法人のお客様オプティカルディスク・アーカイブ 事例紹介 石川テレビ放送株式会社 様

事例紹介

オプティカルディスク・アーカイブ
お客様事例

石川テレビ放送株式会社 様

上位システムとの円滑な連携を可能にしたアーカイブシステムを構築。
Media Backbone Ensembleとオプティカルディスク・アーカイブ第2世代により映像データをフルオンラインで統合管理。

  • ODS-D280U
  • ODS-L30M
  • ODS-L60E
  • ODS-L100E
  • ODS-D280F
  • PWS-100TD1

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石川テレビ放送株式会社 様

  • 崎川洋司 様

石川テレビ放送株式会社様は、オプティカルディスク・アーカイブ(以下ODA)第2世代を採用したアーカイブシステムを2017年3月に導入、運用を開始されました。
同社 報道制作局 制作部 部長 崎川洋司様に、システムリニューアルの目的、コンセプト、アーカイブシステム採用の決め手、運用による成果や評価などを伺いました。
なお、記事は2017年4月中旬に取材した内容を弊社にてまとめたものです。

上位支援システムとの連携を軸にした効率的な運用に刷新

当社が新規アーカイブシステム構築の検討を開始したのは2014年でした。放送用テープメディアの棚管理保存やVTRの存続、ベースバンドでの運用に限界を感じ始め、ファイルベース化による効率的な運用を目指すこととしました。

その当時は、まだODAの認知度は低く、磁気テープを使ったLTOか、プロフェッショナルディスクか、ブルーレイディスクのいずれかを使用するかで検討を開始しました。その後のODA採用局の増加により、ODAも選択肢の一つとなりました。大容量、高速転送、そして100年以上の長期保存を可能にした第2世代モデルが登場したことと、当社の運用で軸となる西日本コンピュータ社製報道支援システムJaprsとMedia Backbone Ensembleとの充実した連携機能が決め手となり、ソニーのアーカイブシステムの導入を決定しました。

今回の導入ではPetaSite拡張型ライブラリーマスターユニットODS-L30Mなどや、高速転送を実現する第2世代ドライブユニットODS-D280Fと大容量の3.3TBのカートリッジODC3300Rによるフルオンラインライブラリーシステムを国内で初めて導入しました。また、USB接続可能なドライブユニットODS-D280Uも2式導入しています。ODS-Lシリーズを6ユニットまで拡張したフルオンラインライブラリーシステムの導入は、映像データの一括管理、メディア資産のセキュリティー確保、自動化によるワークフロー改善に貢献するものと期待しました。


第2世代ODAカートリッジODC3300R。3.3TBの大容量、読み出し2Gbps、書き込み1Gbpsの高速性、100年以上の保存耐久性を実現した点が評価されました。

PetaSite拡張型ライブラリーにも対応。マスターユニットODS-L30Mを1式、ドライブ拡張ユニットODS-L60Eを1式、カートリッジ拡張ユニットODS-L100Eを4式、第2世代のドライブユニットODS-D280Fを3式装備することでより大容量のアーカイブ保存を可能にしています。

さらに、VTR映像資産のファイルベースアーカイブ移行をサポートするテープデジタイズステーションPWS-100TD1を1式導入しました。長期的な課題の棚管理をしているベースバンドアーカイブを効率的にファイル移行できると評価した結果でした。

ファイルフォーマットには、MPEG HD422 50Mbpsを選択しました。MPEG HD 35Mbpsと比べて、明らかに画質が良かった点が決め手でした。映像業界において、CMや番組搬入におけるファイルベース運用への移行も進み始めており、番組販売や局内での再利用にも有効であることがアーカイブ運用の目的の一つであり、今後の活用に効果的であると判断した結果です。

ODA第2世代の登場を待つことを選択したことで、新規アーカイブシステムの構築は当初の想定時期より半年ほど遅れることになりましたが、ODAの大きな特長である記憶容量の大容量化、転送速度の高速化、メディアの長寿命化により、長期的なデータ管理と効率的なアーカイブ運用を可能にしてくれるものと期待しています。

今後の本格運用でODAならではの魅力を発揮してくれることに期待


テープ資産のファイルベースアーカイブへの移行をサポートするデジタイズシステム、PWS-100TD1も1式導入。膨大なテープアーカイブを効率的にデジタイズし、ODAへの転送作業もスタートしました。

