菅原 ヒロシ
「自身のこだわりによって新しいものを
受け入れないことはしたくない」
東京都生まれ神奈川県育ちのファッション、ポートレートを中心に撮影する写真家。現在ではムービー、スチルフォト両方において撮影をこなす。
ホームページ自分の感覚に合ったカメラがαだった
私は女性誌や広告を中心にファッションやポートレートの撮影をしています。カメラマンを始めた当初はさまざまなものを撮影していましたが、その中でもファッションの撮影現場が楽しくてファッションを中心に仕事をするようになりました。私のカメラマンのキャリアはフィルムカメラでスタートしました。デジタルカメラへの移行のきっかけは画像編集でした。フィルム時代からネガで撮って自宅の暗室で現像して作品を仕上げていたのですが、デジタルカメラで撮影してPCで現像することに非常に興味を持ったのです。写真の現像をしたい気持ちは強いのですが、暗室での現像プロセスは好きではありませんでした。また、デジタルカメラの普及により、仕事においても撮影後に早急に撮影データを納品しなければならなくなり、現像時間の短縮が必要になりました。私は自身のこだわりによって新しいものを受け入れないことはしたくないので、そのタイミングでデジタルカメラに移行しました。私は基本的に現像することを前提に撮影をするので、撮影データはできるだけナチュラルでニュートラルな写真を好みます。その基準でいろいろなカメラを試した中でα900を使った時にニュートラルのトーンが気に入りました。あとはコンタックスを使っていたこともあり、カールツァイスのレンズが使えることも非常に大きなポイントでした。私はカメラとは道具としてどう機能するかが大事だと思っています。
自分の感覚に合ったカメラがαだったので、αを購入すること対しての不安はなかったです。コンタックスを使っている頃からカールツァイスの高コントラストとシャープな描写が好きだったのですが、Sonnar T* 135mm F1.8 ZAを初めて使った時には衝撃を受けました。写りのシャープさはもちろんですが、ボケが非常にきれいでした。そのレンズに出会うまでは割と絞って撮影をしていたのですが、Sonnar T* 135mm F1.8 ZAに出会ってからは開放で撮ることが圧倒的に増えました。その後、α99を発売とともに購入したのですが、非常にダイナミックレンジが広くなっていました。電子ビューファインダー(EVF)もムービーを撮っていることもあり、全然気になりませんでした。むしろファインダーの見えが良く、非常に使いやすかったです。その後、高画素かつ高感度なカメラでの撮影が必要な仕事が入ったことをきっかけに、去年の秋からα7R IIを使い始めています。今はα7R IIを中心に仕事をしています。
さまざまな表現の発見がありました
α7R IIを使い始めて最初に感動したのがDistagon T* FE 35mm F1.4 ZAの描写とボケの素晴らしさ。35mmの画角はほとんど使ってなかったのですが、衝撃でした。35mmの焦点距離でありながら大きくキレイにボケ、ピントが合っている部分はとてもシャープ。このレンズを使ってからポートレートの撮影においてもさまざまな表現の発見がありました。35mmの焦点距離では無理と思っていた立体感とボケ感を非常に美しくコントロールできたことは本当に驚きした。あとはSonnar T* FE 55mm F1.8 ZAも非常にシャープな描写をしますし、それでいてあれだけ小さなサイズで高い描写を実現していることは素晴らしいですね。小さくて描写が良いことほどの利点はないと思います。また、α7R IIを使うようになってからオートフォーカスをよく使うようになりました。ポートレート撮影のときはまつ毛や目にピントを合わせるのですが、これまではマニュアルフォーカスでピント拡大を使い、合わせていました。α7R IIはフレキシブルスポットで画面のほぼ全域の中からピンポイントでピントを合わせられるので、たいへん撮りやすくなりました。5軸手ブレ補正の恩恵もとても受けています。α7R IIほどの高画素のカメラを使ってFE 70-200mm F4 G OSSの望遠で手持ち撮影をしても、まったくぶれていません。画素数が大きければ大きいほどブレに関してはシビアになりますが、手ブレ補正のおかげで意識してシャッタースピードを上げなくても撮れるようになりました。
これからもカメラのテクノロジーはどんどん進化していくと思っています。ソニーには新たな撮影体験ができるようなカメラやレンズを生み出してくれることを期待しています。