使い慣れた運用の踏襲と円滑な二次利用を目指し、PetaSite拡張型ライブラリーシステムを導入。上位支援システムと連携。
当社では、2018年度から複数年計画で設備更新を進めています。今回導入したアーカイブシステムは2018年度の収録・編集システム更新がきっかけとなっています。収録・編集システム、そして上位システムである株式会社ニシコン製報道支援システムJaprsとのスムーズなデータ連携を目指し、報道サブ更新と同じ2019年度にアーカイブシステムを導入することとなりました。
当社として初めてアーカイブシステムを導入しましたが、システムの導入にあたり、2019年より当社メディア戦略室を中心に、運用やコンテンツ管理方法について検討が行われました。結果、報道中心のコンテンツ管理から、全社でのコンテンツ資産管理を行っていく方針になり、コンテンツの物流センター機能を担う専門部署として、知財推進センターを開設しました。
これまで管理されていたXDCAMプロフェッショナルディスク保管棚
今回の導入では、報道支援システムJaprsとの連携は肝となっています。従来の貸し出し運用のコンテンツ検索においては、報道支援システムJaprsを導入していることから、スムーズに運用ができていました。一方で、検索以降の運用に課題を感じていました。貸し出しには書面による承認作業を進めることと、膨大なライブラリー倉庫からメディアを見つけ出す作業が必要でした。その後、コンテンツの紛失などを防ぐため、ダビング(コピー)して、別のメディアで貸し出しを行っていました。そのため、検索以降の作業速度は担当者によって大きく差がありました。また、コンテンツは複数人が使えないため、二次利用申請が重複した場合には、待ち時間が多く必要となっていました。
2011年より導入されている報道支援システムJaprsの操作は、担当者が慣れており局内で浸透しています。今回導入したアーカイブシステムでは、報道支援システムJaprsの操作性は大きく変わらず、Media backbone EnsembleとODAがうまく連携し、アーカイブ作業や二次利用を効率化できるようになりました。
大きな変化点は二次利用(リトリーブ)作業となりますが、システムの連携とODAからの高速ファイル転送により、従来よりも短い時間でコンテンツが編集システムに届くようになっています。コンテンツの在り処がサーバーラック室になり、「アーカイブメディアが近くに存在しない」ことを不安に感じる担当者もいましたが、実運用に入ると棚からメディアを探す必要が無くなり、評判が良いようです。
また、これまでの運用では、二次利用のためのダビング作業によって、同一コンテンツが中間メディアとして複数存在していました。アーカイブシステムの導入によって、二次利用申請したコンテンツは編集システム用の共有ストレージにファイル転送されるため、中間メディアの管理は不要になり、中間メディアにかかるコストも削減できます。導入したPetaSite拡張型ライブラリーシステム内には、この先必要となる容量のカートリッジが保管できますので、アーカイブメディアの物理的な管理に対する負担も減りました。
新規コンテンツは、収録・編集システムからアーカイブされますが、過去コンテンツは、順次ODAへ移行を進めています。報道コンテンツは、知財推進センターでXDCAMプロフェッショナルディスクからファイル取り込みを行っています。番組コンテンツはテープデジタイズステーションPWS-100TD1を使ってデジタイズ業務を行っています。
すべてのコンテンツがODAに移行されれば、フルオンラインアーカイブシステムが完成し、さらに利便性の高いにシステムになると考えています。
今後、フルオンラインシステムになるにつれ、ネットワーク負荷は大きくなっていくものと推測しています。多数の同時プロキシ映像閲覧への対応や、アーカイブ・リトリーブ動作の高速化を図っていく必要があります。また、ODAへの期待は、マイグレーション(データ移行)を限りなく減らしたいことと、長期的な互換性の確保です。HDDなどでのデータ保管は更新期でのデータ移行によるデータロスが課題となりますが、保存寿命100年以上のメディアで確実にデータを残し、ハードウェアが劣化しても、最新機種のハードウェアで読み出しが行えるよう、継続的なサポートに期待しています。