番組アーカイブにオプティカルディスク・アーカイブ第2世代を採用。長期保存性や、耐保存環境性、カセットローダとの連携による過去テープのファイル化作業における高い生産性を評価。
関西テレビ放送株式会社様は、番組アーカイブにオプティカルディスク・アーカイブ(以下ODA)第2世代を採用され、テープデジタイズステーションPWS-100TD1およびODAドライブユニットODS-D280Uを中心に、テープ素材を効率よくファイル化する「ファイリング室」を構築されました。
同社 編成局 知財推進部 主事 岩佐 周悟様ならびに、株式会社 エディックス 取締役 緒方 雅子様に、導入の経緯や決め手、運用ワークフロー、導入における期待や感想などを伺いました。
なお、本記事は2018年4月中旬に取材した内容を、弊社にてまとめたものです。
当社では、ファイル化の流れに対応するために、報道番組のサブ出し素材のアーカイブ用としてLTO-5を先行導入していました。その中で、当社の設置環境がLTOの仕様に対して過酷だったためか、埃によってLTOテープが読みだせないトラブルが発生することがありました。そういった経験から、1種類のメディアへ依存するのではなく、複数の媒体でアーカイブを行う流れになりました。そこで、原理的に異なる光ディスクメディアで、かつLTO-5と同等の1.5TBの容量をもつODA第1世代に着目し、ドライブユニットODS-D77Uを2014年に導入し、LTO-5を正本メディア、ODA第1世代を副本メディアとして運用してきました。
今回の番組完パケ用アーカイブメディアの選定では、当社のメディア保管環境には一般的なオフィス環境での保管が可能な堅牢性を持つODAの方が向いていると考えたこと、また、報道アーカイブでの実績やドライブとメディアが1つのメーカーで提供される安心感、加えて、放送業界に精通しているソニーへの信頼感を総合的に鑑み、3.3TB容量のODA第2世代を正本アーカイブ用として選定しました。
現在保有する8万番組、計5万本のテープ素材
番組系の大量の過去テープ素材をファイル化する「ファイリング室」の構築は以前から構想を進めていましたが、ファイル化システムの導入コストが課題となっていました。しかし、テープデジタイズステーションPWS-100TD1が登場したことで、全体予算にマッチしたシステムが実現できると感じ、一気に検討が加速しました。
現在保有する8万番組、計5万本のテープ素材を限られた年数でファイル化しなければならない一方、「働き方改革」を進める上では、ファイル化作業は残業が発生することなく、1日8時間の業務時間内で行えることが大前提です。スタッフの人件費にも限りがある中で効率よくアーカイブ作業を進めるためには、夜間に自動でファイル化を行うなど、オートメーションによる高い生産性の実現が不可欠でした。PWS-100TD1とアサカ社製カセットローダとの組み合わせへの対応は当初「難しい」とのことでしたが、継続して検討いただいた結果対応できることになり、導入の決め手になりました。
PWS-100TD1×1式とカセットローダによるVTR 2系統の自動デジタイズに対応
PWS-100TD1にはODS-D280Uが1台ずつ接続され、ODAカートリッジへの書き込みを行っている
導入は、2017年から2018年2月にかけて2段階で行いました。システム全体としてはPWS-100TD1を計4式導入し、うち1式がカセットローダによるVTR 2系統の自動デジタイズに対応、残りの3式ではそれぞれVTR 3系統の手動デジタイズを行う形で、合計11系統の同時デジタイズに対応しています。また、それぞれのPWS-100TD1にはODS-D280Uが1台ずつ接続され、ODAカートリッジへの書き込みを行っており、スタッフ1名あたり最大6系統の同時デジタイズ作業ができています。
カセットローダにより夜間も人手をかけずにデジタイズが可能になったことや、上位システムで管理しているメタデータからデジタイズのための情報を生成するアプリケーションをカスタマイズ対応していただいたことで、生産性の大幅アップにつながり、目標としていた効率的なファイル化作業を実現できました。運用開始後に出てきた使い勝手の改善要望にも、こまめに対応いただき満足しています。
ソニーには今後も、ODAのさらなる大容量化や転送速度、アプリケーションの操作性向上に期待しています。