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フラッシュ撮影の基礎知識

このページでは、初めてフラッシュ撮影をする方に役立つ基礎知識を紹介します。

  • 使うための準備
  • フラッシュ用語集
  • 撮影テクニック

フラッシュの種類や取り付けかたなど、基本的な知識を紹介します。

内蔵フラッシュと外部フラッシュ

内蔵フラッシュ

カメラに内蔵されているので、使いたいときに気軽に使えて便利です。
光量が小さく、カメラの前方に固定されており、角度調節ができないので、調光範囲が限定されます。
内蔵フラッシュが搭載されているカメラと、搭載されていないカメラがあります。

ILCE-6400など、内蔵フラッシュが搭載されているカメラの場合、この部分がポップアップしてフラッシュ撮影ができます ILCE-6400など、内蔵フラッシュが搭載されているカメラの場合、この部分がポップアップしてフラッシュ撮影ができます
フラッシュポップアップボタンを押すとフラッシュ発光部がポップアップします。戻すときはフラッシュ発光部を手で押します。 フラッシュポップアップボタンを押すとフラッシュ発光部がポップアップします。戻すときはフラッシュ発光部を手で押します。

外部フラッシュ

内蔵フラッシュが搭載されていないカメラでフラッシュを使いたい場合や、フラッシュの光量を大きくしたい、またはカメラとフラッシュを離れた場所で使いたい場合は、別売りの外部フラッシュを使用します。
角度や位置を変えることができるので、さまざまな表現が可能です。

マルチインターフェースシューに外部フラッシュを装着します マルチインターフェースシューに外部フラッシュを装着します

外部フラッシュの取り付け方法

マルチインターフェースシュー対応の外部フラッシュをカメラに装着する方法を説明します。

  1. カメラ、フラッシュともに電源はオフにします。

  2. カメラのシューキャップをはずします。

    レンズ側を手前に向けて、カメラをしっかり押さえた状態で、親指でシューキャップを押し出すと、はずしやすいです。

  3. フラッシュのリリースボタンを押しながらロックレバーを左方向に動かすとロックが解除されるので、端子保護キャップをはずします。

  4. カメラのマルチインターフェースシューに、フラッシュをスライドさせて装着します。

  5. ロックレバーを「LOCK」方向に動かし、確実に固定されたことを確認します。

  6. カメラの電源を入れてからフラッシュの電源を入れて撮影します。

    撮影が終わったらカメラとフラッシュの電源を切ります。

  7. フラッシュのリリースボタンを押しながらロックを解除し、カメラからフラッシュを取り外します。

  8. フラッシュに端子保護キャップを取り付け、ロックレバーを「LOCK」方向に動かしてロックします。

ワンポイントアドバイス

アクセサリーシューについて

ILCE-から始まるα(アルファ)のアクセサリーシューはマルチインターフェースシューです。
ソニー製のフラッシュにはマルチインターフェースシューに対応した製品と、オートロックアクセサリーシューに対応した製品があります。マルチインターフェースシューのフラッシュは直接装着できますが、オートロックアクセサリーシューのフラッシュを装着するにはアダプターADP-MAAが必要です。

お使いのカメラとフラッシュの互換性情報については以下のページでご確認ください。

機器・アクセサリー対応情報 フラッシュ/ビデオライト 

オフカメラフラッシュ

カメラに直接装着せずに、離れた場所に設置して発光させるフラッシュをオフカメラフラッシュと呼びます。
フラッシュを好きな場所に設置できるので、効果的なライティングが可能です。

複数のフラッシュを同時に発光させることも可能です。それぞれのフラッシュの発光量を変えることもできます。

フラッシュに付属しているスタンドには三脚穴があるので、フラッシュをスタンドに装着して三脚に設置すれば、効果的な位置からフラッシュを発光させることができます。

ワイヤレスフラッシュ

ワイヤレスフラッシュは配線が不要なため、さらに撮影の自由度が上がります。

ワイヤレスフラッシュの設定方法や、複数のフラッシュをどのように配置するとどのような効果があるか、光量比を変えて撮影する方法など、ワイヤレスフラッシュ撮影のより詳しい知識を以下のページで紹介しています。

電波式フラッシュシステム

ワイヤレスフラッシュには光通信式と電波式があります。
被写体との距離がある場合、強い太陽光下、フラッシュとカメラの間に被写体や障害物がある場合など、従来の光通信式ライティングシステムでは困難だった状況でも、電波式では安定したワイヤレス通信が可能です。また、リモートレリーズも可能です。

