美しい風景の中に野鳥がいるだけで、写真としての魅力はさらに深まります。身近な場所や広大な自然の中で生きる野鳥のさまざまな表情を撮影してみましょう。
「野鳥撮影は初めて」という方でも気軽にスタートできるように、カメラの基本設定や撮影のコツなどをわかりやすくシチュエーションごとに紹介します。

野鳥撮影にあると便利なもの

双眼鏡
野鳥をカメラのファインダーやモニターで探す前に、双眼鏡で周りを確認しておおよその位置が把握できるので便利です。
野鳥図鑑
見つけた野鳥の種類などをその場で確認できるとより野鳥撮影を楽しめます。
レインコート
突然の悪天候に備えてレインコートがあると安心です。カメラ、レンズ用の雨よけもあるとよいでしょう。
三脚または一脚
望遠ズームレンズはサイズが大きく比較的重たいものが多いので、長時間撮影する場合は三脚を用意しましょう。耐荷重は余裕のあるものを選ぶと安心です。
瞳AFの検出対象に[鳥]があるカメラ
瞳AFの検出対象に[鳥]があるカメラでは、あらかじめ瞳AFの検出対象を[鳥]に設定しておくことで、飛んでいる鳥、止まっている鳥の瞳を高速かつ高精度に自動検出し、追従することができます。鳥の瞳を検出させるときは、頭部全体が画角に入るようにしてください。一度、鳥の頭にピントを合わせておくと、瞳を検出しやすくなります。
対象のカメラと詳しい使いかたについては、以下のページをご確認ください。
オートフォーカスを使いこなす 瞳AF(動物)

動きの少ない野鳥を撮る

野鳥撮影は初めてという方は、まずは野鳥が木の枝や石にとまっているところを撮影してみましょう。野鳥を驚かせないように、少し離れた位置から望遠レンズでねらいます。

おすすめの撮影設定
撮影モード A(絞り優先)またはM(マニュアル露出)
フォーカスモード AF-C(コンティニュアスAF)
フォーカスエリア [フレキシブルスポット]または[スポット]、[中央]
* 機種によって名称は異なります。

撮影モード

撮影モードは、A(絞り優先)で背景をぼかし、野鳥の存在を引き立てるのがおすすめです。
A(絞り優先)モードはF値(絞り値)を撮影者が任意に設定できるモードです。背景をぼかしたい場合はF値を小さくします。背景をしっかり写したい場合はF値を大きくします。ぼけの量とピントを合わせる範囲(被写界深度)を意識して撮影してみましょう。

被写界深度とは、ピントを合わせた被写体の前後にある、像が鮮明に写っている範囲のことです。
被写界深度は「焦点距離」、「F値(絞り値)」、「被写体との撮影距離」で決まり、被写界深度はその範囲が狭い場合に「浅い」といい、広い場合は「深い」といいます。
ぼけの要素

被写体にピントが合い背景のぼけが大きい「被写界深度が浅い」イメージのイラスト
被写界深度が浅い
被写体と背景のどちらにもピントを合わせた「被写界深度が深い」イメージのイラスト
被写界深度が深い

被写体ブレする場合

静止している野鳥を三脚を使用して撮影する場合は、シャッターを切る瞬間に鳥の方が動いてしまう「被写体ブレ」さえなければ、少し遅めのシャッタースピードでもブレずに撮影できます。
被写体が動いたり、枝が揺れてブレてしまう場合は、ISO感度オートでM(マニュアル露出)モードに設定し、シャッター速度を上げて撮影しましょう。

フォーカスエリア

フォーカスエリアは、[フレキシブルスポット]または[スポット]で構図を決めながら野鳥にピントが合うようにフォーカス枠を移動して撮影します。
フレームの中央あたりに野鳥をとらえていれば[中央]に設定しましょう。
リアルタイムトラッキングに対応した機種の場合、フォーカスエリアでトラッキングの設定にすることで追従中にフレーミングを調整しながら撮影が可能です。

構図にこだわる

余裕が出てきたら、構図にこだわって撮影してみましょう。比較的取り入れやすい、三分割構図と日の丸構図を紹介します。

三分割構図
縦横に三等分に線を引いて、その交差する点に被写体を配置する構図です。
空間が生まれることでストーリー性を感じさせる作品になります。くちばしの先が向いている方向に空間をつくるのがポイントです。
ユーザー作品(写真投稿コミュニティサイトα cafeより)
日の丸構図
画面の中心に被写体を配置する構図です。
見せたいものを中心に置くことで、インパクトのある表現や、鳥自体の美しさや愛らしさをストレートに表現できます。周りに新緑や紅葉など、季節感を感じさせる色を持ってくると情景まで浮かび上がってきます。
ユーザー作品(写真投稿コミュニティサイトα cafeより)

鳥の撮影におすすめのそのほかの構図や、構図合わせに役立つ機能「グリッドライン」の表示方法については以下のページもあわせてご覧ください。

フォトマガジン 鳥の撮影 おすすめ構図7選

飛翔する野鳥を撮る

野鳥の飛翔や飛び立つ瞬間など、フレーミングがむずかしいシーンの撮影の基本設定やフォーカス設定について説明します。

慣れないうちは飛翔中の動きが小さいハクチョウ、トンビなどの大型の鳥で練習しましょう。小鳥は上下に波を打つような飛びかたをするなど予測がしづらく、撮影の難易度が上がります。

おすすめの撮影設定
撮影モード S(シャッター速度優先)
フォーカスモード AF-C(コンティニュアスAF)
フォーカスエリア [ゾーン]、[ワイド]、[フレキシブルスポット]または[スポット]
* 機種によって名称は異なります。
AF被写体追従感度
* 搭載機種のみ
大きめの鳥の飛翔の場合[標準]
小鳥の飛翔や飛び込みの場合[敏感]
* 数値を選択できる機種の場合は、一番感度の高い数値を選択してください。
ドライブモード 連続撮影

