新江ノ島水族館を運営する株式会社新江ノ島水族館様では、年間160万人におよぶ来場客にむけて、相模湾の海洋生物をメインに、40種類以上にもおよぶ美しいクラゲの展示や、イルカの飼育などを行っています。
また、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)など、海洋に関するさまざまな機関と協力しあっています。
この度、2004年4月から撮り続けている映像記録のファイル変換および長期保存を目的にオプティカルディスク・アーカイブを導入されました。
この記事は2019年10月に、株式会社新江ノ島水族館 広報部 山崎 秀之 様に取材した内容を弊社にてまとめたものです。
新江ノ島水族館についてはこちら⇒https://www.enosui.com/
新江ノ島水族館は、1954年に江の島水族館として創業し、その後2004年4月から新江ノ島水族館としてリニューアルオープンしました。
2019年現在では、年間約160万人もの来場者が訪れます。相模湾の海洋生物をメインに、40種類以上にもおよぶ美しいクラゲの展示や、長年にわたりイルカの飼育などを行っています。密かにブームになっているクラゲに関する展示は、実は旧・江の島水族館のクラゲ飼育のノウハウが、世界中に広がったものでもあります。
また、広報として動画配信サイトやSNSを活用した情報提供を行っていますが、当館が発信するYouTubeチャンネル「EnosuiMovie(https://www.youtube.com/user/EnosuiMovie )」では、2019年11月現在、「タコのすごい能力!」は564万回、「タカアシガニの脱皮6時間全記録!」は218万回の視聴回数となっています。静止画よりも動画で発信する割合が増えており、記録した動画をできるだけ早く、鮮度の高いうちに発信することを心がけています。
動画記録は、2005年頃から前任がHDVカメラで記録を始めました。管理するHDVテープの巻数は1200本程度になります。HDVテープに記録しているのは撮影素材が主になりますが、ショーの記録だけでなく、海洋生物の成長記録や、先ほど紹介した海洋生物の珍しいシーンも記録しています。飼育するイルカは、新江ノ島水族館生まれの五世もいるほど、長い期間飼育を続けていますが、イルカが誕生するシーンの映像は、非常に珍しい記録だと思っています。そのような中で、過去のHDV機器のサポートも終わり、利用できなくなりつつあります。貴重な記録を残すことが必要と考え、「デジタルアーカイブ」を検討しました。
重要なアーカイブであることから、導入検討に4年ほど要しましたが、最終的にオプティカルディスク・アーカイブを選択しました。どうやってアーカイブやファイル変換をするか、本当に残し続けることができるか、このような悩みを初歩的なところから一つ一つ解決し、導入に至りました。ブルーレイディスクは管理枚数が嵩むことと、編集しづらいため、検討から外れました。データテープとの比較では、イニシャルコストが高く、将来的な移行(マイグレーション)が大変という懸念がありました。
オプティカルディスク・アーカイブは、ドライブユニットに無償ライセンスが付属する「Content Manager」で管理できることと、「DV/HDV Capture」機能を使い、HDVデッキからiLink経由で取り込み、アーカイブできることが非常に便利でした。素材一覧は、Excelで管理していましたが、これらを「Content Manager」のメタデータとしてコピーしています。
管理の目線では、保管スペースはオフィス環境で保存することができ、使用する際の運用性も高いことが魅力です。導入直後は、業務の傍らでファイル変換作業を実施していますが、操作が簡単なこともありがたい点です。
カムコーダーはHVR-V1Jを長年使ってきましたが、3年程前にPXW-FS5を導入し、HDで映像記録をしています。放送局などから素材提供の協力依頼が来た際はファイルで提供することが増えてきました。
また、最近では、新江ノ島水族館内の大水槽の4K映像記録にチャレンジをしました。4K解像度と、XAVCフォーマットによる記録により、大水槽のシャープさ、奥行きが全く違う、すばらしい映像を記録することができました。データサイズも大きいため、4K記録を主に記録するにはまだまだナレッジが必要ですが、オプティカルディスク・アーカイブで保存することができるので、気軽に撮影しやすくなりました。
今後はチームメンバーをトレーニングし、誰でも簡単に検索して、使用したい映像を見つけられるようにしていく予定です。ファイル変換が完了したら、社内公開も行っていきます。
また、HDVテープの変換では、再生時間が極端に増えることから、目詰まりの問題などが出てきます。クリーニングテープで、一定タイミングで掃除することを心がけていますが、こういった作業のマニュアル化は、運用上非常に重要だと痛感しています。ソニーにはこういったノウハウについても、ぜひ協力してほしいと思っています。
2019年12月掲載