春の桜を美しく残す
デジタル一眼カメラ α(アルファ)で写真撮影を楽しむ春の代名詞である桜。ここでは桜を印象的に撮影するテクニックを紹介します。桜の撮影ではAモードに設定しましょう。風景として全体を写す時は絞りを絞って全体にピントを合わせ、花や枝をクローズアップして写す場合は絞りをなるべく開いて撮るのが基本です。
桜のある風景を印象的に切り取る
光の向きと背景を意識する
まずは桜の木の全景や一部分を印象的に撮ってみましょう。桜を見たままのイメージで残すには背景が重要です。最も簡単なのは、空を背景にすることです。
順光のシーンでは青空を背景にすると桜の色が引き立ちます。
逆光のシーンでは、背景に濃い色の樹木など暗い背景を選ぶと立体感が生まれ、桜をより印象的に写しだすことができます。
光の当たり方と効果について詳しくは以下のページをご覧ください。
光の当たり方と効果
ズームの望遠側を活用する
桜がきれいに撮れない理由のひとつは余計なものが写りこんでしまうことにあるので、まずはビルや観光客など背景に余計なものが写らないような構図を探しましょう。できれば公園や自然の中などの開けた場所に咲いている桜が理想です。
下の写真は桜にカメラを向けるとよくあるシチュエーションですが、背景に建物や人が多く写っているため、雑然として桜の印象が薄れてしまっています。周りの雰囲気を取り入れるのも一つの撮影方法ですが、まずは桜をメインに引き立てることを意識してみましょう。
無理に全体を収めようとせずに、見栄えする一部分を切り取るとより印象的な一枚に仕上がります。ズームレンズをお持ちの場合は意識してズームを使ってみましょう。
また、桜の季節は曇りや雨の日も多いものです。空が白く写ってしまう場合は、下の写真のようにできるだけ樹木や枝に寄って桜の部分を大きく入れるとよいかもしれません。ズームを使って空を画面に入れないようにするのもよい方法です。
縦位置の構図を活用する
縦の構図は余計なものを省きやすい上、桜の密集感も出しやすいため積極的に活用しましょう。同じ位置から横位置と縦位置を両方撮っておくと、後で好みの方を選べるのでお勧めです。
花をクローズアップして印象的に
全景だけでなく、花や一部分をクローズアップした写真も一眼カメラならではの綺麗な一枚に仕上げることができます。
花や枝をクローズアップして写す場合はAモードで、絞りをなるべく開いて撮るのが基本です。
背景を意識してきれいにぼかす
一部分をクローズアップする場合は、ぼけの要素に従って撮ると背景が大きくぼけて印象的に撮ることが出来ます。この場合も、まず背景に気を付けましょう。背景に枝や距離の近い花が多く入ると、背景がきれいにぼけず雑然とした印象になりがちです。できれば空や遠景などを背景にしましょう。ほんの少しカメラの角度や位置を変えるだけでもずいぶん違ってきます。
右上の枝を印象的に撮りたかったのですが、近くの枝が多く写りこみ、背景が目立ちすぎています。
背景に遠くの桜が写るように角度を選びました。背景がほぼ一様にぼけて柔らかな雰囲気に仕上がっています。
絞り値の設定やぼけの要素について詳しくは以下のページをご覧ください。
単焦点レンズや望遠レンズを使う
単焦点レンズや望遠レンズがあるとぼけがより大きくなり、背景を整理しやすくなるのでとても便利です。
広角と望遠の写り方の違い
この作例は、FE 24-105mm F4 G OSS(SEL24105G)の広角側と望遠側で、桜の同じ部分が中心にくるように撮影しています。
F値とシャッタースピードは同じです。広角側の24mmで撮影すると画角が広くいろんなものが写り込むので、背景の枝や花がややうるさい感じに写っています。望遠側の105mmでは画角が狭まり圧縮効果で背景が近づいて見えるのと、ぼけやすいので構図の整理がしやすくなります。このようなレンズの特徴を理解して、撮りたいイメージに近づけてください。
それぞれのレンズの特徴について詳しくは以下のページをご覧ください。
被写体ブレを防ぐ
枝先や花びらは微かな風にも揺れやすく、カメラの決めた設定では被写体ブレを起こしてしまうこともあります。そのような場合はMモードに設定し、絞りだけでなくシャッター速度もマニュアルで調整しましょう。シャッター速度は速いほどブレにくくなりますが同時にISO感度も上がってしまうため、シャッター速度を変えながら何枚か撮ってみましょう。ブレていない写真の中でISO感度が最も低いものが最適な設定値と言えます。最適な設定値は焦点距離や被写体との距離によっても変わってくるので、シーンごとに確認することをおすすめします。
ISO感度、シャッター速度、焦点距離について詳しくは以下のページをご覧ください。
好みの色に調整しよう
構図が決まったら、色味を調整してみましょう。桜は種類によって色が異なり、白色から濃いピンク色まで様々です。あくまで肉眼で見た色から離れすぎない程度の調整を心がけましょう。
ホワイトバランス
基本的には[オート]でも忠実な色で再現されるのですが、肉眼で見るよりも白っぽく感じることがあります。その場合は、ホワイトバランスの微調整でマゼンタ(M)寄りに調整をすると桜のピンク色が強調されます。
ホワイトバランスについて詳しくは以下のページをご覧ください。
ホワイトバランス
クリエイティブスタイル/クリエイティブルック
ホワイトバランスを決めたら、さらに好みの色を追求しましょう。クリエイティブスタイル/クリエイティブルックを使えば彩度やコントラストなどの要素を微調整できるので、同じ被写体でもさまざまに印象を変えることが可能です。
