今回は“α65”を使って家族のすてきな瞬間を切り取ってみました。“α65”はエントリー機とのことでしたが、操作性はシンプルでありながら写りはしっかりしていて、上級機と遜色ないクオリティーの高さを感じました。たとえばピントを合わせたところの解像感の高さはもちろんですが、ぼけのなめらかさもすごくいいですね。それにオートフォーカスの合う場所がイメージしたものに近く、見せたいところをしっかり見せてくれます。一般的にデジカメは発色が強い傾向のものが多いですが、そのあたりも自然でごまかしがないですね。特にポートレートの場合は肌色が気になるのですが、ふんわりとナチュラルな色味に近い。その辺のトーンがポートレートではとても有効だと思いました。
ポートレートは被写体との間合いや距離感がとても重要で、プロのカメラマンがいい写真かどうかを見るとき「被写体に対して心地いい距離感で撮れているか」で判断します。自分がどんな立場で、どんなポジションから相手と接するか。それさえ意識しておけばポートレートは随分かんたんになります。もちろん表情を豊かにする話や現場の雰囲気づくりも重要になるので、カメラに依存しすぎないで、よりコミュニケーションを楽しむことも大切。相手が知り合いであれば、二人の時間を楽しめばいいし、そんな関係をつくり出していい間合いをつくれば、いい瞬間に出会えると思います。そのときシャッターを切ればきっといい写真になるのではないでしょうか。
有効約2430万画素という高い表現力は、パソコンで見たときにその解像感はもちろん階調のなめらかさも、かなりのレベルだと実感しました。なかでもぼけ具合がすごくよくて、ピントを合わせたところからぼけているところまで、とてもなめらかにつないでくれる心地いいぼけ方をしていました。その人の持つやわらかさみたいなものをぼけは表現してくれるし、たとえ堅いイメージで撮る場合でも、ぼけをどう表現できるかがやはり大切になってくるので、雰囲気描写が重要となるポートレートでは、ぼけを積極的に取り入れていった方がいいと思います。また有効約2430万画素の精細さをより強く感じることができたのが、“α65”で単焦点レンズを使用したときです。特にポートレートでは単焦点レンズの50mmぐらいが解像感といい、ぼけ味といい、とても描写が良かったですね。
1975年横浜市生まれ。23歳でフリーランスとして独立。ライフワークとしているモンゴルでは独自の視点で自然風景からドキュメントまで幅広く撮影。2005年『路上少年』で第1回名取洋之助写真賞受賞。2007年NHK教育テレビ『趣味悠々』デジタル一眼レフ風景撮影術入門講師として出演。個展開催多数。公益社団法人日本写真家協会会員。