季節を表現して野鳥を撮る
季節のうつろいとともにさまざまな野鳥が姿を見せてくれますが、まわりの木々や花も季節を彩ります。
野鳥と一緒に季節感のある要素を取り入れつつ、自分らしい作品としての写真を表現してみてはいかがでしょうか。
春の花と野鳥を撮る(メジロ)
梅や桜が咲く時期はメジロやヒヨドリなどの花蜜を好む野鳥を多く見かけると思います。市街地の公園などでも見ることができるので身近で観察ができ、野鳥撮影の練習に向いています。
- 春に撮影できる主な野鳥:
- メジロ、ヒヨドリ、ヒバリ、コチドリ、キビタキ、オオルリ、ツバメ、カワラヒワなど
開花情報を確認して撮影しやすい時期を狙おう
撮影の予定を立てるときは、開花情報も確認しましょう。
花は満開になると鳥の姿を見つけづらくなるため、まだつぼみが残っている5分咲き程度がおすすめです。
背景はシンプルになるように工夫しよう
画面内に木の枝や花を多く入れすぎると野鳥が際立たず雑多な印象を受けてしまいます。背景はできるだけシンプルになるように望遠で背景の花をぼかしたり、空を背景にするなど工夫して撮影してみましょう。
桜と梅の撮影方法について詳しくは以下のページをご確認ください。
- メジロと桜をスローモーション撮影する
- こちらの動画では、メジロと桜をスローモーション撮影する方法を紹介しています。望遠レンズは手ブレしやすいですが、スローモーション撮影はブレが目立ちにくいので、手持ちでの撮影や、初心者の方にもおすすめです。
ホワイトバランスを調整して好みの色で撮影してみよう
ホワイトバランスは撮影環境での光の色の影響を補正して、白を白く写すための機能ですが、その機能を利用して自分の撮りたいイメージに近づけましょう。
ホワイトバランスの微調整でマゼンタ(M)寄りに調整をすると桜のピンク色が強調され、春らしい色合いで撮影することができます。
ホワイトバランスについて詳しくは以下のページでご確認ください。
夏の水辺で野鳥を撮る(カワセミ)
コバルトブルーがきれいなカワセミは、夏の水辺でさまざまな動きを見せてくれる魅力的な被写体です。
カワセミが水に飛び込むシーンは迫力があり、一度は撮影してみたいと思う方も多いのではないでしょうか。ここでは、人気の被写体であるカワセミにスポットを当てて、撮影のコツを紹介します。
- 夏に撮影できる主な野鳥:
- コサギ、カワセミ、バン、カイツブリ、コアジサシなど
撮影する前にカワセミの動きをよく観察しよう
やみくもにカメラを構えるだけでは野鳥の動きは予測しづらく、撮りたい一瞬に間に合わないことがあるかもしれません。カワセミはホバリングや水面への飛び込みなど、動きが独特なので常に観察することが大事です。
ある程度観察して、次の行動を予測してみましょう。羽ばたく直前の構え、水面のどのあたりに入水するのかなど、行動を予測して構図をあらかじめ決めておくことで撮り逃しは少なくなります。
飛び込むシーンを撮影しよう
飛び込むシーンは水しぶきや羽の動きを止めて写す必要があり、速いシャッター速度が求められます。目安としては1/1000秒以上に設定しましょう。
シャッター速度を速くすると、その分取り込める光量が少なくなってしまうので、天候が晴れていて明るさを十分に確保できる日に撮影することをおすすめします。
フォーカスモードやフォーカスエリアなどの基本設定については以下をご確認ください。
撮影モード | S(シャッター速度優先) |
---|---|
フォーカスモード | AF-C(コンティニュアスAF) |
フォーカスエリア | [ゾーン]、[ワイド]、[フレキシブルスポット]または[スポット] * 機種によって名称は異なります。 |
AF被写体追従感度 * 搭載機種のみ |
[敏感] * 数値を選択できる機種の場合は、一番感度の高い数値を選択してください。 |
撮影モードは、S(シャッター速度優先)に設定し、ブレない程度までシャッター速度を上げて撮影しましょう。
まずは1/1000秒から撮影してみて、撮影ごとに画像を拡大して確認し調整してみてください。
カメラの設定や撮影環境が良くても、必ず理想の写真が撮れるというわけではありません。カワセミと出会える場所に足を運び、実践を繰り返しましょう。
実践を経て理想の写真が撮れたときは、きっと感動するはずです。まだ挑戦したことのないかたはぜひ挑戦してみてください。
α9 + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS + 2X Teleconverter
焦点距離:678mm / F値:11.0 / シャッター速度:1/800秒
秋の彩りと野鳥を撮る(オシドリ)
秋は紅葉の季節で身近な公園でも普段とは変わった色鮮やかな景色を見せてくれます。木の葉の色がうつろう中、野鳥の行動も観察してみてはいかがでしょうか。
- 秋に撮影できる主な野鳥:
- カワラヒワ、ゴジュウカラ、ノビタキ、モズ、ハクセキレイ、アカゲラ、オシドリなど
秋は紅葉シーズンで色づいた景色を見に公園へ出かけるかたも多いと思います。紅葉と野鳥の組み合わせで自分らしい作品を撮ってみましょう。
同じような写真しか撮れない場合、視点を変えてみましょう。さまざまな視点から野鳥を観察することで、撮りたいイメージが見つかるかもしれません。
紅葉の景色の撮影方法について詳しくは以下のページもご確認ください。
冬の空気と野鳥を撮る(タンチョウ)
冬は木から葉が落ち野鳥を探しやすくなるため、初めて野鳥を撮影するにはとてもよい季節です。さえずりなどの鳴き声を頼りに探してみましょう。
また、雪原での撮影のポイントもご紹介します。
- 冬に撮影できる主な野鳥:
- ルリビタキ、ジョウビタキ、ツグミ、タンチョウ、コハクチョウなど
北海道に生息するタンチョウは冬になると餌を求めて餌場に集まります。餌場以外では近くで撮影できる機会は多くありません。
雪原で撮影する場合は露出やホワイトバランスの設定によって大きく作品のイメージは変わるので、事前に撮影のポイントを確認しておきましょう。
露出補正を設定しよう
雪原での撮影では白い風景を撮ることになりますが、カメラはこれを「明るくなりすぎる」と判断してしまい、露出補正をせずオートで撮影してしまうと全体的に灰色がかった写真になってしまう場合があります。
その場合は、まずは露出を+1まで上げて撮影してみて明るさが適正か確認してみましょう。明るすぎたりまだ暗い場合は調整して再度確認してください。
露出と露出補正について詳しくは以下のページでご確認ください。
- ワンポイント
- 屋外でモニターの明るさ調整が難しい場合、ヒストグラムを表示して白飛びしない程度まで明るさを調整する方法も有効です。
DISP(画面表示切換)ボタンを繰り返し押すとグラフのような枠が画面内に表示されます。
このグラフをヒストグラムといい、グラフ内の白い山の位置によって露出のバランスを確認することができます。
山が右端に張りつくほど偏っている場合は露出が明るすぎることを表しています。山が両端に張りつくことなく収まっている状態がバランスの良い露出になります。
明るさ調整がうまくできない場合は、ヒストグラムを見ながら撮影してみましょう。