「『ニーア オートマタ』は人気のアクションRPGで、その音楽もすごく評判がよかったので、ハイレゾで聴くのが楽しみでした。出だしの音を聴いただけで、うわぁ…と、圧倒されますね。とにかく印象に残る音という感じで、一気にこのゲームの世界観に引き込まれます。いろんな楽器が使われているうえに、ボーカルも入っていて、重厚でありながら繊細。なんともいえないほの暗さが漂っていて、どこかノスタルジックでもある。太鼓を叩いているような低音の響きも、とても気持ちよくて。ずっと聴いていられる、まさしく中毒性のようなものがある曲です。岡部啓一さんという作曲家の方がつくられているのですが、ゲーム音楽もついにここまできたのか、と思いました」
「スクウェア・エニックスのさまざまなゲームに使われている音楽を、ジャズにアレンジしているアルバム。この曲は、ビルボードライブ東京で行われたライブでも聴いたことがあるのですが、はじまりのしっとりとした曲調が、途中からアップテンポになって、絶妙なグルーヴが生まれるところがすごく好きで。ゲーム内で使用された原曲もすばらしいけれど、それを知らなくても楽しめる演奏だと思います。今回試聴したほかの曲でも感じましたが、ハイレゾ音源で聴くと、やっぱりアコースティックギターの音がすごくきれい。弦をはじいたときの震えや余韻が、ふくよかに聴こえてきます。アコギの使われている曲を、ハイレゾでいろいろ試聴してみたくなりました」
「『シュタインズ・ゲート』もシリーズ化されていて、人気のあるアドベンチャーゲームですね。見知らぬ世界への扉を開けてしまう自分…。そんな不穏なムードで幕を開けるテーマ曲で(笑)、ドラマチックに加速していく展開も、私はとても好きです。ゲーム機のスペックも進化して、さまざまな楽器を実際に演奏してつくった音源を使うことも多くなりましたが、この曲では、シンセサイザーならではのできることが徹底的に追求されているというか。潔いサウンドが、新鮮に聴こえます。世界観や方向性がはっきり示されていて、伝えるパワーが強い。ハイレゾでは、本当にクリアな音で、その魅力を堪能できると思います。こうした音楽はやはり、ゲーム音楽のひとつの王道ではないでしょうか」
「この曲は、本当に『イース』ならでは。ゲーム音楽として突き抜けている。カリフォルニアの海沿い、パームツリーが並んだ一直線の道路を、オープンカーで疾走しているイメージが浮かんできます。ゲームそのものはアクションRPGで、舞台設定としては太古の世界であったり、主人公はたいへんな運命に翻弄されているはずなのに、こんなにも爽快感のあるロック調の曲が使われていて。そうした独自の世界観に魅了されているファンが、たくさんいるのだと思います。ハイレゾで聴いてみると、思いのほか音がとがっていなくて、繰り返し気持ちよく聴くことができる。サングラスをかけて、スカーフを巻いて。この曲を聴きながら、助手席に乗ってドライブしてみたくなります(笑)」
「自分の作品の中でも最近ハイレゾでリリースした曲ということで、選ばせていただきました。もともとは、私がプロデュースさせてもらっている『ファイナルファンタジーXV』オフィシャルのピアノ・コンサートで、アンコールに演奏していた曲で、「ノクティス」と「ルーナ」という別々の曲をあわせてつくったものです。この仕事をはじめたときには、まさか自分のつくった曲をオーケストラで演奏してもらえるなんて、思ってもいませんでした。いまとなっては、幸運にもその夢のようなことが実現しているわけですが、初心を忘れてはならないと、ときどき自分を戒めることがあります。とくにこの曲を聴くと、いろいろと思い出されて…。数年が経っても、目の前で演奏してもらったときのことが、ありありと蘇ってきて、いつ聴いても感慨深いです」
【下村陽子さんによるトークイベント&ハイレゾ試聴会 開催決定】
下記のソニーストア 2店舗において、下村陽子さんにご登場いただくイベントを開催いたします。下村さんが手がけた楽曲をソニー製品で試聴しながら、さまざまな音のもつ魅力や、作曲家としての音に対するこだわりを、みなさまに感じていただくイベントです。
下村さんが手がけた楽曲をご本人と試聴できる貴重な機会となりますので、ご期待ください。
ソニーストア 福岡天神:7月27日(土)
(1)13:00〜14:00
