商品情報・ストア Feature 言葉を紡ぐ人のaudio style Mummy-D(RHYMESTER)/ラッパー
言葉を紡ぐプロに影響を与えるAV機器とは

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音の「真実」をフラットに
伝えてくれるヘッドホン
Mummy-D(RHYMESTER)/
ラッパーが語る
音質とWH-H910N

結成から30年を経てもなお、シーンの最前線を走り続けるRHYMESTER(ライムスター)のメンバーとして、ヒップホップ黎明期から現在までサヴァイヴし続けてきたラッパーのMummy-Dさん。ご自身の音楽制作スタイルや普段のリスニングスタイル、そしてポスト・コロナに向けたこれからの音楽に至るまでお話を伺いました。

演奏として機能する掛け合いを
重視するリリック制作のスタイル

「今回のコロナ禍について、多くの人が発言しているのをニュースで見るたびに、いろんなことが炙り出されたように感じています。さらに、Black Lives Matterが起こりました。こうした社会問題に接すると、やはり自分の言いたいこと、伝えたいことがはっきりとしてきます。曲を制作するときは、まず(宇多丸さんと)2人で何を歌うかをはっきりさせ、タイトルを付けます。それからサビと大まかな曲構成を俺が作ります。「サビまでの1番は俺がこういうことを歌うから、2番は宇多さんがこの先を歌って」といった具合に割り振って、リリック(歌詞)の整合性を高めていきます。でも、同じタイトルに向けたリリックでもそれぞれ微妙に角度が違うことがあって、そのズレが面白いということもあるんですよね。敢えてそうした偶発性に頼るときもあります。昔はお互いにラップの技量を競い合っていたところがあったんですが、今はそういうエゴがなくなってきました。2人の掛け合いがある部分も、それがグループとしてちゃんと機能しているのかを重要視しています。それは、生演奏のバンドと比べるとヒップホップはどうしても演奏感が希薄になってしまうからです。カラオケのように聴こえてしまわないように、掛け合いが演奏として機能している瞬間をどう聴かせるのか想像しながらリリックを作るのが楽しいんです」

誰にでも伝わる言葉で紡ぎ出す
自身のラップスタイルについて

「いろんなタイプのラッパーがいて、言葉選びやリズムの取り方、本人の生き様が出るスタイルやアブストラクトなスタイルとか、それぞれ違う面白さやカッコよさがあるんです。そうした自分とは違うスタイルに憧れることもありますが、俺は理論的に言葉で描写するスタイル。だから、誰にでも伝わるように言葉を大事にしています。言葉が整然とビートに乗ったように聞こえるのはそのせいかも知れません。昔は自分でトラック(楽曲)を作っていましたが、最近は頼むことが多いですね。いろんな種類のトラックを常にストックしておいて、時折スマホにメモっておいたサブジェクト(主題)に照らし合わせるんです。そうして「このトラックにこのサブジェクトがぴったり合う」と思えたときに曲作りがはじまります。サブジェクトは、さっき話したような社会問題になることもありますが、いつもそういうわけではなく、笑えるような内容やふざけたものもあります。俺自身バランス型なんで、どちらかに傾き過ぎないように意識しています」

現在のリスニングスタイルに
ワイヤレス機能は欠かせない

「ライブで音楽を楽しむよりも、録音物の方が好きです。もちろんライブを観て楽しいことはたくさんありますけど、自分にとってライブは、観るよりもやる方が楽しいものなんです(笑)。それから、サブベース(非常に低い周波数の低音)など、録音物でないと再現できない音がありますからね。ヒップホップ好きには、そういう人が多いんじゃないかな。ここ20年くらいジムに通っていて、そのときに欠かせないのがワイヤレスのイヤホンですね。それまでは、コードが引っかかったり外れたりして煩わしかったのですが、そのストレスから解放されたのは画期的でした。それから、夜になるとお酒を呑みながらヘッドホンで、インプットを増やすためにもいろんなジャンルの新譜をチェックしています。酔いが回ってくると、結局昔好きだった80年代のヒップホップをかけてしまうんですけどね(笑)。ここ最近はスマホかPCの音源を、Bluetooth経由で聴くことがほとんどです。忠実に原音を追求するオーディオマニアとは違って、コンプレッションが強くかかった(密度が濃くて迫力がある)音が俺好みなので、“音像”(音が発せられる方向と距離、左右の定位のこと)がしっかりとしたオーディオ機器を選んでいますね」

サブスクがもたらした発見と
音楽との新しい付き合い方

「最近はApple MusicとSpotifyの2つのサブスクを利用しています。今年の誕生日に友人から突然、三線をプレゼントされたんです。けっこう上等なものなんで、売ることも捨てることもできなくて困っちゃったんだけど……(笑)。そうして、サブスクで三線の作品を聴いているうちに発見したのが、“沖縄のジミヘン”と呼ばれている登川誠仁さんでした。ピックを使って速弾きするんですけど、本当にすごい。自分の知らない音楽がまだこんなにたくさんあるんだって痛感させられましたね。そうした新しい発見がある反面、アルバムを通して2回聴くっていうことがほとんどなくなりましたね。次から次へと、新しい音楽が求められるようになり、ものすごい勢いで消費されている気がします。昔は(輸入盤を扱う)レコードショップでしか新譜を買うことができなくて、ジャケットのアートワークからいろんな情報を感じ取ったものですが、今はそういう楽しみ方がなくなってしまいました。サブスクが良いか悪いかは別として、音楽の楽しみ方や接し方がどうしても時代の流れに翻弄されてしまうところがあるんでしょうね」

