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新田 |
「録る」「見る」「残す」の3つで高画質を実現する技術を盛り込んだ「スゴ録」専用のLSI「CXD4702GB」は、まさに私たちが長年に渡って追求してきた“キレイ”の集大成だといえます。実際、「スゴ録」の前にも「Clip-on」や「Cocoon」などのハードディスクレコーダーを出しており、数年前からMPEGを使ったレコーダーの開発を手がけてきたわけです。その中で、いろいろなLSIを開発しながら技術を進化させ、最終的にMPEGの変換を行うエンコード/デコードの機能を入れて、すべての機能を集約させたのが「CXD4702GB」なんです。要素技術の研究開発の仕掛けから数えると5年以上やってきたことになります。このLSIによって、数あるDVDレコーダーの中でも「スゴ録」は高画質に関する差異化が実現できたと自負しています。 |
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小林 |
個人的な仕事でいうと、MPEGのノイズリダクション機能としては、約7年ぐらい前に「ビデオCDプレーヤー」という製品のために開発した、小さなLSIが最初でした。恐らく世界でも、ブロックノイズリダクション機能を民生用の製品に入れた最初のケースだったと思います。そこから、MPEGの高画質技術を進化させてきたんです。開発者としては、いろいろとやりたいアイデアはたくさんありますが、今回の「CXD4702GB」のような大規模なLSIとして実現するのは非常に大変で、やりたくてもなかなかできないことなんです。半導体部門とか、製造の部門とか、さまざまな部門と連携しないとできない。他にも、LSIの設計やファームウェアの開発など、ベンダーとしての実力がないとできません。それが形になったのは非常にうれしいですね。 |
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新田 |
先ほども話が出ましたが、なぜ専用のLSIを開発するのかというと、誰でも手に入れることができる部品を組み合わせただけでは実現できない、より複雑な処理ができるようになるからなんです。たとえば今回の「CXD4702GB」では、ひとつのチップの中にデコーダーとノイズリダクションの機能が入って、連動できるようになったことが大きいですね。デコーダーの情報を利用することで、「Dマトリックス
NR」という適応型のノイズリダクション機能を実現することができた。今までは、ノイズリダクションとデコーダーが別のチップだったので、ブロック間の緻密な連動は難しかったんです。また、今までのデコーダーでは取れなかった情報も取れるようになりました。これを使うことで、ノイズリダクションの性能がさらにあがりました。 |
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小林 |
ただし、大きなメリットが得られる分、開発の苦労も増えました(笑)。今回はLSIにノイズリダクション機能を入れたわけですが、それをどう制御するかはLSIに内蔵のCPUを使って、プログラムを組んで行っているんです。いろいろな情報がLSIから取れるのはいいが、パラメータの数が非常に多いので、その情報をどう使うかが難しい。膨大なパラメータと格闘しながら画質のチューニングを行うには、ノウハウや経験が必要です。パラメータのどの部分をどう使って、どう味付けするか?そこが一番苦労したところでした。その苦労のかいあって、今回は画質にも“おまかせ”の機能を実現できたのがうれしいですね。お客様が直接、ノイズリダクションの操作をするのではなく、手をわずらわせる必要がないように、可能な限り“おまかせ”を追求しました。今後も、ハードの開発はもちろんですが、高度な“おまかせ”機能を実現するため、チューニングにもこだわっていきたいですね。 |
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