若林:まず、A50シリーズは「A40シリーズからサイズを変えず、むしろ薄く」というリクエストから設計が始まりました。システム構成と音質の観点から基板を小さくすることは難しいため、ボディ表面を削ぎ落としつつ、ボタンは押しやすくすることに苦労していたところ、石崎のアイデアからZX300同様のアルミキャビネットの採用に至りました。私たちはZX300を担当しており、「そのエッセンスをAシリーズにも」という思いから、この形状と大きさ、質感を実現できたと思います。
石崎:高音質のために、小さい筐体と基板をいかに結び付けるかは苦労したポイントです。また、前モデルよりも大きい独立型の操作ボタンを小さい筐体に納めるのは困難でしたが、より高い操作性を実現できました。
若林:手に取ったときの質感や操作のしやすさは、店頭でお客様に驚いていただけると思います。またAシリーズにおいては、音質を求められるお客様と、多機能性を求められるお客様がいらっしゃいます。そのため「ノイズキャンセリング機能」や「外音取り込み機能」、「Bluetooth(R)」や「NFC」などをバランスよく盛り込み、「音質に満足いただき、機能も楽しめる」ことを意識しています。
若林:上位機種のZX300シリーズに採用しているアルミキャビネットは、低域の量感、それからクリア感という音質効果を得られることが分かっています。これをAシリーズに採用することによって、アルミキャビネットの良さというものをお客様にぜひ体験していただきたいと考えました。
石崎:音響としては、ノイズ感が低減されることによって、透明感のあるワンランク上の音になりました。また、デザインの自由度が上がることによって、手に馴染みやすいフォルムを実現することもできました。
石崎:Aシリーズに上位モデルZX300と同様の削り出しのアルミキャビネットを導入するためには、「いかにして加工時間を短くするか」が設計上のいちばん難しいポイントでした。実際、ZX300に比べて加工時間を20%ほどに抑えています。CNCの加工機で刃物によって削っていくのですが、その刃物がどう動いていくか、加工のスピード、刃物の種類ということを常にイメージしながら設計していくことによって、Aシリーズでも削り出しキャビネットの採用を実現することができました。
若林:“グラウンド”と呼ばれている電源のマイナス部分が安定しないと、音の信号を出したときに揺れるんですね。そうするとしっかりとした低域感やクリアな音が出ません。やっぱり剛性感と質量というところで、アルミキャビネットのメリットが活かされるわけです。
若林:膨大な量のマスター音源をAI解析して、曲を自動判別する性能が向上しています。高音域の補完性能を、さらに向上することができています。
若林:今回のポイントはAI機能です。ハイレゾ音源、スタジオ音源のデータベースを使ったアルゴリズムが構築されたAI機能を実装しています。例えばZX300やWM1といった上位機種だと、「スタンダード、女性ボーカル、男性ボーカル、パーカッション、ストリングス」から、タイプを選択して、お客様がお持ちのコンテンツに見合ったアップスケーリングをしていますが、A50シリーズでは、ディープ・ニューラル・ネットワークを使ってお客様が聞いているコンテンツの中身を識別する技術が採用されています。今まではお客様がタイプ選択をしていたものを、自動で最適化するようになったことが、A50シリーズで向上したポイントです。
事前にAI学習をさせたものなので、お客様がコンテンツを入れることで常にA50シリーズが学習していくわけではないのですが、「最適になるパターンを事前に用意した」というのが、今回の進化点です。
若林:「バイナルプロセッサー」があります。こちらはアナログレコードの豊かな音源を再現することができる機能になっています。「高音質無鉛はんだ」は金をわずかに混ぜることで、透明感のあるボーカル、艶のあるクリアな音を再現することができています。また、「Bluetooth(R)レシーバー機能」が実装されています。スマートフォンの音源をウォークマンの「S-Master HX」に飛ばすことで、高音質でお楽しみいただくことができます。
若林:これはアナログレコードの豊かな音源を再現する機能です。CDによるデジタル音源で再生能力はかなり高まったものの、何か物足りなさを感じていました。アナログレコードは、「レコードプレーヤー、人、スピーカー」という位置関係の中で、アナログ音源であるレコードプレーヤー自身が音を出し、それを拾い、さらにはスピーカーにフィードバックされて、豊かさや深みのある音が再現されることを解析しました。
具体的には、トーンアームなどでレコード針が振動している部分や、スピーカーからフィードバックがかかっている音などを盛り込んでいます。ノイズと思われるかもしれないのですが、その微弱なノイズがヘッドホンの初動感度を向上させます。常に振動板が動いている状態で、音に対してレスポンスが良くなる効果があります。
それらの音響現象によって楽器の自然な音色、豊かなボーカル表現、ステレオ空間の広がりなどを実現するのが「バイナルプロセッサー」の理屈です。この機能をONにすることでアナログレコードのような自然でのびやかな音を再現します。ジャンルを問わずお楽しみいただけますので、ぜひお客様のお気に入りの楽曲でお楽しみください。
若林:これまでも「高音質無鉛はんだ」というものを採用してきたのですが、今回は新たに「金」を投入しました。わずかに添加することによって、組成構造が変化します。実際に使っているのは、バッテリーと基板をつないでいる“はんだ”の部分です。こちらに使うことで、ノイズ感やひずみ感のない音を再現させることができます。金をどれだけ添加するかによって音が違うので、試作を重ねて音を聞き比べ、どれが最適かを探るのがいちばん大変でした。
若林:A40シリーズでご好評いただいた「Bluetooth(R)接続」における「LDAC(TM)」も実装していますし、「aptX(TM) HD」にも対応しています。それから「USB-DAC機能」もありますので、有線にはなりますがPCと接続して、PCのコンテンツをウォークマンの「S-Master HX」の音でお楽しみいただけます。また、「Bluetooth(R)レシーバー機能」によって、無線でも接続することができます。スマートフォンの中にお持ちの楽曲もBluetooth(R)の「SBC、LDAC(TM)、AAC」というコーデックを使ってウォークマンのいい音で楽しめるという機能です。
若林:「アルミキャビネット」の、金属の質感と音質を楽しんでいただきたいと思っています。「Bluetooth(R)レシーバー機能」も実装していますので、スマートフォンとの連携を楽しんでいただきたいです。
石崎:上位モデルのDNAを受け継いだ、再生専用機ならではの、上質な音に包まれてもらいたいですね。
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