何気ないひとコマや旅行など、写真とともに思い出を振り返るのは楽しいもの。とりわけイベントが多い夏は、シャッターを切る機会が増えます。真夏の思い出写真を、美しく幻想的に仕立ててみませんか?
そこでご紹介したいのが、フォトモンタージュというテクニック。撮影済みの写真の上にもう1枚重ねて撮る “多重露光”を応用した撮影手法です。『PlayMemories Camera Apps』の『多重露光』アプリを使えば、難しい設定をしなくても、テーマを選択するだけで適した画像の重ね方や、最適化された設定で撮影することができます。
対応カメラ機種は多数!なかでも今回はRX100シリーズを使って撮影しました。
※アプリ対応カメラ機種一覧は、こちらをご確認ください。
今回フォトモンタージュでつくる夏の思い出の残し方を教えてくれたのは、多重露光のテクニックを駆使して幻想的な作品を数多く発表している写真作家のカズキヒロさんです。
目次 INDEX
カズキヒロさん
写真作家。複数の写真を透過して鮮烈かつ幻想的なイメージを生み出すフォトモンタージュの第一人者。フリー写真素材サイト『ぱくたそ』カメラマン。「あたりまえポエム」(講談社)で、表紙を含むすべての写真の撮影を担当する。
江ノ島×真夏の青空を重ねて「青空に浮かぶ島」をつくる
まずは、まるで天空の城のような幻想的な写真、「青空に浮かぶ島」のつくり方をカズキヒロさんに教えていただきました。
「2枚の写真を重ねることでできる表現なのですが、どの部分を重ねるかがポイントです。この『多重露光』アプリを使って、まずは『マニュアル』『イージーシルエット』『空』『テクスチャー』『回転』『ミラー』『ソフトフィルター』の7種類からテーマを選びます。次に多重露光方式(画像の重ね方)を『単純加算』『重み付け平均加算』『比較(明)』『比較(暗)』『スクリーン』『乗算』の6種類から選択します。今回ご紹介する写真はすべて、テーマは『マニュアル』、画像の重ね方は『スクリーン』で組み合わせて作りました。ガイダンスに従えば簡単に撮影できますよ」
写真が重なる暗いエリアを意図的に作るため、カズキヒロさんは、“スプリッツァー”というテクニックを使用しました。まずベースとなる空は、レンズの前に黒い紙を添え、上半分が暗くなるように撮影。
続いて『多重露光』アプリを使って、江ノ島を下半分(水面)が暗くなるように黒い紙を添えて空を撮影。
重なったバランスをその場でチェックしながら撮影し、テーマを『マニュアル』、画像の重ね方を『スクリーン』に設定します。
「感光しない部分を意図的に作るスプリッツァーという珍しいテクニックで、デジタル写真でも応用できます。撮り方のポイントは、メインの被写体と、背景の被写体の“主従”を決めておくこと。今回は背景となる被写体を先に撮っていますが、そうするとバランスのいい構図になります」
こうしてできあがったのが、江ノ島がまるで空中に浮かんでいるようなみごとな写真。仕上がりにこだわるなら、「ちょっとレタッチするといいですよ」とカズキヒロさん。少し手を加えると、このように神々しい雰囲気に仕上がります。
『PlayMemories Camera Apps』にも、明るさや彩度を補正できる「フォトレタッチ」があるので、試してみるのも面白いでしょう。ほかにも星空の軌跡を撮影できる「スタートレイル」や、ガラスの映り込みを低減させる「デジタルフィルター」など、表現の幅を広げるアプリが数多く揃っています。
水槽のなかの金魚を、アプリひとつで都会の夜景に泳がせる
さて、今度は東京の夜景を巨大な金魚が悠々と泳ぐ、アートアクアリウムのような作品の作り方です。
「まず金魚を先に撮影します。当然水槽のなかで動き回っているので、そこをどうキレイに収めるかが一番のポイント。奥側が暗いシチュエーションを選び、水槽の反射光が写り込まないように角度に気を遣いながら撮ります。また夜景を重ねる“余白”のある構図を考えてください。ストロボが使えずシャッタースピードが遅くなるため、被写体の動きに合わせてカメラを動かしながら撮影する“流し撮り”も効果的ですね。ちなみに今回はこのような写真を撮りました。
そのうえで、重ねる夜景を構図で決めましょう。建物のディテールより光の造形を押さえればよく、シャッタースピードは速くて大丈夫。三脚は使わず、手持ちでもじゅうぶん撮影できますよ」
夜景を上下逆に2枚撮影すると、未来感のある1枚に
金魚の撮影はちょっと難しい…という人のために、2つの夜景を重ねるというアプローチは実はカンタンです。東京タワーが中心から天地に向かって対象に伸びている様は、立体的で光に溢れていて、未来感を感じさせます。
「下半分が暗くなる場所を選んで、この写真のような東京タワーを撮影します。
その後、『多重露光』アプリを立ち上げて、カメラをクルッと180度回転させ、同様の構図で撮るだけなんです。東京タワーのみならず、様々な夜景で応用できますよ」
見慣れた夜景がちょっとした“サイバーパンク”になるなら、試してみるのも面白そうです。
「素材となる写真からは、予想も付かない印象やメッセージ性が生まれるのも、フォトモンタージュの面白いところなんです」
高い描写性能と豊富なアプリで、夏の思い出を重ね合わせる楽しみ
「今回撮影に使ったのは『DSC-RX100M5』ですが、サイズ感からは想像できないくらいよく写りますね。レンズもシャープで、開放に振ればキレイにぼけるし、絞るとピリッと締まる。またポップアップ式のファインダー(EVF)の存在には本当に助けられました。逆光で撮ることも多いので、ちゃんと覗けるファインダーが付いていることには大きなアドバンテージがあります。また今回使った『多重露光』アプリだけでなく、『PlayMemories Camera Apps』には様々なアプリがそろっているので、他のアプリを使っても面白い夏の思い出の1枚にできそうですね」
ちなみに「Antenna」でも、カズキヒロさんのフォトモンタージュの撮影テクニックを紹介していますので、興味のある方はチェックしてみてください。
フォトモンタージュのテクニックを使うと、肉眼で見える風景とはまったく違う印象を作り出すことができます。必要なものはカメラひとつ。ソニーのカメラと『多重露光』アプリで、楽しいイベントやおでかけ、旅行などなど、気になるシーンを重ねてみましょう。「夏の思い出」が、ちょっとアーティスティックなものになりそうですね。
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