[風景]や[ビビッド]などのクリエイティブスタイルや[VV]などのクリエイティブルックを使うと色が濃く鮮やかになりますが、コントラストも同時に高くなり、桜の柔らかい雰囲気を表現しづらいことがあります。彩度を上げたいときは、クリエイティブスタイルならば[スタンダード]や[ポートレート]、クリエイティブルックならば[ST]や[PT]をベースにした上で、オプションから彩度の調整を試してみましょう。
クリエイティブスタイルとクリエイティブルックのどちらが搭載されているかは、お使いのカメラの取扱説明書またはヘルプガイドをご確認ください。クリエイティブスタイルとクリエイティブルックについて詳しくは以下のページをご覧ください。
いろんな桜に目を向けよう
きれいな桜を目前にするとつい花だけを撮りがちですが、満開の花だけが桜ではありません。足元や散り際にも目を向けてシャッターを切ると、いろんな桜を表現することができます。桜の木や花そのものを構図に入れなくても、その写真を見た人が「桜」のイメージを膨らませることができれば成功です。
満開を過ぎた頃、風に吹かれて舞い散る花びらを捉えました。青空を背景にフレーミングすることで散ってゆく花びらを強調することができました。条件やタイミングが難しいシーンですが、何度もシャッターを切ってチャレンジしてみましょう。
ふと桜の根元に目をやると、幹からぽつんと咲いている可憐な桜を見つけました。小枝の先のようにゆらゆら揺れることがなく、クローズアップには好都合です。背景を幹だけにせず、ぼかした桜色も入れています。
樹木の根元に散りつもった花びらを撮影しました。少し前には満開に咲き乱れたであろう、桜の木を想像させることができます。このような写真は晴れの日ではなく、むしろ雨の日や雨上がりに撮影をするとより見栄えします。晴天の昼間だけがシャッターチャンスとは限りません。
淀んだ水面に集まった桜の花びらを撮影しました。水面と花びらの組合せも桜の趣を表現するのに格好の被写体です。
桜の撮影におすすめのレンズ
一本でさまざまな画角が楽しめるズームレンズがおすすめです。広角から望遠までカバーするレンズを選べば、レンズ交換無しで全体からクローズアップまで多彩な表現が可能になります。望遠側を使えば背景を整理しやすくなりシャッターチャンスが広がります。また、きれいなぼけを活かした表現には単焦点レンズがおすすめです。
ここで紹介するレンズはすべて光学式手ブレ補正機構を搭載しています。手ブレしやすい望遠撮影での手持ち撮影でもブレを軽減し、安定したフレーミングを可能にしています。
OSSってなに?(レンズの手ブレ補正機能)
ボディ、レンズともに、35mmフルサイズとAPS-Cフォーマットがあります。
35mmフルサイズのボディにAPS-Cのレンズを装着したり、APS-Cのボディに35mmフルサイズのレンズを装着することも可能です。詳しくは以下のページをご覧ください。
APS-Cフォーマットのボディまたはレンズと35mmフルサイズのボディまたはレンズを組み合わせて使えるか
望遠領域をカバーするズームレンズ
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使用頻度が高い広角24mmから中望遠105mmまでをカバーし、レンズ1本でスナップから人物、風景、ウェディングなど多彩な撮影シーンに対応する標準ズームレンズです。ズーム全域で画面周辺までシャープな描写を追求しながら、Gレンズならではの美しいぼけ味が楽しめます。
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Eマウント35mmフルサイズ対応で300mmまでの望遠域をカバーする高解像望遠ズームレンズです。最短撮影距離0.9m、最大撮影倍率0.31倍の優れた近接撮影能力により、望遠撮影だけでなくテレマクロ撮影にも対応。さらに、光学式手ブレ補正機構の搭載により、手ブレしやすい望遠撮影や薄暗い場所での手持ち撮影でもブレを軽減し、安定したフレーミングを可能にしています。
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広角27mmから望遠202.5mm相当(35mm判換算)までを幅広くカバーする、光学7.5倍の高倍率ズームです。小型・軽量で持ち運びやすく、風景、ポートレート、ネイチャーなど多彩なシーンで活躍します。
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広角27mmから望遠300mm相当(35mm判換算)まで幅広い撮影領域をカバーする高倍率ズームレンズ。軽量・コンパクトボディで、旅行などで持ち歩くのに最適です。光学式手ブレ補正機能を内蔵し、手ブレしやすい望遠撮影時も、手ブレをしっかり抑えます。
単焦点レンズ
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シャープな描写と息をのむ柔らかなぼけ味を追求した100mm中望遠単焦点STF(Smooth Trans Focus)レンズ。レンズ本体のリングを使ってマクロ域への切り換えが可能な「マクロ域切り換え機能」では、上質なぼけを生かしつつ、最短撮影距離0.57m、最大撮影倍率0.25倍の近接撮影が可能。暗い場所での撮影や近接撮影時の手ブレは、レンズ内蔵の光学式手ブレ補正機構により効果的に補正します。