フルデジタルアンプ「S-Master HX」の高情報量・高解像度な音質はそのままに、アナログ回路を用いた信号補正により大出力時の歪(ひず)みやデジタルノイズをさらに低減。ハイレゾ音源の再現性を究極まで高めた「D.A.ハイブリッドアンプ」を新規に開発し搭載しました。
「S-Master HX」は全ての増幅プロセスをデジタル領域で行います。そのため「S-Master HX」は信号劣化のない増幅が可能です。一方でヘッドホンは、600Ωクラスなどインピーダンスが高い、または効率が低い機種が多く存在します。このようなヘッドホンで充分な音量を得るためにはゲインとパワーを必要としますが、一般的に半導体はこれらと高速動作の両立が困難です。「S-Master HX」増幅プロセスの最終段であるMOS FETも同様で、小出力時には理想とするパルス波形を出力することができますが、大出力時には理想波形に対して実際の出力波形にはわずかですが誤差が生じます。このわずかな誤差成分を解決するために、TA-ZH1ESではアナログ回路を組み合わせています。
MOS FETの特性限界によって発生する誤差をアナログ回路が補正する「D.A.ハイブリッドアンプ」では、「S-Master HX」のオーディオパルスドライバーから出力された、理想信号と誤差を含んだ信号をアナログ回路のHot(プラス)側に入力し、一方で「S-Master HX」のプロセッシング部からローパスフィルターを通してアナログ回路のCold(マイナス)側に入力される誤差のない理想信号と引き算することで、誤差を検出し誤差成分を出力します。ヘッドホンのHot(プラス)側に出力される信号は誤差信号を含んでいますが、Cold(マイナス)側にアナログ回路によって検出した誤差信号を入力することで誤差成分が相殺され、理想信号だけをヘッドホンから音として再生します。
「DSDリマスタリングエンジン」と「S-Master HX」を含む「D.A.ハイブリッドアンプ」は、極めて独自性の高いソニーオリジナル技術のため汎用的なDSPでは理想的な処理を行うことが困難でした。TA-ZH1ESでは、FPGA(Field Programmable Gate Array)を使ってこれらの機能を実装しました。FPGAは、プログラミングによって自由に内部のハードウェア構造を設計できるプロセッサーです。FPGAを採用し、これまで以上に理想的な信号処理プログラムを実装することで、「DSDリマスタリングエンジン」と「D.A.ハイブリッドアンプ」の実力を最大限に引き出します。
CDやSACD、音楽配信など、現在の音楽ソースの多くはデジタル信号です。しかしスピーカーを駆動するパワーアンプは、依然としてアナログ増幅方式が使われてきました。入力されたデジタル信号は「DSEE HX」の信号処理をするDSPを経由した後、アナログ信号にD/A変換され、その後アナログでボリューム調整や電力増幅を行います。アナログ方式のパワーアンプは、本来はひずみのが発生しやすい方式です。そのため出力信号の一部を入力部に戻すフィードバック制御などの補正をし、信号の精度を保っていましたが、このひずみの痕跡を完全に除くことはできませんでした。そこでソニーでは長年にわたり蓄積したD/A変換技術を発展させ、デジタルのままパワーを増幅するS-Master技術を開発。S-Masterは、アナログアンプのようなあいまいなひずみがなく、デジタル音源の真の姿を増幅する力があります。
TA-ZH1ESでは入力段でさまざまなデジタルオーディオ信号を受け取った後、音質に有害なジッターを水晶発振器の精度まで低減。次に独自に開発した高精度演算アルゴリズムで、出力段を駆動するオーディオパルス信号を生成します。この信号は、音楽信号をパルスの幅や密度で表現したもの。デジタルデータでありながらオーディオ成分を完全に含んでいます。このパルス信号を、高速かつ高精度に電力スイッチングし増幅を行います。増幅された出力信号はローパスフィルターを経由し、アナログ信号としてスピーカー(ヘッドホン)を駆動します。
ソニーが培ってきた高音質デジタルアンプ技術「S-Master」を、ハイレゾリューション・オーディオフォーマットに対応させた「S-Master HX」を搭載。ハイレゾ音源の再生帯域におけるノイズ除去性能の改善により音質を向上させました。小音量から大音量までディテールを維持した高音質を実現し、迫力ある低音のエネルギー感やスピード感とともに、繊細な空気感までリアルに再現。CDよりも豊富な情報量をもつハイレゾ音源を、心震える臨場感で体感できます。