光通信式との違いやセットアップ方法、活用方法など、電波式フラッシュシステムについて詳しくは以下のページで詳しく紹介しています。

フラッシュ撮影時の注意点

被写体や周りへの配慮を忘れずに

フラッシュはとても強い光を照射します。
人物や動物などを撮影するときは被写体から1m以上は離れる、突然撮影しない、フラッシュを使うことをあらかじめ知らせるなど、被写体や周りへの配慮を忘れないようにしましょう。

フラッシュ撮影禁止の場所があります

フラッシュ撮影が禁止されている場所での撮影は厳禁です。博物館や劇場などの施設は、通常の撮影も禁止されている場合が多いです。撮影やフラッシュの使用が許可されているかどうかを必ず確認しましょう。

電子シャッターはオフ

電子シャッターではフラッシュが使用できません。(ILCE-1は使用可能)
シャッター方式が選べるカメラの場合は[シャッター方式]を、[オート]、または[メカシャッター]にします。
サイレント撮影機能があるカメラの場合は[サイレント撮影]⇒[切]にします。

[設定効果反映]の設定

スタジオフラッシュなど他社製フラッシュを使用時には、設定されたシャッタースピードによってライブビューが暗くなる場合があります。[ライブビュー表示]を[設定効果反映Off]に設定することで、ライブビューが明るく表示され、構図確認が容易になります。

フラッシュ撮影の説明で使われる用語を紹介します。

基本用語

シンクロ撮影

フラッシュ撮影のことです。フラッシュをカメラのシャッタースピードと同調(シンクロ)させて撮影するのでそのように呼びます。

日中シンクロ

昼間にフラッシュ撮影することです。逆光で被写体が暗いときなどにフラッシュを使って被写体を明るく撮影します。

同調速度

通常の発光モード時にカメラ側で設定可能な最速のシャッタースピードのこと。同調速度はカメラによって異なり、取扱説明書やヘルプガイドで確認できます。

ガイドナンバー(GN)

ガイドナンバーはフラッシュの光量を示す数値のことで、数値が大きいほど光量が大きくなります。
ガイドナンバーから、光が届く距離を導き出すことができます。ガイドナンバーはISO100を基準としています。

距離(m)= ガイドナンバー(GN)÷ 絞り値(F値)

ワンポイントアドバイス

  • ガイドナンバーはフラッシュの型名で確認できます。

    数字はガイドナンバー

    Rがつくと電波式ワイヤレス通信対応フラッシュ

  • ガイドナンバーは「最大照射角(105mm、200mmなど)、ISO100、光量レベル(発光量)1/1」を基準にしており、条件によって変化します。フラッシュの取扱説明書やヘルプガイドで詳しい数値が確認できます。
    例)

照射角

光が当たる角度のこと。広角では広い範囲に照射するため弱い光になります。望遠では狭い範囲に集中して光が強く当たります。

TTL調光

TTL=Through The Lensの略です。レンズを通って来た被写体からの光を測光し、それに従って光量レベル(発光量)が決まります。P-TTL調光はプリ発光を加えたものです。

マニュアル調光

発光量を[発光レベル]で任意に設定します。被写体の明るさやカメラの設定に関係なく、常に一定の発光量を得られます。

フラッシュのモード

ハイスピードシンクロ(HSS)

フラッシュの同調速度を超えたシャッタースピードで撮影します。
明るい日中など、背景が非常に明るくて絞り開放では露出オーバーとなるようなシーンでも、高速シャッターを使って適正露出にすることができます。

右の写真はハイスピードシンクロで撮影しました。明るい日中でも絞り開放で撮影できるので、背景をぼかして、被写体が引き立つ写真を撮ることができます。

  • 拡大焦点距離:90mm / F値:10.0 / シャッター速度:1/125秒
    ISO感度:100

  • 拡大焦点距離:90mm / F値:2.8 / シャッター速度:1/1250秒
    ISO感度:100

スローシンクロ

遅いシャッタースピードでフラッシュ撮影します。夜景と人物の両方をきれいに撮りたいときなどにおすすめです。
カメラ側で設定できるので、内蔵フラッシュでも撮影できます。

後幕シンクロ

シャッターが閉じる直前に、フラッシュを発光させて撮影することで、光の軌跡が後方にたなびくような作品が撮影でき、動く被写体をより印象的に演出できます。

マルチ発光(MULTI)

シャッターが開いている間にフラッシュを複数回発光させ、動きのあるものを分解写真のように撮影します。

照射方法

ダイレクト照射(ストレート照射)

