菜の花を色鮮やかに撮る
デジタル一眼カメラ α(アルファ)で写真撮影を楽しむきれいな黄色で畑一面を覆う菜の花は圧巻の景色です。鮮やかな色の被写体を撮影するときは、ぼけや背景を工夫して主役を引き立てます。
広大な菜の花畑をダイナミックに切り取ったり、クローズアップで印象的に仕上げたり、菜の花のいろんな景色を写真に収めてみましょう。
菜の花畑をダイナミックに撮る
広角側で広く切り取る
一面の菜の花畑の広さを表現したいときは広角レンズがおすすめです。ズームレンズの場合はレンズの広角側(焦点距離が短い側)を使うと、景色を広く切り取ることができます。また、空を多めに入れることでより広々とした印象になり、ダイナミックさを伝えることができます。菜の花は青空がよく似合いますので、晴れの日の撮影がおすすめです。
絞りを絞って撮影する
菜の花畑を広く切り取る場合は、絞りを少し絞って(F値を大きめにして)撮影しましょう。撮影環境やレンズにもよりますが、絞り値をF8くらいで撮影すると全体にピントが合ったシャープな写真を撮ることができます。一般的に、コントラストを強調したシャープな写真が撮りたければF値を大きくし、逆に全体をふんわりとした雰囲気で撮りたい時はF値を小さく設定します。
絞り値の設定や、Aモードについて詳しくは以下のページをご覧ください。
絞り(F値)とAモード
クローズアップで印象的に
目線を低くして、菜の花にクローズアップしてみましょう。焦点距離やF値などの要素と「ぼけ」の関係性を理解すると、ぼけを活かした印象的な作品にすることができます。
絞りを開いて撮影する
絞りを大きく開ける(F値を小さくする)と、ピントの合う範囲が狭くなり、背景や手前にある被写体をぼかすことができます。菜の花のように小さい花が集まっている被写体は、絞りを開けすぎるとぼけ過ぎて、メインの花のどの部分にピントが合っているかわからない写真になることもあるので、絞りや被写体との距離を調整しながら最適なF値を探しましょう。意図したところにピントを合わせるために、ダイレクトマニュアルフォーカス(DMF)やマニュアルフォーカス(MF)でピントを調整し、ピント拡大などの機能もうまく利用しましょう。
オートフォーカス(AF)とマニュアルフォーカス(MF)露出補正でイメージどおりの黄色にする
画面いっぱいに菜の花を入れると、黄色が暗めに写ることがあります。明るくさわやかな黄色にしたい場合は、露出補正で+(プラス)のほうに調整してみましょう。
露出と露出補正この作例では、露出補正を+0.7に設定することで、思いどおりの黄色を表現することができました。
望遠側で被写体に近づく
ぼけの量は焦点距離が長いほど大きくなり、短いほど小さくなります。ズームレンズの場合はレンズの望遠側(焦点距離が長い側)で撮ってみましょう。また、被写体に近づくほど背景のぼけは大きくなるので、広角レンズや50mm前後の標準レンズでも、被写体に近づくことで背景をぼかすことができます。
最短撮影距離に注意
被写体に近づいて撮影するときは、最短撮影距離に注意しましょう。
最短撮影距離はレンズごとに異なり、ズームレンズの場合は広角側と望遠側で異なります。それよりも被写体に近づいてしまうとピントが合いません。一度被写体にグッと近づいてみて、少しずつ被写体から離れながらピントの合う距離を探していきましょう。
以下のページでは、ぼけの要素について比較写真を交えてより詳しく説明しています。
ぼけの要素
光の向きを意識する
同じ被写体を撮影しても、光の当たり方によってイメージが大きく変わります。光の角度や強弱によって、影の出方や露出に影響が出るためです。
光の当たり方は大きく分けて「順光」「サイド光」「逆光」の3つに分類されます。ここでは順光とサイド光の違いを見てみましょう。
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- 順光で撮影
- 被写体に対し、正面(カメラ側)から当たる光を順光といいます。
順光では被写体に直接光が当たるため、色や形を正確に描写することができます。
青空を背景にする場合は順光で撮影すると菜の花の黄色との対比が際立ち色鮮やかな写真になります。
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- サイド光で撮影
- 被写体に対し、横方向から当たる光をサイド光といいます。
サイド光は、被写体に影が強く出やすく、明暗がはっきりとしたメリハリのある描写になります。菜の花の黄色に美しい濃淡ができ、立体感のある表現が可能です。
光の当たり方と効果について詳しくは以下のページをご覧ください。
光の当たり方と効果
背景を工夫する