新規導入したアーカイブシステムは、運用を開始してまだ1カ月あまりの段階で、収納したカートリッジODC3300Rもまだわずかです。総合的な評価や成果を公表できる段階ではありませんが、1本のカートリッジでHD映像を約100時間程度保存できることで、HDCAMなど放送用テープの棚管理運用と比較して、圧倒的な省スペース化を実現できました。またドライブの転送速度向上によって、アーカイブ作業の時間を大幅に短縮できる利点を早くも実感しています。

また、今回のアーカイブシステムではPetaSite拡張型ライブラリーによるフルオンラインデータ管理に対応したことで、現在棚管理している放送用テープによるアーカイブのすべてをファイル移行することで、再利用時に手間のかかる準備作業を削減し、人手のかからないファイルベース運用が可能になるだろうと考えています。

PWS-100TD1は、テープ資産のファイル変換でフル稼働中です。GUIのわかりやすさと簡単な作業手順は、VTRのデジタイズ作業に不慣れな担当スタッフの負担軽減に寄与しており、好評です。導入後のトレーニングとあわせ、導入期間を短縮し、いち早く運用を開始することができました。現在は、つねにスタッフが常駐して作業を行っていますが、取り込み作業を設定しておくことで、夜間にスタッフがいなくてもデジタイズ作業を行うことが可能である点も魅力の一つです。さらに運用スタッフの負担を抑えてテープ素材からの効率的なファイル変換作業を行えるようにしていくことも、今後検討してみたいと考えています。

今回、新規導入したODAを軸にしたアーカイブシステムが今後の本格運用の中でディープアーカイブのみならず、報道現場のニアライン運用にも有効に活用できることに大きな期待感を持っています。

報道支援システムとの連携や4Kアーカイブにも注目

導入したアーカイブシステムには現状不満を感じることもなく、大きな期待感を持って運用しています。たとえば、今回導入したODAライブラリーシステムでは、現在保管している弊社の放送用テープすべてのデータを収めることができ、その総時間はHDフォーマットで約25,000時間分となります。ODAカートリッジODC3300Rでは約250巻分となりますが、今後も増加するデータの蓄積も、カートリッジの追加だけで問題なくライブラリーシステム内で一括管理できることが安心材料の一つとなります。

システム検討時には課題もありました。それはライブラリーの素材管理から毎日のニュース放送における制作・準備までをきめ細かくサポートし、当社内の運用管理の軸となる西日本コンピュータ社報道支援システムJaprs(上位システム)との連携でした。検討当初は報道支援システムがまだODAライブラリーシステムに対応することができませんでしたが、今回ソニーと西日本コンピュータ社の全面的なサポートを得て、アーカイブシステムと連携可能な支援システムを2017年9月に更新する予定です。

支援システムとMedia Backbone Ensemble、ODAライブラリーシステムとの連携により、ライブラリー素材情報の管理、オンエア映像や制作番組素材をデータベース化するだけでなく、二次利用したい映像素材の検索、プレビュー、リトリーブ指示を、放送に関わる担当者が使い慣れた支援システムからでき、検索から再編集までの時間と手間を大幅に軽減することが可能となります。10月から運用開始する本格的な連携によって、より効率的なアーカイブ・リトリーブフローとスタッフの負担軽減に大きく貢献してくれると期待しています。

また、当社ではCineAlta 4KカメラPMW-F55やXDCAMメモリーカムコーダーPXW-FS7を導入して4K映像制作への取り組みも積極的に行っています。物理的にはXAVC 4KフォーマットでODAドライブユニットODS-D280UとODAカートリッジによる棚管理でも十分ではありますが、今後、4K放送が本格化していく過程で4K収録素材が増えていくと想定されるので、充実した4Kアーカイブの構築に今回導入したアーカイブシステムが貢献してくれると期待を持っています。

ソニーには今後も、ODAサポートの継続や第3世代への進化にも、これまでと変わらぬ姿勢で取り組んでほしいと思います。さらにODAが利用できるレコーダーやプレーヤーなどのラインアップの充実、データ量の大きな4K映像のハンドリングを手助けするアプリケーションの開発、提供にも期待しています。

2017年8月掲載
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