S-Masterでは、デジタル信号の量子化ノイズのスペクトラムを制御する独自のノイズシェーパー技術を用いて高音質を実現しています。このノイズシェーパー技術により、量子化ノイズを再生帯域の外に追い出し、再生帯域におけるノイズレベルを抑えて高音質を実現します。このノイズシェーパー回路の動作周波数が高いほど、高い周波数帯域までノイズを抑えることができ、回路の次数が高いほど再生帯域内のノイズを効果的に低減できます。このノイズシェーパーは、従来の倍の1.5MHzの周波数で高速動作します。また、高次ノイズシェーパーを用いた極めて高度なノイズ制御により、従来よりも高い再生帯域までノイズレベルを抑え、従来ではノイズに埋もれて再現できなかった信号の高域成分まで忠実に再現することが可能です。
S-Masterは入力されたデジタル信号を高精度に処理。高い時間軸精度をもったオーディオパルスを生成するS-Masterプロセスと、オーディオパルスの電力増幅をするオーディオパルスドライバーに分かれており、数々のオーディオ技術を採用し優れた高音質再生を可能にしてます。
デジタルオーディオではすべてのデータを「0」と「1」で表現され、データ欠落なども誤り訂正によって補正されます。このためデータは劣化することなく正しく伝送されますが、デジタルデータの記録や伝送時に発生するジッターによって、音楽信号波形が正確ではなくなり位相ひずみとして音質を劣化させます。一般的にジッターはPLL(Phase Locked Loop)によるクロック再生法で除去されますが、低周波のジッターが除去できません。こうしたジッターの影響をデジタル領域で除去するのが「クリーンデータサイクル」です。
ここでは純度の高い基準クロックを使って入力されたデータの周期を監視し、データが本来存在すべき時間間隔を高精度に割り出します。この監視は非常に長い時間間隔で行うため、低周波のジッターも除去できます。これにより、音源収録時にA/D変換された直後のフレッシュな音質をそのまま再現できます。ジッターを解消することで重厚で広々とした空気感の表現が可能になり、より生き生きとした再生ができます。
S-Masterのパルス生成回路が出力するパルス信号は高周波ノイズを含むものの、オーディオ帯域はアナログ信号そのものです。このため、パルス出力にジッターがわずかでも含まれることは許されません。そこで出力パルスにジッターを発生させないための技術が「S-TACT」(Synchronous-Time Accuracy Cintroller)です。S-Masterプロセスの最終段となるパルス生成回路は、デジタル演算部分から分離。マスタークロックの直近に配置されます。これによりノイズの影響を避け、同時にマスタークロックを直接送り込むことでジッターの混入を防ぎます。
S-Masterプロセスによって生成された高精度なパルス信号は、パワードライバーによってスピーカー(ヘッドホン)を駆動できる電力をもったオーディオパルスとなります。パワードライバーは、2個のMOS-FETで構成されたディスクリート回路によるプッシュプル電力スイッチです。これを高速でスイッチングすることで、オーディオパワーパルスを出力します。このパワーパルスがローパスフィルターを通ることで、オーディオ信号になります。S-Masterの演算部分がつくり出すパルス信号(A)は、オーディオ成分(B)とノイズ波形(C)に分けることができます。これらの周波数分布はS-Masterの高精度演算アルゴリズムにより、ノイズ波形(C)がオーディオ成分( B )より高い周波数だけで構成されるようになっています。そこでローパスフィルターを通すことで、オーディオ成分(B)だけを取り出せます。
アナログ方式のパワーアンプでは、数10Hzより下の低域で位相が進むのが一般的です。これに対して、S-Master方式は、基本的にDCまでフラットな位相特性です。このこと自体は理論的に悪いことではありません。しかし現在発売されているソフトの多くは、アナログ方式のパワーアンプの位相特性を前提として制作されています。このためフラットな特性のデジタルアンプで増幅した音は、低域の表情が作成されたときと違ったものになることがあります。そこでアナログ方式のパワーアンプと同じ位相特性をで再現するために開発した、低域の位相コントロール技術が「DCフェーズリニアライザー」です。これによりTA-ZH1ESでは、デジタルアンプでありながらアナログアンプに近い十分な低音感が得られます。
※ 「DCフェーズリニアライザー」は本体メニューでON/OFFの設定が可能です
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