法人のお客様システムカメラ 事例紹介 “Creepy Nuts” One Man Tour「かつて天才だった俺たちへ」

横浜・ぴあアリーナMM公演
“Creepy Nuts” One Man Tour「かつて天才だった俺たちへ」

監督 Hiroya Brian Nakano 様
撮影監督 田中 伸吾 様

高倍率レンズやグローバルシャッター
ステージ上の小型リモートカメラなどシステムカメラの強みをフル活用

2021年3月17日に横浜・ぴあアリーナMMで行われた、Creepy Nutsの全国ライブツアー「かつて天才だった俺たちへ」の公演収録ならびにライブ配信において、HDポータブルカメラHDC-3100、マルチパーパスカメラHDC-P43などソニーのシステムカメラが中心に使用されました。

監督
Hiroya Brian Nakano 様
撮影監督
田中 伸吾 様

HDC-3100とHDC-P43を中心にS-Log3で多機種を一体化

今回、HDポータブルカメラHDC-3100とマルチパーパスカメラHDC-P43を使用したのは、横浜みなとみらいの「ぴあアリーナMM」でのライブコンサート収録・配信です。当日は3媒体でライブストリーミング配信を行ったほか、全国でのライブビューイング用の配信も同時に行いました。
カメラ構成としては、客席後方センターにHDポータブルカメラHDC-3100を3台、舞台上のリモートカメラにマルチパーパスカメラHDC-P43を1台、ステージ前のセンターにCineAltaカメラVENICEを1台、クレーンやドリーなどの特機を中心にCineAlta 4KカメラPMW-F55を3台、舞台袖にXDCAMメモリーカムコーダーPXW-FX9を2台、客席中や客席後方の固定カメラにXDCAMメモリーカムコーダーPXW-FS7を4台、ステージ上のDJ用固定仕込みカメラとジンバル用としてデジタル一眼カメラα7sIIIを2台、計16カメで臨みました。制作や配信はフルHDですが、レンズについては、HD制作ではあるものの、少しでも美しく撮りたいということで、全て4K対応レンズを使用しました。カメラの機種こそ様々なものが混在していますが、全てソニーで統一し、S-Log3フォーマットによる共通化したワークフローで撮影・収録を行いました。配信本線は、S-Log3出力にLUTを一括適用する方法をとりました。
当日の運用では中継車を入れており、HDC-3100とHDC-P43、PMW-F55については、光カメラケーブルで中継車と接続し、色調整やIRIS制御については、中継車側からVEさんがリモートコントロールを行いました。従って、一部のカメラ以外は中継車による一般的な中継スタイルでの運用を行っています。

箱型高倍率ズームレンズ対応とグローバルシャッターがHDC-3100の決め手

今回、HDC-3100を客席後方センターカメラに据えた理由は、カメラポジションからステージまで物理的に距離があり、100倍を超える高倍率の箱型ズームレンズを使用したかったからです。HDC-3100は大型レンズアダプターに対応していませんが、レンズサポーター経由で箱型ズームレンズを装着して使用しました。3台のHDC-3100のうち、2台に107倍の4K対応ズームレンズを装着し、残り1台には46倍のポータブル型4K対応ズームレンズを装着して運用しました。
ソニーには、数多くのシステムカメラがありますが、その中でHDC-3100を使用した理由は、F12の高感度であり、階調なども良く、特にグローバルシャッター機能に対応していたことがポイントです。
ライブコンサートでは、レーザーやフラッシュなどの照明演出が多用されますが、ローリングシャッターだと見たままに映らないことがあり、リハーサル時に各カメラのECS (Extended Clear Scan)機能(微調整が可能なシャッター速度設定)を細かく刻んで追い込み、不自然な映り方をしないように予め調整を行っておく必要があります。グローバルシャッターのカメラであれば、見たままに映ります。ライブコンサート用としてはグローバルシャッターのカメラが最適で、HDC-3100はこの点でピッタリでした。

リモコンカメラに適し、小型さと実績が決め手となったHDC-P43

マルチパーパスカメラHDC-P43の使用のきっかけは、2020年11月に、日本武道館で行ったCreepy Nutsのライブコンサート収録時に、制作技術会社からステージ上のタワーカム搭載用として推薦を受けて使用し、小型カメラならではのアングルで撮影でき、システムカメラ同様のオペレーションが実現できることから、「このカメラいいな」と思ったことです。今回はステージ上中央、演者の背後から観客席に向けて設置しました。ステージ上ということで人が入れないこともあり、全てを遠隔操作したかったため、リモートヘッド(雲台)に搭載して設置しました。 HDC-P43は通常のシステムカメラに比べて大幅に小さく、ステージ上に置いても違和感がありません。単に小ささだけであれば、αシリーズなどの選択肢もありますが、レンズ倍率の制約やオペレーション含めた遠隔操作がしづらいこともあり、「システムカメラだけど小さい」ということでHDC-P43を選びました。ライブコンサートにはとても使いやすいカメラです。

