販売用番組コンテンツのアーカイブメディアにオプティカルディスク・アーカイブを採用。ファイルベースの効率的な管理・運用・販売体制を構築。
株式会社TBSサービス様は、アーカイブシステムのアーカイブメディアとしてオプティカルディスク・アーカイブを導入され、2015年1月より運用を開始しました。
同社 番組本部 業務部 部長 小林浩一様、営業本部 ITサービス・印刷営業部 部長 芳賀龍治様に、導入の目的、選定ポイント、運用状況や今後の期待などを伺いました。なお、記事は2015年2月上旬に取材した内容を、弊社にてまとめたものです。
業務フロアの一角に設けられたサーバールームに設置されたオプティカルディスク・アーカイブシステム。PetaSite拡張型ライブラリーマスターユニットODS-L30M、ドライブユニットODS-D77Fを2台、カートリッジ拡張ユニットODS-L100Eで構成され、上位システムとの連携、ネットワーク化で効率的なアーカイブオペレーションを実現されました
当社の主力業務に番組販売があります。文字通り、テレビ番組というコンテンツを販売する業務です。TBS制作の番組販売をサポートするだけでなく、当社が独自に保有する番組コンテンツをJNN系列局だけでなく、全国の地上波放送局を中心に販売しています。近年はBS/CS放送局やオンデマンドなど販路が広がり、需要も拡大しています。また、国内だけではなく、子会社を介して海外の放送局にも提供しています。保有するコンテンツは、ドラマ、アニメーションなど多岐に渡り、過去の名作を含め数万点に達する膨大な量となっています。これらのコンテンツはこれまでHDCAMを中心としたテープメディアで専用倉庫にストックし、お客様の需要、ご要望に応じてテープにコピーして販売を行ってきました。
一方、放送局ではテープをメディアとしたベースバンドの運用から、ファイルベース/ネットワーク化が進んできました。番組販売においても、今後はファイルメディアの要望が確実に増え、いずれは主流となるだろうと考えられます。今回のアーカイブシステム構築の背景、経緯には、こうした時代の要請に対応していく体制を整える目的があります。もちろん、単純にファイル化できるだけでなく、効率的なアーカイブオペレーションが可能であること、また、お客様のご要望に的確かつ柔軟、さらに迅速に対応できるアーカイブシステムであることが不可欠です。これらをシステム構築の基本コンセプトとして、約2年の歳月をかけて社内で機材の選定、システム設計、ワークフローの検証などを行った結果、アーカイブシステムを構築することとし、アーカイブメディアには、より効率的な運用を可能にするソニーのオプティカルディスク・アーカイブを導入することに決定しました。
当社のアーカイブは番組販売も重要な位置付けとなるため、単に保存しておくだけでなく、いかに繰り返し活用できるかが重要です。この頻繁な二次利用に柔軟かつ効率的に対応ができるか、つまりランダムアクセス性が重要な選定ポイントになります。もちろん、貴重なコンテンツを扱うことになりますので、長期保存性に優れた大容量のメディアが求められることは言うまでもありません。
こうした観点で、磁気テープを使うLTOと光ディスクのオプティカルディスク・アーカイブとで比較・検討を行った結果、当社のアーカイブ運用にはオプティカルディスク・アーカイブが優位であると判断しました。高速ランダムアクセスに加え、光ディスクで最大1.5TBの大容量を実現しているだけでなく、拡張性や再生互換の維持など、将来性や発展性も魅力です。保存環境の点でも、磁気テープのようにシビアな条件を求められることがないので、インフラ構築の大きなメリットとなります。
また、もう1つの選定ポイントとして、XDCAMとの親和性の高さもあります。放送局などでは、すでにXDCAMがファイルフォーマットの主流となっています。従って、今後はお客様からXDCAMフォーマットでの納品のご要望が増えてくるものと想像できます。
HDCAMなどのテープからXDCAM Stationを使って、ファイル化しています
運用を開始して間もない段階ですので、成果について語るにはもう少し時間を要します。ワークフローとしては、HDCAMテープなどに保存されたコンテンツをXDCAM Stationを用いてファイル化し、SxSメモリーカードとXDCAM HD422レコーダー PMW-1000を使ってプレビューを行ってからMXFファイルとしてサーバーに登録、そこからオプティカルディスク・アーカイブに正・副で保存する流れとなります。アーカイブシステムは、オプティカルディスク・アーカイブから、プロフェッショナルディスクやSxSメモリーカードにリトリーブすることも可能になっています。ファイル化により、テープ運用時に行っていた必要な部分のリトリーブ作業も不要となります。再利用を迅速に行うことができるので、今後の番組販売の拡大に役立てられたらと思っています。
ファイル化し、プレビューを終えたコンテンツをアーカイブシステムサーバーに登録。そこからコントロールサーバーを介してオプティカルディスク・アーカイブに正・副で最終アーカイブされます。アーカイブされたコンテンツは、プロフェッショナルディスクやSxSメモリーカードへのリトリーブ運用にも対応しています
現段階で最も評価しているのは、PetaSite拡張型ライブラリーシステムを導入することで、コンパクトながら、大容量のアーカイブを実現できた点です。また、サーバー、UPS(無停電電源装置)、ネットワークを1ラックで収納できる省スペースな点もインフラ構築の上で大きなメリットでした。さらに、上位システムとの連携で、思った以上のスピードを実感し、上位システムで自由に選択されたさまざまなファイルフォーマットにも対応でき、当社の理想とする運用、オペレーションを可能にすることができたと満足しています。特にランダムアクセスは重要なポイントであり、二次利用の効率化に期待できると考えています。こうした点も含めて、今回のオプティカルディスク・アーカイブを中心とした機器選定、そしてアーカイブシステムの構築は正しいと考えています。
今後の本格運用には、大きな期待を持っています。一番は導入コンセプトの柱となっている、お客様の要望に、より柔軟に、的確に対応していくことです。たとえば、これまでのテープ販売では原則的に1:1のコピーで販売を行っており、過去の名作などニーズの高いコンテンツの販売で対応が煩雑になってしまうこともありましたが、ファイル化により複数のコピーが簡単に行えますので、より柔軟な対応が可能です。また、大容量のカートリッジを使うことでジャンルや番組を振り分けて管理することもできます。たとえば、長編連続ドラマもテープのように1話ごと保存するのではなく、1本のカートリッジに全話まとめて保存できますので、管理・運用がより効率的に行え、担当スタッフの負担やストレスも低減できると期待しています。
今後は4Kコンテンツの保存、販売も視野に入ってくる可能性があります。再生互換を保った状態での一層の大容量化、処理時間の短縮が大きなテーマとなりますが、オプティカルディスク・アーカイブは、すでにそれに対応するロードマップが発表されており、大いに期待しています。こうした拡張性、発展性はアーカイブを運用する上で非常に心強い材料だと言えます。当社のアーカイブシステムでは、長期間、安定した状態でコンテンツを保存し、運用できる体制、システムが必須条件となりますのでなおさらです。
ソニーには、従来同様の充実したサポート体制を維持していただくとともに、アーカイブシステムについてもつねに時代に合った提案を今後も続けて欲しいと思っています。
株式会社TBSサービス
1953年(昭和28年)創業。当初はラジオ放送用のダビングや印刷等を主力としていたが、現在はTBS(株式会社東京放送ホールディングス)の一員として、番組販売を中心に、イベント、印刷・出版・広告、映像、放送・情報技術など多彩な事業を展開しています。