撮影を楽しもう
星空編
ユーザー作品 (写真投稿コミュニティサイトα cafeより)
星空は見るだけでも楽しいですが、被写体としても魅力的です。できるだけ人工の明かりが少ない場所を選んで、まずはお手持ちの機材で気軽に撮影を楽しんでみましょう。
星空と景色を一緒に写したい
広角レンズがおすすめ
また、F値の小さい明るいレンズであれば多くの光を取り込むことができるので、よりたくさんの星が写せます。月が出ていると小さな星は月明かりに隠されてしまうので、新月の夜など月明かりの影響がないときを選んで撮影しましょう。
ユーザー作品 (写真投稿コミュニティサイトα cafeより)
APS-Cサイズの画角は焦点距離×1.5で計算する
APS-Cは35mmフルサイズに比べてイメージセンサーサイズが小さいため、画角(写る範囲)が狭くなります。APS-Cサイズのボディにレンズを装着した場合の焦点距離イメージを35mm判換算と呼び、焦点距離の約1.5倍として計算します。
E 11mm F1.8(SEL11F18)の場合 11×1.5=16.5mm
星が点で写る限界とは
北極点を中心に星が回っているように見える動きを日周運動と呼びますが、この日周運動のため、カメラを固定したまま長時間露光すると星は線になって写ります。
星を点で写すためのシャッター速度の限界はレンズの焦点距離によって異なり、一般的に以下の計算式を目安にします。
35mmフルサイズの場合 → 500÷焦点距離
APS-Cの場合 → 500÷(焦点距離×1.5)
たとえば3つの焦点距離で星を点で写すためのシャッター速度の限界を比較してみます。
14mm 500÷14=約35秒まで
20mm 500÷20=約25秒まで
35mm 500÷35=約14秒まで
つまり、星を点で写す場合は焦点距離が短いほどシャッター速度を遅くできます。シャッター速度が遅いときに適正な露出を得るためには、F値が小さいほどISO感度を低めに設定できます。
この計算式はあくまでも目安です。環境によっても適正露出は変わりますので、設定を変えながら試し撮りをして最適な露出を決めましょう。
市販のポータブル赤道儀を使うと、星の日周運動に合わせてカメラを動かすことができるので、長時間露光しても星を点で写せます。
撮影設定
星空撮影はMモード(マニュアル露出)でF値、シャッター速度、ISO感度を調整しますが、使用するレンズや周囲の明るさ、また、どのような表現をしたいかによっても最適な設定は変わってきます。星を点で写したい場合は上記の計算式を参考に、迷ったら下記の設定で試し撮りをしてみましょう。
星を点で写す設定
- レンズ
- 広角レンズ、ズームレンズの場合は広角側
- 撮影モード
- Mモード(マニュアル露出)
- F値
- できるだけ小さく
- シャッター速度
- 15秒〜30秒
- ISO感度
- ISO800〜3200
30秒以上はBULB撮影
星の軌跡を撮りたいときや、ポータブル赤道儀を使って長時間露出するときなど、シャッター速度を30秒以上にしたい場合はバルブ撮影します。バルブ撮影では、シャッターボタンを押している間シャッターを開けておくことができます。
星の軌跡を撮るときは数分〜数十分の長時間露光になるので白飛びを防ぐため、F値は絞り気味に、ISO感度は低めに設定します。
Point 1
静止画 Mモードに設定
Point 2
シャッター速度30秒の先にあるBULBを選ぶ
星の軌跡を写す設定
- 撮影モード
- Mモード(マニュアル露出)
- F値
- F5.6〜F8.0
- シャッター速度
- BULBで数分〜数十分 撮りたいイメージに合わせて調整
- ISO感度
- ISO200
■ 電子シャッターでは使用できません。
■ リモートコマンダーがあれば、シャッターボタンをロックすることができるので便利です。
ソフトフィルターで星座を強調
市販のソフトフィルターを使うと、ふんわりと滲んだような効果が得られるので、幻想的な雰囲気を醸し出すことができます。 また、明るい星がより大きく写るので、星座が強調されます。
レンズにソフトフィルターを付けて撮影
星座早見盤があれば、どの方角のどの位置に何の星座があるか素早く確認できます。
リヤフィルターホルダー搭載のレンズ
超広角レンズの中には、レンズの前面にねじ込み式のフィルターが装着できない仕様のものがあります。以下のレンズは、市販のシートタイプのフィルターを差し込むリヤフィルターホルダーを搭載しています。
- FE 14mm F1.8 GM(SEL14F18GM)
- FE 12-24mm F2.8 GM(SEL1224GM)
レンズの前面がドーム状に出っ張っていて、レンズ一体型のフードになっています。
流星を撮りたい
ユーザー作品 (写真投稿コミュニティサイトα cafeより)
- 焦点距離
- 14mm
- F値
- 2.0
- シャッター速度
- 25秒
- ISO
- 4000
- 使用レンズ
- FE 14mm F1.8 GM(SEL14F18GM)
インターバル撮影で偶然をねらう
インターバル撮影では、あらかじめ設定した撮影間隔と撮影回数で撮影を自動で繰り返し行います。流星を捉えることができなかったとしても、パソコン用アプリImaging Edge Desktopを使えば素敵な星空タイムラプス動画を作成できます。
撮影設定
流星の撮影設定(インターバル撮影)
- レンズ