ラージセンサーカメラとの混在運用でも威力を発揮

今回使用したカメラのうち、HDC-3100のみがHDカメラで、そのほかは全て4Kカメラしたが、他のカメラに比べて見劣りするようなことはありませんでした。解像感や発色も階調も十分にあり、S-Log3のワークフローで揃えて運用をしている限り、違和感などはなく、想像以上に綺麗でした。
また、HDC-3100とHDC-P43以外は全てラージセンサーカメラでしたが、特にHDC-3100については、高倍率ズームレンズで主に望遠のショットに使用していたこともあり、被写界深度も十分浅くとれ、ボケ味も十分にあり、倍率とボケ味を両立した2/3インチカメラでしか撮れない映像を撮ることができました。
HDC-P43については、観客席を挟んだ2ショットや、スポットライトを当てる1ショットなど印象的な映像を撮ることができました。HDC-P43で撮ったバックショットは画力(えぢから)が強く、パンチがあり、演出上も長い時間を使うことができました。特機だけでなく、ステージ上でも、今後HDC-P43は使っていきたいカメラだと感じました。

リターンやタリーに対応するシステムカメラの安心感

これまで、ライブコンサート収録では、「大きく寄りたい」などがなければ、XDCAMメモリーカムコーダーのPXW-FS7やPXW-FX5、ハンディタイプのPXW-Z280、ジンバル搭載用ではαシリーズ、リモートコントロールが必要になるクレーン搭載や高倍率ズームレンズを使いたい場面では、ショルダー型のXDCAMメモリーカムコーダーPXW-Z450やPXW-X400を使ってきました。
今回、システムカメラを使用した理由は、公演会場内の至る場所に、中継車との間を接続するための光カメラケーブル用の端子盤が用意されており、それを積極的に活用したかったからです。
システムカメラの魅力は、カメラマンにリターン映像やタリーをちゃんと返せることです。カメラマンにはリターン映像をできるだけ見てほしいので、それができるのはシステムカメラならではの魅力です。また、オンスクリーン表示のある出力、ない出力が同時に出せるのもシステムカメラならではのことです。そういった点で、システムカメラには特有の安心感がありました。今回HDC-3100を中心とする構成でしたが、今後は4K対応のマルチフォーマットポータブルカメラHDC-5500なども使っていきたいと考えています。

ラージセンサー搭載のシステムカメラにも期待大

これまで、音楽ライブ制作でシネマ系カメラを積極的に使ってきた理由は「ラージセンサー」を搭載していることです。映像の美しさに加え、ラージセンサー特有の浅い被写界深度を活かし、例えば「フォーカス送り」などビデオグラファーによる表現の幅を広げてくれるからです。シネマカメラがシステムカメラのように使えてほしいという想いもありますが、システムカメラの使い勝手でラージセンサーの映像表現ができればベストだと思います。システムカメラは、多くのビデオグラファーが使い慣れていて、音楽ライブ制作に最も適したスタイルだと思います。
先日、グローバルシャッター機能を有し、Super 35mmのラージセンサーを搭載した新しいコンセプトのシステムカメラ「HDC-F5500」の2021年内登場についてソニーから予告がありました。これはまさに音楽ライブ制作に決定打となり得る商品だと思います。こういったラインナップが揃えば、オールシステムカメラでの収録も可能になると思いますので、とても楽しみにしています。

取材:2021年4月

Creepy Nuts One Man Tour「Katsute Tensaidatta Oretachie」@ PIA Arena MM(For J-LOD LIVE)

HDポータブルカメラ

HDC-3100

※ 価格情報については営業担当にお問い合わせください

商品情報

マルチパーパスカメラ

HDC-P43

※ 価格情報については営業担当にお問い合わせください

商品情報

マルチフォーマットポータブルカメラ

HDC-F5500

※ 価格情報については営業担当にお問い合わせください

商品情報

CineAltaカメラ VENICEを中心に
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【VENICE導入事例】
“Creepy Nuts” One Man Tour「かつて天才だった俺たちへ」

※ラージセンサーカメラサイトへリンクします。

XDCAMメモリーカムコーダー FX9を中心に
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【FX9導入事例】
“Creepy Nuts” One Man Tour「かつて天才だった俺たちへ」

※ラージセンサーカメラサイトへリンクします。