背景を空や海、山など色の対比を意識して撮影することで、より花の鮮やかさを引き立てることができます。
さまざまな角度から背景を変えながら撮り、お気に入りの一枚を探しましょう。
クリエイティブスタイル/クリエイティブルックで自由に画作り
クリエイティブスタイル/クリエイティブルックはカメラにあらかじめセットされた「画作り」の基礎となる設定値をテーマごとに簡単に適用できる機能です。[風景]や[ポートレート]などのクリエイティブスタイル、[FL]や[PT]などのクリエイティブルックはそれぞれ色味や明るさ、コントラスト、シャープさなどのさまざまな要素が組み合わされています。それらをベースに彩度やコントラストなどの要素ををさらに調整することが可能です。カメラの液晶モニターやファインダーでライブビューを確認し、仕上げたいイメージに合わせて選びましょう。
こちらはクリエイティブスタイルを変更した作例です。同じ被写体でもさまざまに印象を変えることが可能です。
クリエイティブスタイルを[風景]に設定するとコントラストや彩度が高まり、より立体感を感じる写真に仕上がります。[ポートレート]は人物の撮影に適したスタイルですが、花の柔らかな雰囲気を表現するのにもおすすめです。
柔らかい雰囲気を表現しつつも彩度を上げたいときは、クリエイティブスタイルならば[スタンダード]や[ポートレート]、クリエイティブルックならば[ST]や[PT]をベースにした上で、オプションから彩度の調整を試してみましょう。
クリエイティブスタイルとクリエイティブルックのどちらが搭載されているかはお使いのカメラの取扱説明書またはヘルプガイドをご確認ください。クリエイティブスタイルとクリエイティブルックについて詳しくは以下のページをご覧ください。
ファイル形式をRAWで撮影すれば、パソコン用アプリImaging Edge Desktop(Remote/Viewer/Edit)で撮影後にクリエイティブスタイル/クリエイティブルックを変更可能です。露出や色合い、ホワイトバランスなども調整できます。
Imaging Edge Desktop (Remote/Viewer/Edit)について詳しくは以下のページをご覧ください。
Imaging Edge Desktop(Remote/Viewer/Edit)
おすすめのレンズ
広い風景をダイナミックに撮るなら広角レンズ、ぼけを活かした表現ならば単焦点レンズやマクロレンズがおすすめです。
ボディ、レンズともに、35mmフルサイズとAPS-Cフォーマットがあります。
35mmフルサイズのボディにAPS-Cのレンズを装着したり、APS-Cのボディに35mmフルサイズのレンズを装着することも可能です。詳しくは以下のページをご覧ください。
広角領域をカバーするズームレンズ
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G Masterならではの描写性能をさらに高めた、24mmから70mmまでカバーするズーム全域F2.8の大口径標準ズームレンズです。最短撮影距離0.21m、最大撮影倍率0.32倍という高い近接撮影能力を持ち、ズーム全域でF2.8のぼけ量を生かした表現も大きな魅力です。
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使用頻度の高い16-55mm(35mm判換算24-82.5mm)をカバーし、ズーム全域で開放F値2.8を実現した標準ズームレンズです。Gレンズならではの高い解像力と美しいぼけ味も魅力の1本です。
単焦点レンズ
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G Masterならではの圧倒的な高解像を開放F値1.8から画面全域で実現するとともに、なめらかで美しいぼけ描写を両立した大口径望遠単焦点レンズです。ポートレート撮影や草花の撮影など、さまざまなシーンで活躍します。
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焦点距離50mm(35mm判換算75mm)のコンパクトで軽く(約202g)気軽に持ち運びやすいレンズです。開放F値1.8の明るさと美しいぼけ味を生かした撮影が可能。光学式手ブレ補正機構を搭載しています。
マクロレンズ
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光学式手ブレ補正機構の搭載により、手持ちで高精度な等倍撮影ができる90mmの中望遠マクロレンズです。Gレンズならではの柔らかく美しいぼけ味を実現し、遠距離から至近距離までピントが合った被写体を鮮明に描写します。