法人のお客様ラインアレイスピーカー

ラインアレイスピーカー『SLS-1A』

ラインアレイスピーカー
『SLS-1A』開発者インタビュー

第1回開発の背景と音質へのこだわり

クリアで均一な
音の体験を求めてたどりついた
ラインアレイスピーカー
という答え
これまで高品質なコンスーマー向け音響機器を数多く手掛けてきたソニーが新たに開発した、業務用パワードラインアレイスピーカー『SLS-1A』。その背景にはどのような思いや技術が込められているのか、全3回にわたってバックストーリーに迫ります。第1回となる今回はまず、ラインアレイスピーカーの特性や開発の狙い、音質へのさまざまなこだわりについて開発メンバーに聞きました。

通常のスピーカーは壁や天井からの反射の影響を受けやすいのに対し、ラインアレイスピーカーは正面から音を届けることが可能

通常はスピーカーから離れるほど音は小さくなるが、ラインアレイスピーカーは距離による音の減衰が少ない

通常のスピーカー  従来型  凹形状
通常のスピーカー
ソニーのラインアレイスピーカー  FLAT形状

音波干渉による音の歪みを抑え理想的な音源を提供する平面振動板

その平面振動板を磁性流体で支える構造を採用したことにはどのような効果があるのでしょうか。

田上:一般的なスピーカーは振動板の駆動源であるボイスコイルを機械的なダンパーで支えていますが、このダンパー自体がノイズの一因となっていました。SLS-1Aではダンパーを使用せず、磁性流体の磁力でボイスコイルを支える「磁性流体サスペンション構造」を採用しています。そうすることで機械的な抵抗を抑え、より伸びのあるクリアなサウンドが可能になりました。

ダンパーレス構造が伸びのあるクリアな高音質を実現

今回、スピーカーを等間隔でレイアウトしたことにはどのような理由があるのでしょうか。

吉岡:SLS-1Aでは1つのモジュールの中に8個のスピーカーユニットをわずか48mmという狭いピッチで配置しているんですが、これを2台連結したときも、連結部分で隣接するスピーカー同士の間隔が48mmになるよう設計しています。これが非常に大切なポイントで、この間隔が少しでもズレると高精度な指向性が出せなくなってしまうんです。2台、3台とつないでも内部のスピーカーがすべて等間隔になることで、まるで1つのスピーカーであるかのような、まとまりのある音と指向性制御を実現しています。
スピーカーの等間隔レイアウト

連結してもスピーカーの間隔が変わらないレイアウト

SLS-1AはFIRフィルターに対応しているとのことですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。

吉岡:今回FIRフィルターを採用したのは、より高精度なビームコントロールを実現するためです。先ほど説明した信号処理でずらしているというのは、要するに各スピーカーユニットに個別のディレイをかけるイメージなんですが、単純なディレイだと全周波数にわたって一律の時間差なので、周波数によって指向性の乱れなどが生まれてしまいます。そうしたときにFIRフィルターを使用すると、それぞれの周波数に合わせた最適な値での時間調整ができるようになるんです。つまり、指向性を制御する際に、周波数ごとの乱れをより緻密に補正することが可能になります。壁や窓ガラスに音が反射すると、音が濁ってしまうんですよね。そうならないように、スピーカーから出た音を聞く人の方向だけに届くように制御したりすることもできます。

岩田:このFIRフィルターと96kHzサンプリングレートのDSPのおかげで、狙ったところにより確実に音を届けられるようになりましたね。たとえば企業のエントランスなどで、ディスプレイの前にいる人だけに音を届けて、受付など音を届けたくないエリアに音を極力届けないといった制御の精度も大幅に向上しています。その音の境界がはっきりわかるくらい高い精度を実現できました。