夏の楽しみと言えば、花火を挙げる人も多いのでは?熱帯夜の空にきらめく巨大な花々。暑さも吹き飛ぶ美しい一瞬の連続に、しばし時を忘れて見入ってしまいますよね。その様子を写真に収めるなら、さらに美しさを際立たせるテクニックを駆使してはいかがでしょうか?
そこでご紹介するのが、昨年「大人のソニー」で大好評だった花火撮影の手法「福田式撮影術」。まずは考案者の花火写真家・金武さんが、新たに撮影した写真を花火の醍醐味や撮影の目の付け所とともに、ご覧下さい。
目次 INDEX
尺玉 彩色点滅千輪菊
「青、紅、緑、紫など様々な色を組み合わせた色の配色を『彩色』と言います。
千輪は上空で『ドンッ!』と鳴ったあと小さな花火が『バラバラバラッ』とたくさん開花する華やかな花火です。
『点滅』は、『キラキラ』や『チカチカ』と高速で明滅を繰り返しながら消えていく状態(変化)をいいます。」(金武さん)
尺玉 八重芯青八方咲
「八方咲は『牡丹花火』や『菊花火』の様に星が均等に配列されておらず、雪の結晶の様に光跡の間隔が空いています。
八重芯は花火の中心が二重になっており、この写真の花火はピンク、スカイブルーの八重芯になっています。
一番外側の親星は青で構成されていて、芯と親星を数えると三重に見えます。
また花火の光の粒を『星』と呼びます。」(金武さん)
尺玉 紫牡丹花火
「紫色の星が使用された『牡丹花火』です。
『牡丹花火』や『菊花火』の様に球型に開花するものを『割物花火』と呼びます。
割物は何処から見ても球型に見え、日本の花火のスタンダードな形と言えます。
尺玉は開花した時の直径が280〜330mにも広がり、一般的な花火の中では一番大きな花火です。」(金武さん)
いずれも、息を吞む美しさですよね。果たしてどんなテクニックを駆使して撮るのでしょうか。ソニーのデジタル一眼カメラ α7Sを使った撮影手法を学んでみましょう。
花火写真家・金武 武(かねたけたけし)
1963年神奈川県横浜生まれ。旧姓福田。写真の技術を独学で学び、30歳で写真家として独立。花火写真家として打ち上げ花火を独自の手法「福田式撮影術」で撮り続ける。
写真展やイベント、雑誌等の各メディアなどで作品を発表。花火の解説や講演会の依頼、写真教室での指導も増え続けている。
まずは基本:打ち上げ花火を美しく撮る準備
福田式で花火を撮る前に、必要な準備について伺いました。
準備物編
「事前の準備が肝心。この道具がいい作品を撮る助けになってくれます」(金武さん)
- ・NDフィルター…被写体の光量を抑え、白飛びを少なくする
- ・三脚…花火の撮影に手ブレは大敵。三脚でブレを少なくする
- ・リモートコード…シャッターを押すことさえもブレにつながるため、リモートコードを使用してカメラ本体に触れずにシャッターを切る
- ・プログラム…どんな花火が上がるのか、プログラムで確認
- ・ライト…会場は暗いため、手元を照らすためのペンライトやヘッドライトが必須
そのほか、折りたたみいすやレジャーシート、時計の準備をしておきましょう。
今回の撮影ではリモートコードを使用しましたが、ソニーのスマートフォンアプリ「PlayMemories Mobile」をスマートフォンにダウンロードすれば、カメラのリモートコントロールが可能になります。
F値設定編
「花火は色によって光の強さが違うんです」と金武さん。「色ごとにF値を変えれば、白飛びを抑えてしっかりと色を写しだすことができます」
- ・青の花火…F値:5.6~8程度
- ・赤の花火…F値:5.6~11程度
- ・緑の花火…F値:11~13程度
- ・黄色の花火…F値:11~13程度
※ISOは共通で100、NDフィルターは4(光の透過率が25%のもの)を使用した場合
打ち上げられる前から花火の色なんてわからない…と思うかもしれませんが、実は準備物編で挙げた「プログラム」がいい働きをしてくれます。
「プログラムには打ち上がる順に花火の名前が書いてあります。事前に調べておけば、その名前から色がわかるんです」(金武さん)
まずは基本:打ち上げ花火を「ライトトレイル」で撮る
金武さんの、花火の撮影は基本的にバルブ撮影。シャッターボタンを押しているあいだ、シャッターが開き続けるという撮り方で、30秒以上シャッターを開けたい場合や、花火の尾の長さを調整したい場合に便利です。
しかし、撮影の初心者にとってバルブ撮影はなかなか難しい場合も。シャッターを押している間、ファインダーと液晶モニターにはなにも映らないため、花火がどんなかたちで映っているかわからないのです。
そんなときに便利なのが、PlayMemories Camera Appsのアプリ「ライトトレイル」。ライブビュー画面で光が伸びていく様子を確認しながら撮影ができるため、軌跡の長さを意図通りに仕上げられます。
さらに、光が変化した部分のみを写しとるため、画面全体が明るくなりすぎるということもありません。
こちらの動画は、ライトトレイルで花火を撮影している際のカメラのモニターの様子。光が伸びていく様子がわかります。
※「ライトトレイル」アプリの対応機種は、α7Sとα5100です。
加えて、ライトトレイルにはタッチレスシャッター機能も搭載。カメラのアイセンサーの近くに手をかざすだけでシャッターを切ることができるので、手ブレを抑えられます。
こちらが、金武さんにライトトレイルで撮影いただいた写真です。光の伸びが美しい!
