「TA-DA5600ES」と「TA-DA3600ES」は兄弟モデルですが、「スピーカーリロケーション」搭載の有無という違いがあります。しかし両モデルとも、「A.P.M.」と「HD-D.C.S. フロントハイ」に対応しており、音作りも同じくらいに頑張っています。デジタル放送やDVDなどの圧縮音声を、高音質で再現する「D.L.L.」(デジタル・レガート・リニア)も両モデルに搭載しています。
「D.L.L.」は、PS3 の開発初期に音質作りのお手伝いをしたときに、波形のキズをなめらかにする処理の研究をして原型ができました。それをAVアンプで完成させたもので、可聴帯域外のノイズ成分を除去する技術です。音声圧縮処理(AAC、ドルビーデジタル、DTSなど)や古い時代に録音されたPCM録音(CD)の音質劣化要因を除去できます。ターゲットとして大きいのは、地上デジタル放送やBS放送の音声であるAACです。音質を心配している放送関係の方がその良さを認識してくださり、「ソニーは放送の音を大切に考えている」と感謝してくださいました。
アンプ内の動作ノイズも劇的に減少していますよ。デジタル回路の動作に起因するものですが従来の10分の1くらいになっています。ですから音の解像度感や聴感上のS/N感がとても高まりました。ここ数年はずっとグランウンド回路を改良してきましたが、今回は電源側の改良が大きく進んでいます。この改良は「TA-DA5600ES/DA3600ES」の両方でまったく同じ技術を搭載しましたので、「TA-DA3600ES」は価格以上に"高級"な電源やグラウンドシステムを持っています。
LAN端子は4ポートのスイッチングハブ機能を搭載しています。AVアンプでは世界初*だと思います。アンプにハブが付いているのは利便性アップということがありますが、音質的にはNAS(ネットワークHDD)が直結できるメリットが大きいです。NASはオーディオ機器の位置づけですから、本来直結できるべきものなんですよ。実際PCなどと一緒にLANの経路上に置くのではなく、このハブに直結するととても音が良くなることがわかります。
*マルチチャンネルインテグレートアンプとして世界初。(2010年8月25日現在、ソニー調べ)
「TA-DA5600ES」と「TA-DA3600ES」は、基本的に部品の等級やグレードが違っていますが、音質というのは部品以外で決まる部分が多いものです。そこで今年は回路規模の小さい「TA-DA3600ES」で細かい検討を行い、上位モデルで消化してゆく手法を随所でとりました。上位モデルは複雑ですからね。家に帰ってからも懸案事項を紙に書いき出して、ノウハウを何度も検証をする日が多かったです。
その甲斐あって、「TA-DA5600ES/DA3600ES」ともにすばらしいAVアンプだと胸を張って言えるモデルに仕上がりました。その完成度はひじょうに高いと誇ることができます。皆様に愛してもらえる商品になったと信じています。
そうですね。たとえば、「TA-DA3600ES」を使っていただければ、マルチチャンネルオーディオが初めての方でもその楽しみを知ることができると確信しています。2チャンネルアンプと比べても「あれれ?」というよい音がするでしょう。とくに昔2チャンネルでオーディオをやっていた方が久しぶりにシステムを構築するのなら、最低でも「TA-DA3600ES」を使っていただきたいと思います。スピーカーは4本からスタートしてみてください。サブウーファーは小型でもあった方がいいです。
上位モデル「TA-DA5600ES」は、すでにオーディオファイルとして耳が鍛えられている人でも納得してもらえる音に仕上げてあります。音楽も映画も、これまで体験したことがないような楽しみを得られると思いますよ。「TA-DA5600ES/DA3600ES」で映画・音楽問わず、オーディオを存分に楽しんでいただきたいと思います。