被写体に直接光を当てる照射方法です。
被写体のすぐ後ろに壁がある場合は、強い影ができてしまいます。また、コントラストが強く出て、被写体の周りは暗くなります。

  • ダイレクト照射のイメージ

  • 被写体のコントラストと影の出方イメージ

ディフューズ照射

白色の半透過物をフラッシュの前におくことで光を拡散させ、被写体に柔らかな光を当てる撮影方法です。
専用のディフューザーが無い場合はトレーシングペーパーなどで代用できます。

  • ディフューズ照射のイメージ

  • 被写体のコントラストと影の出方イメージ

バウンス照射

天井や壁にフラッシュ光を当て、その反射光を被写体に当てることをバウンス照射と呼びます。
全体に光が回るので、被写体には柔らかく光が当たり、周辺も明るく自然な感じに仕上がります。

  • バウンス照射のイメージ

  • 被写体のコントラストと影の出方イメージ

内蔵フラッシュは角度を変えることができないので、バウンス撮影はできません。バウンス撮影に対応した外部フラッシュは、フラッシュの角度を変えられます。

被写体に直接フラッシュを当てると背後に影ができてしまいますが、バウンス撮影すれば不自然な影ができることを防ぎ、立体感が出ます。

  • ダイレクト照射で撮影

  • バウンス照射で撮影

フラッシュを使った撮影テクニックを紹介します。

滴り落ちる水滴を写し止める

オフカメラフラッシュで、レンズの限界まで絞り込む

黒い背景とオフカメラフラッシュ1灯を使って花に水滴が滴る瞬間を狙いました。
花のディテールを見せるためレンズの限界まで絞りこむことがポイントです。

焦点距離:90mm / F値:22.0 / シャッター速度:1/125秒 / ISO感度:100

撮影テクニック

    • フラッシュは花とカメラの間、花のななめ上に配置します。
    • 花の後ろに黒いボードを設置し、花の下にレフ版を置きます。
    • スポイトで水滴を落とし、水が花に落ちる前、宙に浮いている瞬間を狙います。

モノクロで撮ってみる

同じセッティングで別の花をクリエイティブスタイル[白黒]を使用して撮影しました。
色の情報を省くことで、花そのものの生々しさや造形のディテールを深く知ることができます。

焦点距離:90mm / F値:22.0 / シャッター速度:1/125秒 / ISO感度:100

クリエイティブルックが搭載されているカメラでは、クリエイティブルックの[BW]を使用すれば白黒のモノトーンで撮影できます。

コーヒーの湯気と、カップやテーブルの素材感を写し撮る

ディフューザーを使う

ディフューザーを使って撮影しました。光を柔らかくするのと同時に、コーヒーの水面にきれいな波形をつくることができます。
コーヒーの湯気が消えないうちに撮影します。

焦点距離:100mm / F値:8.0 / シャッター速度:1/125秒 / ISO感度:100

撮影テクニック

  • 横から見た撮影イメージ
  • コーヒーの水面のイメージ
    (A)ディフューザーを液面に映し込み白い部分を作る
    (B)カップを揺らすと美しい波形になる

沈む夕日を背景に、人物も美しく撮る

ハイスピードシンクロで撮影する

背景の夕日が明るい状況で、フラッシュを使わずに撮影すると、人物は逆光で暗くなってしまいます。
ハイスピードシンクロで撮影すれば、同調速度を超える速いシャッタースピードで撮影できるので、背景の夕景はそのままに、人物も美しくひとつの画面に収めることができます。

焦点距離:54mm / F値:5.6 / シャッター速度:1/1000秒 / ISO感度:100

撮影テクニックについて詳しくはこちらをご覧ください。

明るい日中の人物撮影で背景をぼかすには

フラッシュを使えば絞り開放で撮影できる

ハイスピードシンクロで撮影すれば、明るい日中でも絞り開放で撮影できるので、背景をぼかして、被写体が引き立つ写真を撮ることができます。
右の写真はハイスピードシンクロで撮影しました。

  • 拡大焦点距離:90mm / F値:10.0 / シャッター速度:1/125秒
    ISO感度:100

  • 拡大焦点距離:90mm / F値:2.8 / シャッター速度:1/1250秒
    ISO感度:100

撮影テクニック

太陽の光となじむように、オフカメラフラッシュで被写体の右ななめ上から、少し控えめに光を当てています。

夜景を背景に人物を撮影する

オフカメラフラッシュで夜景も人物も美しく

オフカメラフラッシュで撮影すれば、フラッシュを自由に配置できるので、被写体の輪郭が際立つ、立体的で陰影のある作品に仕上がります。絞り開放で夜景をぼかせばこんな一枚に。

焦点距離:55mm / F値:1.8 / シャッター速度:1/125秒 / ISO感度:1250

撮影テクニックについて詳しくはこちらをご覧ください。

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