(2)15:00〜16:00
イベント情報はこちら
予約満席の場合でも、当日立ち見でのご参加は可能です
ソニーストア 銀座:8月3日(土)
(1)13:00〜14:00
(2)15:00〜16:00
イベント情報はこちら
シアタールームでの実施となりますので、予約制です
さらに、ソニーストアの各店舗(銀座・札幌・名古屋・大阪・福岡天神)では、7月13日(土)から8月12日(月・祝)まで、下村さんが手がけた楽曲や、Hi-Res 10 songsで選曲した楽曲をハイレゾ試聴できる展示を実施いたします。こちらも貴重な機会となりますので、ぜひお立ち寄りください。
※音楽配信サイト「mora」で配信されている曲の中から選曲をしています
※「mora」でのハイレゾ商品の試聴再生はAAC-LC 320kbpsとなります。
試聴再生は実際のハイレゾ音質とは異なります
※ハイレゾで聴く場合は「mora」で購入する必要があります
※取材時にはハイレゾ対応のウォークマン「NW-ZX300」、ヘッドホン「MDR-1AM2」で試聴しました
下村陽子(しもむら ようこ) 兵庫県出身。4歳の頃よりピアノを習いはじめ、学生時代を通じて、さまざまな楽器や音楽に親しむ。大阪音楽大学短期大学部音楽科を卒業後、カプコンに入社。ゲーム音楽の制作に従事し、『ストリートファイターII』などの音楽を担当。退社後、スクウェア(現在はスクウェア・エニックス)に入社し、『スーパーマリオRPG』、『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』、『キングダム ハーツ』などの音楽を手がける。2003年より、フリーランスの作曲家、編曲家として活動をスタート。その後も数多くのゲーム音楽を作曲し、2016年に発売された『ファイナルファンタジーXV』ではメインコンポーザーを務めた。現在は、アニメや舞台などの音楽も手がけるほか、国内外においてオーケストラを率いたコンサートの開催も続ける。2019年10月19日(土)には、渋谷のBunkamuraオーチャードホールにて、作曲家活動30周年を記念したオーケストラ・コンサートを予定している。
下村陽子 オフィシャルホームページ
www.midiplex.com/
※本ページに掲載している情報は2019年7月24日時点のものであり、予告なく変更される場合があります
Edit by EATer / Photography by Kiyotaka Hatanaka(UM) / Design by BROWN:DESIGN
DJ Licaxxxさんがハイレゾで聴きたかった10曲(後編)
DJを主軸としながら、ラジオパーソナリティーやウェブメディアの編集長を務めるなど、さまざまな活動を続けるLicaxxx(リカックス)さんが、原点である電子音楽の進化を続ける楽しさを感じれる10曲を紹介します。アーティストのためのサウンドをその手に 『IER-M9』『IER-M7』
ミュージシャンが演奏時に装着したり、エンジニアがステージ音響を確認するために作られているインイヤーモニターヘッドホン。この秋、ソニーが新開発のステージモニター『IER-M9』『IER-M7』。そこに込めた設計者のこだわりを紹介します。開発者インタビュー アナログレコード特有の音響現象をデジタルで再現「バイナルプロセッサー」
「アナログレコードも音が良い」という声が、近年、古くからのオーディオファンだけでなく、デジタル世代の若いファンからも聞かれるようになってきました。そんな中、2018年秋からソニー製品に搭載されはじめたのが、アナログレコード再生時の、音楽をより好ましい音で聞かせる音響現象を科学的に再現した「バイナルプロセッサー」です。単なるノスタルジーではない、その真の高音質を、長らく“音”と向き合ってきた、ソニーのベテランエンジニアが語ります。開発者インタビュー さらにハイレゾに迫った「DSEE HX」が登場
楽曲データが本来持っている情報を予測・復元することで、CDや圧縮音源にハイレゾ品質の臨場感をもたらす「DSEE HX」。この技術が2018年秋、ディープ・ニューラル・ネットワークによって、さらなる進化を遂げました。その進化の詳細を、開発に関わったエンジニアたちが紹介します。