2019.10.23
木工作家の盛永省治さんによる、RX100ダイアリーの後編。7月の盛岡に続いて、8月には熊本のショップで個展が開催され、その出張時に再び美術館めぐりも。休日には工房を離れて、2人の娘さんたちと過ごす楽しい時間も捉えていただきました。気軽にたくさん撮ってみると、想像を超える一枚につながることがある。なにげない普段の光景も、じつはまたとない機会です。
「猫が写っているのは、熊本の『Onthebooks』というショップで、8月に開催した個展のときに撮影したものです。こうした個展があることをお知らせするヴィジュアル用として、自分で作品を撮ることもあって、いつもはスマートフォンで撮っているのですが、今回はこのいいカメラがある!と(笑)。シンプルな背景に作品を並べて、いろいろ撮らせてもらいました。この出張のときは、前川國男が設計を手がけた『熊本県立美術館』も訪ねることができて、やっぱり、すばらしい建築空間ですね。入り口の押し板に、なめらかに削られたプライウッドが使われていたり、細部にいたるまで、本当にかっこいい。木を素材にしたこういうディテールは撮ってみたくなります」
「普段は日曜日に休んでいるのですが、娘たちが夏休みのあいだは、平日に休んで、遊びに連れて行くようにしています。どこに行くにしても、週末より人が少なくて、自由に遊べるのが楽しいですね。そういう休みの日は、サコッシュひとつで出かけるので、デジカメもこれくらいコンパクトなサイズだと収納しやすくて助かります。これだけ手軽だったら、やっぱり一台は持っておきたいと思いました。この風景はきれいだなとか、子どもたちの姿をいま撮りたいなとか。ふと写真を撮ってみたくなるタイミングが、結構ありました。そういうときにもサッと撮ることができて、とても使いやすかったです」
「これは『平川動物公園』に行ったときの写真です。いろんな動物を見られるだけでなく、メリーゴーラウンドや観覧車のある遊園地も併設されています。この空中をクルクル回転するチェーンタワーも、平日ですごく暑かったこともあって、貸し切り状態で乗ることができました。こういうチャンスに、すぐ動画を撮れるのも楽しいですね。簡単に、きれいな動画が撮れるからうれしい。お昼は慈眼寺公園内で、そうめんや名物のじゃんぼ餅などを食べました。こちらの地方では、流しそうめんではなく、そうめん流しっていうんですよ。僕の知る限り、鹿児島市内では、ここのそうめん流しがいちばん美味しいと思います(笑)」
「このころになると、ようやくカメラの使い方に慣れてきました。Aモードで絞り値を選んで、周りをぼかして撮るのも楽しくなってきて、いろいろと試しています。スマートフォンにアプリをインストールして、デジカメで撮った写真を転送できるのも便利ですね。このデジカメのほうが確実にきれいな写真を撮れるので、だんだんスマートフォンでは撮らなくなっていきました。僕の自宅は高台のほうにあるので、天気によっては桜島もバーンと見えるんです。そういう美しい景色に出会ったときにも、カメラを持っていると、ただ通り過ぎるのではなく、これは撮っておこうと立ち止まれる。もともと写真を撮ることは好きだったのですが、カメラを持ち歩くことによって、写真を撮ることの楽しさが蘇ってくるようでした」
【RX100ダイアリー編集部より】
鹿児島の盛永さんの工房で実際に触れることのできた作品は、どこか生き生きとして、それぞれの木のもうひとつのあるべき姿のようでした。「ひとりでつくっている分、素材の力を借りないと」。盛永さんの言葉には、木に対する深い敬意が滲みます。木の特性や状態を確かめながら、絶え間なく柔軟に対応していくことで、はじめて見えてくるかたちがある。そうして見いだされた作品の個性が、数々の写真に鮮やかに捉えられていました。
※盛永省治さんには、デジタルカメラ「DSC-RX100M6」を使って撮影していただきました(インタビュー時の写真は除く)
※本ページに掲載している情報は2019年10月23日時点のものであり、予告なく変更される場合があります
盛永省治(もりなが しょうじ) 木工作家。1976年生まれ。鹿児島県出身。大工、家具職人を経験したのちに独立。2007年、鹿児島県の日置市・東市来町に工房兼ショップとして「Crate」をオープン。当初は主に注文家具をつくるつもりだったが、以前から関心のあった木工旋盤を用いたターニングによるウッドボウルづくりを、YouTubeで見つけた動画によって独学で習得し、その制作に専念するようになる。2008年より、業者向けの合同展示会「FOR STOCKISTS EXHIBITION」に出展。2011年には、カリフォルニア州ジョシュア・ツリーを拠点にする彫刻家アルマ・アレンのもとに2カ月ほど滞在し、創作活動を手伝う機会を得た。現在も「Crate」の工房で、木工作品をはじめとした創作の日々を送り、日本各地のゆかりあるショップやギャラリーで個展の開催を続ける。2020年5月には、サンフランシスコの「Playmountain EAST」で個展を予定している。
盛永省治 オフィシャルホームページ
http://www.crate-furniture.net/
Edit by EATer / Photography by Kiyotaka Hatanaka(UM)[interview] / Design by BROWN:DESIGN
料理家 冷水さんが撮る、日々の風景「RX100 ダイアリー」
旬の食材を活かした、やさしい料理がファンの多い冷水希三子さん。定期的に更新している彼女のインスタグラムには、日々の料理が並び、その料理を楽しみにしているフォロワーの方がたくさんいらっしゃいます。そんな冷水さんがRX100M3を使い撮影した、日々の写真を紹介します。