――モノ作りへの情熱という点でメガスターの開発エピソードはAIBOの開発と共通する部分が多いですね。 大平：作っているものは違いますが、それはあると思います。 メガスターとAIBOの基本的なマインドはすごく近いのではないでしょうか。 AIBOの開発者の中には子供の時からロボットに関心があった人が多いのかな、と思うんですけどどうでしょうか？ 「子供のころから好きなもの」というのは人生のひとつのキーワードになると思います。子供のころからずっと夢をもってやっていくという力は侮れません。 自分もいまのメガスターを作っている原動力のかなりの部分が子供のころに吸収した知識です。 メガスターを作るにあたってはいろんな分野の技術が必要です。でも実際は僕が個人で作ったものです。普通だったらいろんな分野の人が集まって作るものでしょうが、僕の場合は子供のころにいろいろなことに興味を持ったことが今とても役に立っているんです。 子供はお金も無いし、行動の自由もないし、いろんな経験も足りないです。 社会に影響を与えるようなものは子供のころに作り出すのは不可能ですけど、その時についた「火種」はとても大きいものではないでしょうか？ ここでAIBO「ERS-7M2」の新機能や新色パールブラックをじっくりと見ていただきました。 ――AIBOを見た印象はいかがですか？ 大平：かっこいいですねぇ。 この色（パールブラック）の塗装も非常にいいと思います。 僕もメガスターの塗装にはこだわっているんです。今メガスター2に使っているのはマジョーラカラー(*1)ですよ。 キラキラしているのははパールですか？ ――「パールブラック」という名前ですが、実際はブルービーズがちりばめられています。この深い黒にきらめく青い光は少し星空にも通じるところがあるような気もするのですが（笑） 大平：そうですね（笑）！ ほんとだ。よく見ると青い！ 「パールブラック」っていう名前なんですか。 僕だったら・・・「スターブラック」っていう名前もいいと思いますけど。（笑） 大平：「AIBO！」 (AIBOが返事をして大平さんのほうを見ています。) 大平：声の方向がわかっているんですか？反応がすごく早い。 あと、動きが滑らかですから、ロボットという感じがなくすんなりと受け入れてしまいますけれども、これだけ動かすのはメカ的にもかなり大変でしょう。 AIBOを見ていると、すんなりと動く僕たち生物ってすごいんだなぁということも改めて感じられるかもしれませんね。 パソコンで操作するというのも面白いです。 写真やムービーを撮影したり、音楽を楽しんだりと、パソコンを使うことで楽しみ方が本当に広がるんですね。 チャット機能で話す言葉はまるで「QRIO」(*)ですね。（笑） *声の雰囲気や速度・アクセントは変更できます。 ここでお気に入り登録に挑戦。 大平さんの名刺を見せて覚えさせました。 AIBOは見事「ぼくの名刺」という名前で覚えることができました。 大平：ちゃんと覚えた！見つけた時に覚えさせた名前を呼ぶんですね。 あまりヘンなものを覚えさせないようにしないと。 隠したモノをAIBOが家族に告げ口しちゃったりして。（笑） 今度のAIBOは「お留守番」もするんですよね。番犬みたいになるんだなぁ。 だんだんと家庭で必要とされているものが組み込まれていっていますね。 そのうち家族のために戦うようになったりして。でもそれはAIBOの方向性とは違いますね（笑） TOPに戻る↑ 大平貴之さん 1970年神奈川県川崎市生まれ。数々の自作プラネタリウムに取り組み、大学時代に、個人開発では前例のないレンズ投影式プラネタリウム「アストロライナー」を完成。 1996年ソニー(株)入社、生産技術の業務に携わる。 1998年には恒星数100万個の「メガスター」を、2003年には更に改良しパワーアップした「メガスターII」を完成。 同年、ソニーを退社。フリーとなり、プラネタリウムクリエイターとして活躍中。 著書に『プラネタリウムを作りました。〜7畳間で生まれた410万個の星〜』（エクスナレッジ) 大平さんのホームページ MEGASTAR-online (*1)マジョーラ・・・マジョーラとは、ラテン語で魔法を意味する“Majja”とオーロラ“Aurora”を組み合わせた造語。その名前からも分かるように、見る角度や光のあたり方によって何色にも微妙に色が変化。贅沢な光沢感が特長。 AIBOでは2ndアニバーサリーを記念して生まれたERS-210のドレスアップカラーでマジョーラカラーを使用。バリエーションは、サファイアバイオレット・エベレストホワイト・マゼラングリーンの３タイプあった。 *マジョーラは日本ペイント株式会社の登録商標です。 インタビュー TOP