■業種:菓子小売(「二木の菓子」の展開) ■用途:店頭サイネージ(商品・サービス案内)
※画像は2016年3月時点
株式会社二木様は、1947年に創業し、1949年に上野・アメ横(アメ屋横丁)に菓子の小売店を出店、いまでは首都圏全域に「二木の菓子」のブランドで店舗網を展開する、食品小売の老舗です。大手菓子メーカーの商品や輸入菓子はもちろん、知名度は低くても質の高い地方の銘菓の発掘や、近年ではプライベートブランドにも力を入れるなど、常時約1万種類といわれる品揃えを誇っています。
「二木の菓子 上野アメ横ビック館」(JR御徒町駅前)は、買い物客で賑わうアメ横の入り口に位置する、「二木の菓子」の旗艦店舗。その店内の入り口近くに、2016年2月初旬から、55V型4Kブラビアのサイネージが稼働しています。
実は同社は、数年前からデジタルサイネージに関心をお持ちでしたが、コンテンツの運用工数が掛けられず更新が滞ることを懸念され、現在まで導入を見送っていました。
導入を検討していた川村耕一常務取締役は次のように話します。
「更新されないホームページのように、同じ情報を流し続けては、お客さまも飽きてしまいます。だからといって必要以上に時間とコストをかけるようなことはしたくない。情報は何といっても鮮度です。どれだけカンタンに新しい情報を取り込めるかが肝心です」
そんな川村常務の悩みに応えたのが、BRAVIA in Businessのサイネージ。動画や静止画などのコンテンツをUSBに格納し、ネットワーク回線不要で手軽にサイネージ運用できることに注目されました。
現場で陣頭指揮をとる大野桂司店長にとっても、その運用の手軽さは大きな魅力でした。
「このシステムなら、手軽に、アットホームなものができます。コンピューターをつなげてなんだかんだやる必要がない。これがすごくウチらしい。作り込んでいる時間はないし、作り込むと嘘っぽくなる。手作り感があったほうがお客さまに伝わりやすいんです」(大野店長)
いま同店のサイネージでは、自社ならびにメーカーCM、外国人向けのご案内などに加え、メインコンテンツとして、大野店長ご自身が出演する商品紹介ムービーを再生しています。来店者はしばしばサイネージの前で足を止め、ほぼ等身大の店長の映像に見入り、商品紹介の熱弁に耳を傾けます。サイネージの近くに、動画で紹介している商品を陳列してあるので、すぐに現物を手に取ることができます。同社は、この商品紹介ムービーを「二木の菓子」の伝統である「手書きPOP」の概念をデジタルサイネージの活用で発展させたものだと位置づけています。
スタッフが真心をこめて手書き作成するPOP。「このお菓子が好き」というスタッフの強い思いをストレートに表現することでお客様にも共感が生まれます。長年のノウハウが蓄積し、いまではひとつのPOPが売上を大きく左右するまでに。この「共感を呼ぶ手作りPOP」の考え方はそのままに、さらに強力なツールとしてデジタルサイネージを活用しようというのです。
「文字のPOPにサイネージを組み合わせて、お客さまに映像と音で感じていただく。試食と組み合わせてもいい。そこに『ホントだ!』という共感が生まれます。これは大きな広がりでありチャレンジです。POPのノウハウを、どんどんデジタルサイネージでも生かしていきたいですね」(川村常務)
大野店長出演の商品紹介は、実はスマートフォンで手軽に撮影されたもの。手作り感にあふれ、手書きPOPに通じる温かみがあります。伝統のPOPに動画・音声を組み合わせて立体的に展開する「新しいPOP」が、顧客との新しく効果的なコミュニケーションを創出していくことになりそうです。
川村常務によると、ブラビアのサイネージを導入して良かったと思うポイントのひとつに、「画質の良さ」があげられるそうです。
「やはり画質はいいですね。絵はビックリするほどキレイです。特に食品などはお客様に美味しさが伝わることが重要。高画質な映像は、食品のサイネージとして向いていると思います。実は導入前は4K画質まではいらないかなと思いましたが、今は、将来のことも考えると4K対応にしてよかったと思います」
そしてもう一つのポイントが、画面のサイズ感。55V型というサイズについて、「大きさはあのサイズがジャスト」(大野店長)という評価をいただいています。
「POPの重要な機能のひとつは、遠くにいる人を呼び込むことです。パッと見たときに、何か動いているな、何だろう、じゃあ行ってみようかと思わせ、まずは中に入ってもらうことだと考えています。サイズはとても重要です」(川村常務)
この点、ラインアップが豊富で、設置場所・条件に応じて選択できるブラビアのサイネージの特長が活かされています。
「外国人のお客さま向けの免税コーナーには『発送はこちらです』『並んでお待ちください』など、多言語で簡単なメッセージのみを流すことも考えているので、そうした用途に小型のサイネージを導入するのもいいかもしれません。使いみちがいろいろ想像できます」(川村常務)
サイネージの運用を開始して以来、大手菓子メーカー各社からサイネージでCMを放映してほしいという相談が次々と来るようになりました。川村常務と大野店長からは、サイネージの活用方法のアイデアが次々と飛び出します。
「季節の商品など、映像にうまく四季を取り入れる。例えばお茶のシーズンなら、抹茶味の商品を特集する。それからトレンド。いまこれが一番いい、中国系のお客様にはこれが一番売れている、など。お客さまに許可いただいて、試食されている場面を使ってもいいかも。フロアマップなら、単純にマップを出すのではなく、音と光を組みあわせて判りやすくご案内する。さまざまな工夫をしていきたいと思います」(川村常務)
さらに「二木の菓子」では上野アメ横ビック館向かい側にある上野アメ横第一営業所にも、サイネージの導入を検討中です。同店には2階フロアがあり、2階という立地上お客様の導線が弱いという課題があるため、1階に設置したサイネージを活用して、お客さまを2階へ誘導するきっかけにしたいというのが狙い。「二木の菓子」のブラビアサイネージの活用は、今後もますます拡大していきそうです。
最後に、老舗の菓子店である「二木の菓子」とデジタルサイネージの組み合わせの意義について、川村常務に聞いてみました。
「デジタルサイネージを導入した根底には、我々は常に時代とともに変化しなくてはならないという思いがあります。そもそもアメ横という土地が、いつも時代に寄り添い、新しいものをどんどん取り入れてきた街なんです。近年ではインバウンドブームで急速に観光地化しました。いまでは中東、タイ、ベトナム、中国、韓国と、各国の料理店も次々と出店するようになり、多国籍屋台のようになっています。そうなると逆に日本人の観光客が集まり出す。日本なのか東南アジアなのかわからないような異質な文化ができて観光地が自然増殖してくる。そんな場所でいつまでも古い形にこだわっていてはいけない。10年後はどうなっているかわからない。こんな面白いことはありません」
変貌を繰り返すアメ横。この地で、BRAVIA in Businessサイネージの新しい活用法が、どんどん生まれてくるに違いありません。