- 広角レンズ、ズームレンズの場合は広角側
- 撮影モード
- Mモード(マニュアル露出)
- F値
- できるだけ小さく
- シャッター速度
- 15秒
- ISO感度
- ISO3200〜
- 静止画横縦比
- 16:9(タイムラプス動画を作る場合)
- ドライブモード
- インターバル撮影
- 撮影間隔*
- 1秒
- 撮影回数*
- 任意(回数が多いほど長いタイムラプス動画が作成できます)
*はインターバル撮影設定
[長秒時NR(ノイズリダクション)]または[長秒時ノイズ低減]を[入]にすると、シャッターを開けていた時間と同じ時間ノイズ軽減処理が働くため、インターバル撮影間隔で設定した秒数にノイズ軽減処理の時間が追加されます。シャッターチャンスを優先したい場合は[切]にしましょう。
動画を撮影する
動画の場合、画角内に星が流れさえすれば撮り逃すことがありません。シャッター速度が遅い方が流星が流れる「輝線」が長く写ります。動画撮影では静止画撮影に比べると設定できるシャッター速度が速いため、同じF値でも暗くなるのでISO感度を上げて露出を調整します。
流星の撮影設定(動画)
- レンズ
- 広角レンズ、ズームレンズの場合は広角側
- 撮影モード
- Mモード(マニュアル露出)
- F値
- できるだけ小さく
- フレームレートとシャッター速度(例1)
- 30p 1/30秒または 1/60秒
- フレームレートとシャッター速度(例2)
- 24p 1/25秒
- ISO感度
- ISO25600〜
長時間の撮影になるので、予備のバッテリーがあると安心です。モバイルバッテリーで給電しながら撮影することもできます。
月や惑星などを大きく撮りたい
月を撮る
SS 1/5秒 F8.0 ISO400
SS 1/500秒 F8.0 ISO400
月の撮影設定
- レンズ
- 望遠レンズ
- 撮影モード
- Mモード(マニュアル露出)
- F値
- F8〜F10
- シャッター速度
- 1/125秒〜1/800秒
- ISO感度
- ISO100〜400
どのくらいの大きさで写る?
フルサイズのボディで300mmの焦点距離で撮影すると、トリミングなしでは写真Aの大きさです。撮影後にパソコンなどで拡大してトリミングすれば月の表面のクレーターがきれいに写っているのが確認できます。
写真A:300mmで撮影
画質劣化の少ない画像処理で解像感を保ったまま2倍までズームアップできる超解像ズーム/全画素超解像ズームを使った撮影もおすすめです。300mmの焦点距離で撮影すると、600mm相当の望遠になります。(写真B)
写真B:超解像ズームで2倍にして撮影すると600mm相当
デジタルズームを使えば、画質は劣化しますが、さらにズームアップできます。
惑星や星雲をクローズアップするには、天体望遠鏡を使うのが一般的ですが、撮影するとなると、本格的な撮影になります。
市販のアダプターを使って天体望遠鏡をカメラに装着できる場合があります。お持ちの天体望遠鏡をカメラに取り付けられるかどうかは天体望遠鏡のメーカーに確認してください。
装着できる場合、カメラ側はメニューから[レンズなしレリーズ]を[許可]にするとシャッターが切れます。天体望遠鏡はレンズ信号接点を持たないため、正確な測光が行えません。撮影結果を見て、手動で露出を合わせてください。お使いのカメラのヘルプガイドもご確認ください。
ピントや構図を確認して撮影
ピント拡大
ピントは必ずしもフォーカスリングを回し切った位置(無限遠)で合うとは限らないので、必ず拡大して確認することをおすすめします。[ピント拡大]をカスタムキーに設定すれば、機能が素早く呼び出せます。
以下は90mmの焦点距離で木星を捉え、ピント拡大機能でピント合わせをしている画面をキャプチャーした画像です。正確にピントを合わせれば、4つの衛星も写せます。
ピント拡大機能でピントを正確に合わせるイメージ
撮影した写真を拡大すると、4つの衛星も写っている
ブライトモニタリング
ブライトモニタリングは周囲が暗い状況下で露光時間をのばすことにより、ビューファインダー/モニターで構図の確認ができる機能です。静止画のカスタムキー設定で、お好みのボタンに[ブライトモニタリング]を割り当てて使います。
Point 1
静止画のカスタムキーに[ブライトモニタリング]を設定して使う
Point 2
マニュアルフォーカスで使う(レンズにAF/MF切り換えスイッチがある場合はMFにしてください)
■ ブライトモニタリングは静止画撮影のP/A/S/Mモードで使います。
■ ピント拡大やMFアシストを実行するとブライトモニタリングは解除されます。
三脚やリモートコマンダーでブレを防ぐ
三脚
長時間露光するので、三脚は必須です。できるだけしっかりした三脚を用意しましょう。三脚使用時は手ブレ補正機能の誤作動を防ぐため、手ブレ補正機能をオフに設定します。
リモートコマンダー
シャッターを押したときのブレを防ぐために、リモートコマンダーがあると便利です。無料のスマートフォンアプリCreators' AppやImaging Edge Mobileでも画角の確認やリモート撮影が可能です。リモートコマンダーやアプリが用意できない場合は、セルフタイマー2秒も活用しましょう。
リモートコマンダーがあれば、バルブ撮影時にシャッターボタンをロックすることができるので便利です。
この画像はイメージです