歴代の愛用オーディオ機器の
変遷にはいつもソニーがあった

「親戚のおじさんの影響で、小学生の頃から音楽とオーディオ機器が大好きでした。小4の頃に初めて買ってもらったオーディオ機器が、ソニーの『エナジー99』というラジカセ(昭和56年発売)でした。あまりに嬉しくて、本当に使い倒しましたね。今やPCとオタクの街になった秋葉原ですが、当時は日本一の電気街で、オーディオショップがたくさんありました。ちょうど、バラコン(プレーヤー、アンプ、スピーカーをそれぞれ好みのブランドで組み上げること。同一ブランドによるシステムコンポの反対)が流行していたので、オーディオショップに入り浸ってました。大学生になってヒップホップにのめり込むようになると、アナログに目が行きましたね。ターンテーブルとミキサー、それからサンプラーなどを買いました。でも、外で音楽を聴くのはやっぱりウォークマンとかディスクマンで、ソニー製品がずっと身の回りにありましたね。他ブランドに比べて、やっぱりデザインがいいし、選ぶときにはソニーしか見ていなかったような気がします。プロになった後もレコーディングで使うヘッドホン(MDR-CD900ST)もマイク(C-800G)もソニー製品ですからね」

利便性と高音質を兼ね備えた
WH-H910Nのインプレッション

「とにかくフィット感がいいことに驚きました。軽くて、長時間着けていても疲れにくいのが気に入っています。使わないときは、折りたたんで小さくなるので持ち運びもストレスがありません。イヤホンタイプと違って、バッテリーの持ちも充分。音質もすごくフラットで、ビシッと音像が捉えられるので自分好みです。最近は重低音を強調するタイプが多いんですけど、そういうのは苦手。やっぱり音は相対的に感じ取るものだから、高音がしっかり出ていないと低音もしっかり聞き取れないんですよね。その点、『WH-H910N』は高音も低音もバランスよく、ヒップホップに欠かせない重低音も過不足なく、しっかり鳴らしてくれるのが気に入っています。自分の中で“良い音の基準”となるリファレンス用の作品がドクター・ドレーの“2001”ですね。最新のアーティストと比べると低音が物足りないかも知れませんが、ヒップホップにおける“良い音の基準”になっています。それから、ドナルド・フェイゲンの“The Nightfly”も余計な音が一切入っていなくて、演奏もめちゃくちゃ上手いし、リファレンス用としては最適ですね。ストリーミング音源でもハイレゾ級*の音質で楽しめる機能(DSEE HX)があるので、今後は是非“The Nightfly”で試してみたいです。これからハイレゾに挑戦しようと思っている人にも対応できる伸び代があるのは嬉しいですよね」

*DSEE HX ON時にCDやMP3などの圧縮音源をSBC/AAC/LDACのコーデックでBluetooth再生する際、最大96kHz/24bitまで拡張(再生機器の仕様によっては圧縮音源をLDACで伝送する場合でもDSEE HXが無効になる場合があります。また、有線接続時は無効です)

便利なアプリケーションと
自然なノイズキャンセリング

「自分好みのパンチのある音質に調整できるのもいいですね。“アプリでそんなことまでできちゃうんだ!”って驚きました。特に気に入っているのが“Excited”というプリセットで、イケイケな気分にさせてくれます。自粛期間中は家事を手伝うことが多くなり、皿洗いのときにこのプリセットを使うと本当に捗るんです(笑)。それから、他ブランドのノイズキャンセリング機能って、気圧が変化したような違和感があるんです。でも、『WH-H910N』はあくまでもクリアで自然な感じがします。ちょっとした会話をしたいときに便利な機能(クイックアテンションモード)とか、周囲の状況に応じて外音を取り込む機能(アンビエントサウンドモード)があるみたいですね。俺はまだ使いこなせていないのですが、今後はじっくりと付き合ってその効果を体感してみたいです。それから、タッチセンサーと1つのボタンで直感的に操作できるのも素晴らしい。ストレスフリーな装着感と簡単な操作で、家の中でも外出先でも気軽に高音質を楽しめるのはありがたいですね」

今後の音楽のあり方について
どんな言葉を紡いでいくのか?

「コロナ以前のことを思い返すと、東日本大震災と原発事故がありました。あのとき、自分を含めた多くのミュージシャンが無力感に打ちのめされたと思うんです。俺らがやっていることって、やっぱり虚業でしかないのではと自問自答してネガティブになったこともありました。3.11後、いろんなチャリティソングが出てきて、それはそれで意義があったと思います。だけど、嫌なことを思い起こさせたり、気が重くなったりして、上手く機能しなかったような気もするんです。でも、今回の自粛要請期間を経て、やっぱり音楽をはじめとするエンターテインメントの力が必要だと多くの人が再認識してくれたことが、3.11との大きな違いですね。しかめ面してコロナのことを歌うよりも、今はみんなが楽しんでくれる曲を歌いたいんです」

PROFILE

ラッパー
Mummy-D

1970年、横浜市生まれ。ラッパー、プロデューサー、役者。ヒップホップ・グループ「RHYMESTER」のラッパー、サウンドプロデューサーであり、またグループの音楽面からアートワークなども含めたトータルディレクションを行う司令塔。1989年、大学在学中に宇多丸と出会いグループを結成。試行錯誤を重ねて曲を作り続け、精力的なライブ活動によって道を開き、今日に至るまでの日本のヒップホップシーンを開拓牽引してきた。また、サウンドプロデューサー、トラックメイカーとしても人気曲を多数輩出。椎名林檎、スガシカオなど他ジャンルのアーティストの作品にプロデューサーとして、ラッパーとして参加している。ライムスターでの意欲的な活動の一方で、ドラマ、CM、舞台などの役者、ナレーター業にも活動の場を広げて好評を得る。

編集:都恋堂 取材・文:川瀬拓郎 撮影:鈴木教雄


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