘇から島原までの広い範囲を撮影しました。熊本なら、ダイナミックな風景から鍋ヶ滝や阿蘇山などの観光名所もあり、“α65”の撮影に適していると思って旅立ちました。新しくなったイメージセンサーや「ピクチャーエフェクト」などを試していて感じたのは、小さくてもパワフルな性能です。特に有効約2430万画素のセンサーは、かなりのポテンシャルの高さを実感しましたね。それから、「Dレンジオプティマイザー」や「オートHDR(ハイダイナミックレンジ)」で、階調表現をコントロールするような撮りかたも楽しめますし、さまざまな種類の「ピクチャーエフェクト」もあるので、そういう意味ではいろんな楽しみがあるカメラだと思いましたね。
これは多くの島が沖に浮かぶ島原の九十九島(つくもじま)の眺めです。こちらに向かってくる船を待って撮影したのですが、一般の方は風景を漠然と撮ってしまうというか、主題を決めずに撮ってしまう場合が多いので、何を見せたいのかとしっかりと決めて撮影するのがコツですね。この島と半島だけではとらえどころない写真になってしまうので、画面に動きを出してくれる船を入れて撮ってみました。遠くの雲まで細かく描写されていて、有効約2430万画素の圧倒的な美しさを実感しました。高画素センサーのチカラが存分に発揮されていると思います。解像力の高いレンズを使えば、この画素数をさらに生かせるのではないでしょうか。正直1000万画素と2430万画素をA4でプリントしても差はないと考えがちですけど、やっぱり2430万画素のほうが美しいんですよね。美は細部に宿りますね。
沖合の船にもズームアップしてみました。こんなときも画像の一部を切り出して拡大できる「スマートテレコンバーター」を使えば、1200万画素と600万画素で切り出せますから、撮影の幅がかなり広がります。1200万画素ぐらいあればA3サイズに伸ばしても十分に耐えるので、レンズなどの荷物を減らしてフットワークよく撮影できるというメリットも出てきますね。初心者の方の場合は「ちょっと望遠が足りない」とか「写真に失敗した部分がある」とか、そういった場合にも、画像をトリミングすることで余分な部分をカットしたり、構図を整えてよりいい写真にできると思います。2430万画素はかなりのパワーで、あらゆるシーンで「ゆとり」になると思います。
1968年生まれ。1987年 写真家・長友健二氏に師事。3年間のアシスタント生活のあとフリーランスカメラマンに。現在、写真撮影をはじめカメラ関係書籍の執筆、テレビ出演なども行っている。(社)日本写真家協会会員。撮影ジャンル/人物・海外風景など多彩。