撮影モード

撮影モードは、S(シャッター速度優先)に設定し、ブレない程度までシャッター速度を上げて撮影しましょう。
まずは1/1000秒から撮影してみて、撮影ごとに画像を拡大して確認し、調整してみてください。飛び込むシーンは水しぶきや羽の動きを止めて写す必要があります。シャッター速度を速くすると、その分取り込める光量が少なくなってしまうので、天候が晴れていて明るさを十分に確保できる日に撮影することをおすすめします。

フォーカス設定

鳥の大きさによっておすすめのフォーカス設定が異なります。

大きめの鳥の飛翔の場合
フォーカスエリアは[ゾーン]にします。
被写体を画面いっぱいにフレーミングする場合や、空などのシンプルな背景がつづく撮影の場合は、[ワイド]に設定すると被写体をとらえやすくなります。
小鳥の飛翔や飛び込みの場合
フォーカスエリアは[ゾーン]にし、[AF被写体追従感度]を[敏感]に設定することで激しい動きへの追従性が向上します。
障害物が多い場合や被写体の動きを予測できる場合には、[フレキシブルスポット]または[スポット]で被写体を狙うことでピント精度が向上する場合があります。

飛び立つ瞬間の撮影

一番大切なのは鳥の動きを観察することです。鳥が飛びそうな方向を空けた状態でフレーミングすることで成功率が上がります。

木の枝などに止まっている鳥の動きを観察します。鳥が向いている方向に空間を空けてフレーミングし、動きを待ちます。
飛び立つ瞬間の鳥は身をかがめ、前傾姿勢になります。このときにはシャッターを半押し状態にしておいてください。
足を伸ばして羽を広げた鳥を画面中央にとらえたところで撮影します。

水面への飛び込み

カワセミはホバリングや水面への飛び込みなど、動きが独特なので常に観察することが大事です。
ある程度観察して、次の行動を予測してみましょう。羽ばたく直前の構え、水面のどのあたりに入水するのかなど、行動を予測して構図をあらかじめ決めておくことで撮り逃しは少なくなります。

流し撮り

流し撮りはブレを活用してスピード感や躍動感を表現します。
背景のぼけとブレの量が大きいほど迫力のある写真になるので、シャッター速度を遅めに設定します。シャッター速度を遅くすると背景だけでなく被写体もブレやすくなりますので、シャッター速度を調整して最適な設定を選びましょう。

まずは顔・目・くちばしにピントが合うようにシャッター速度は1/320秒を目安に調整します。羽や胴体はブレていても躍動感が強調されるので、全体にピントが合わなくて構いません。ブレの量が多すぎる場合はシャッター速度を速めに設定します。

飛びかたは野鳥によって異なるため、あらかじめ観察することが重要です。
ハクチョウ類などの水鳥は飛び立つ動作も大振りでわかりやすく、直線的に飛ぶので流し撮りしやすいです。

難易度が高いですが、機会があればチャレンジしてみてください。

野鳥撮影におすすめのレンズ

鳥は近づくと逃げてしまうため、離れたところから撮影できる望遠レンズがおすすめです。

ボディ、レンズともに、35mmフルサイズとAPS-Cフォーマットがあります。
35mmフルサイズのボディにAPS-Cのレンズを装着したり、APS-Cのボディに35mmフルサイズのレンズを装着することも可能です。詳しくは以下のページをご覧ください。

APS-Cフォーマットのボディまたはレンズと35mmフルサイズのボディまたはレンズを組み合わせて使えるか
  • 開放F値2.8で70mmから200mmまでの使用頻度の高いズーム域をカバーする望遠ズームレンズ。G Masterならではの高い描写力に加え、進化した新次元のAF性能や高い操作性を備えています。

  • スポーツや野生動物などの撮影で求められる400mmの超望遠域をカバーするズームレンズ。シャープな描写だけでなく、決定的瞬間を逃さず捉える高速・高精度なAF駆動を両立し、撮影領域をさらに広げる1本です。
    望遠域でのぼけを使い、少し離れた被写体をふんわりと撮影するシーンにもおすすめです。

  • 焦点距離600mmまでをカバーする超望遠ズームレンズです。ズーム時もレンズの長さが変わらないインナーズーム方式を採用。レンズ先端と被写体の距離が変わらず、カメラ全体の重心が変化しにくいため、安定したフレーミングを保てます。超望遠域での撮影シーンの中でも、特に野鳥や野生動物、航空機、スポーツ、鉄道など、被写体に容易に近づけない動体撮影に最適です。

以下のレンズはテレコンバーターレンズには対応していませんが、野鳥撮影におすすめです。

  • Gレンズならではの高解像とコンパクトを両立した、350mm(35mm判換算525mm)の世界まで切り取れるAPS-C超望遠ズームレンズです。光学式手ブレ補正機能の搭載により、運動会やスポーツ、自然・アウトドア、ペットや野生動物など幅広い被写体の撮影に適し、さまざまなシーンで手軽に超望遠撮影が楽しめます。

  • このテーマのアルファユーザー作例を見るにはこちらから アルファカフェ
  • あなたの写真・映像表現を その先へプロから学べるカメラスクール アルファアカデミー
  • お気に入りの一本を見つけるお手伝いをします レンズ選びナビ
  • レンズに関する疑問を解決!レンズTIPS
デジタル一眼カメラ α(アルファ)で写真撮影を楽しむ

デジタル一眼カメラ α(アルファ)で写真撮影を楽しむ