ソニー株式会社 ブランドデザインプラットフォーム
クリエイティブセンター スタジオ 1
シニアアートディレクター 横田洋明
横田:これまでのブラビアは、余計な要素を消していって、コンテンツだけがそこにあるというデザインを追求してきました。しかし、ブラビア「Z9H」は、上下に配置されたスピーカーや、発熱が大きく薄型化の難しい「バックライト マスタードライブ」など、条件的にはそれと真逆の位置にある製品(笑)。これをどう料理していくかには本当に悩まされました。
そうした末に思い付いたのが、プロフェッショナルが使う機材をイメージしたデザイン。クリエイターが映像制作の現場で使っている機材が自宅にやってきたというストーリーがこの製品にマッチするのではないかと考えました。乗用車ではなくF1カーのように、機能がかたちとしてあらわれているデザインがいいのではないか、と。そうすることで形状を説明しやすくなりますし、逆にそれが凄みになりますよね。
横田:画面の上側にスピーカーがあるテレビはこれまでデザインしたことがなかったので、どうしたものかと悩みました。それなりの大きさがあるスピーカーを上下に配置し、それを自然になじませるにはどうすればいいのか……。
結論を言うと、ブラビア「Z9H」では、2枚の板を重ね合わせ、前面を液晶パネルのベゼル部として、後面をスピーカーとしてずらして配置、これを同じ表現にすることで存在感を消していくという手法を採っています。
横田:今回の設計上の課題となっていた独特なスピーカー配置と、高輝度なバックライトが発生させる大きな熱を逃がす構造をデザインで解決できないかと考え、この形状に行き着きました。イメージの原点は、放熱に利用するヒートシンク(放熱板)やオーディオ機器の開発などに使う無響室の消音チャンバーのような、1つの要素を繰り返していくことで生まれる、機能直結した不思議な美しさ。我々はこれを「Blade Architecture」と名付けました。なお、この刃の部分はアルミで作られており、実際に放熱板としても機能しているんですよ。
横田:なお、この形状にはもう1つメリットがありまして、天井の照明の光を受けた刃の部分が影を落としていくことで、ベゼルが目立たなくなる効果が生まれるんです。従来のベゼルでは光が当たるとそこが白く浮き上がってしまっていたのですが、「Blade Architecture」では光の当たったところが大きく沈みこんで、映像だけが浮かび上がります。長年、テレビのベゼルをデザインしてきましたが、これはこれまでになかった新しい表現になっているのではないでしょうか。
横田:さらにこの製品では背面のデザインにも、「Blade Architecture」のエッセンスを盛り込んでいます。背面キャビネットのネジ穴や蓋の位置に合わせてマス目を区切り、そこに消音チャンバーのように縦横のラインを入れました。実はこれが、背面キャビネットの剛性アップにも寄与し、不要振動が抑えられることで音の安定にも貢献しています。また、脚についても、オーディオ機器のインシュレーターをイメージした円柱を薄い2枚の板で挟みこむこれまでにない形状のものを作っています。これだけ重量級の本体を支えるには相当にしっかりとした脚が必要だったのですが、この形状を思い付いたことで、剛性とデザイン性を両立させることができました。
馬場:なお、ブラビア「Z9H」を始めとする、ブラビア2020年モデルではUIも大きくアップデート。2019年モデルでメニューの開く位置が画面上端から下端に移し、大画面での操作のしやすさを向上させていますが、今回はさらに画質調整時にその効果を視覚的に確認できるガイドを追加するなど、より一層使いやすくなっています。もちろん、ここ数世代で好評なサクサク操作も健在で、速度面でのストレスも全くありません。
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