さまざまな色で彩られた美しい壺。この模様は描かれたものではなく、土で作られたもの。色のついた土を組み合わせたり練り込んだりして模様を作る「練上手」という技法です。
千年以上もの歴史を持つ焼物ですが、伝統的な練上には、ほぼ自然のままの土の色を生かした縞模様(しまもよう)や木目 (もくめ)、大理石のようなマーブル模様のものが多く、ここまで多くの色を使った作品はありません。その理由は、土と火と色の微妙な関係にありました。
土は、その色によって性質が違い、収縮率も違います。つまり、色が異なる色の土を組み合わせてひとつの焼き物を作ろうとしても、ひびが入り、割れてしまうことが多いのです。
その練上に多彩な色を与えたのが、人間国宝・松井康成でした。同じ性質の土に金属や顔料を加えて色をつけ、美しく焼き上げることに成功。土と火と色の、最高峰のマジックです。
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萃瓷練上壺「うつろひ」 |
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陶芸家・松井康成の練上手。伝統的な練上の常識を打ち破った、豊かな色と模様に圧倒される。 |
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「同根異色」による製作過程 |
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松井康成本人が作業する様子。同じ種類の土に呈色剤を混ぜて黄・茶・赤などの色をつけ、重ね合わせて形を作っていく。(資料提供:常陽藝文センター) |
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