福田式に挑戦する
さて、いよいよ福田式に挑戦してみましょう。撮るのに向いているのは、単独で大きく上がる打ち上げ花火。
「花火のプログラムは、小さいものがたくさん上がる→打ち上げ花火が大きく上がる→スターマインでフィニッシュという場合がほとんど。なので、最初に小さいものが上がるオープニングで練習をして、中盤あたりで本命を狙うといいんです」(金武さん)
こちらの動画は、福田式で撮られた上の写真の花火を、動画で撮ってみたもの。肉眼ではこう見えているはずの花火、いったいどうすればあんなふうに変化するのでしょうか。
実は福田式は「文字で手順にすると非常に簡単。ですが、やってみるとなかなか難しいんですよ」(金武さん)
福田式撮影方法
- ・撮影モードをバルブ撮影に設定しておく。ISOは100に設定
- ・カメラを三脚に固定し、花火があがってくる方へ構える
- ・花火があがったら、花火が開いたタイミングでピントをぼかし、シャッターを押す(前半で紹介したライトトレイル撮影とは違い、指でシャッターを、押す)
- ・花火がある程度開いたら、花火にピントをあわせ、シャッターから指を離す
手順にすればたったの4ステップ!
しかし、きれいな仕上がりのものをとるのはなかなか難しいのだそう。
「この2枚の写真は、見方によってはおもしろいものに見えるかもしれません。しかし、福田式としては失敗です。左の写真の花火の先端が揺れているのは、カメラが揺れたことによるブレ。右の写真は花火の外輪、先端のほうがしぼんだあと、また広がっていますが、これはピントがしっかり合わなかったことによる現象です。いずれも、撮影の技術がしっかりしていれば解消できるもの。せっかく撮るのなら、花火の筋がピンと伸びたものを狙いたいですね」(金武さん)
花火撮影の心構え:楽しい思い出を写し撮る
最後に、花火を撮影する際の心構えについて伺いました。
ひとつの作品に3年かける気持ちで
「私は、ひとつの作品を仕上げるのに3年かけています。1年目は下見をして、ロケーションや花火のプログラム構成を確認。2年目に試し撮りをして、3年目に本番。本気で撮るのであれば、これくらい時間をかけてもいいかもしれません。長い時間をかけて最高の1枚を撮るというのも、なかなかいいものです」
撮れれば良いのではない。撮った作品を見て、いい気持ちになれるか
「花火撮影の際には、周囲への気配りが重要です。三脚を大きく立てて撮ると後ろのひとの邪魔になります。座って、三脚を低く立てて撮りましょう。会場によってはイスを立てるのがNGな場合もあります。みなさんが楽しみにしている花火ですから、会場のルールはちゃんと守るのが前提です」(金武さん)
日中に構えていただきました。
「そもそも、花火は見て楽しむもの。撮影を行う我々は少数派なので、周囲の方たちがきちんと楽しめるように気を配る必要があります。まわりに挨拶をして仲良くなっておけば、撮影におあつらえ向きなスポットをに教えてくれることだってあるんです。撮影のときも楽しくないと、あとから作品を見ても美しく見えない気がしませんか?」(金武さん)
しっかりマナーも守ってこそ、大人の花火撮影。この夏はライトトレイルや福田式のテクニックを駆使して、素晴らしい作品を残してみませんか?
※本記事は2016年7月掲載の内容を一部変更して掲載しています
幻想的な夏景色 ~フォトモンタージュの世界~
何気ないひとコマや旅行など、写真とともに思い出を振り返るのは楽しいもの。とり…
- DSC-RX100M5
- RXシリーズ
- PlayMemories Camera Apps
前の記事
4K有機ELテレビで涼む。おうち4K水族館
海の生物を間近に見られる水族館は、夏の風物詩のひとつです。大きな水槽の…
- A1シリーズ
- FDR-AX100
次の記事