2021年5月8日に株式会社カプコンから発売された国民的サバイバルホラー最新作『バイオハザード ヴィレッジ』。その登場を記念して、4月末よりソニーストア全店で、その無料体験版『メイデン』とPlayStation®5、そしてBRAVIA XRを組み合わせた国内初のデモ展示を実施中です。徹底的に作り込まれたビジュアル、サウンド、そしてプレイアビリティ……。最新世代のハードウェアによって実現する圧倒的なゲーム体験の価値を本作の開発をリードした株式会社カプコン・佐藤盛正ディレクターにお伺いしました。
東京大学卒業後、アーケードゲームの開発を経て2012年カプコンへ入社。前作『バイオハザード7 レジデント イービル』でのシナリオディレクターを経て、本作『バイオハザード ヴィレッジ』では作品全体のディレクターを務める。中学生の頃に体験した第1作『バイオハザード』からの熱烈なシリーズファンで、スティーブン・キングやディーン・クーンツなどモダンホラーをこよなく愛するホラーファンでもある。
― まずは2021年5月に発売されたばかりの『バイオハザード ヴィレッジ』がどういった作品なのかを教えてください。
佐藤ディレクター(以下、佐藤D):『バイオハザード ヴィレッジ』は「バイオハザード」シリーズのナンバリング第8作に相当するタイトルです。物語的には『バイオハザード7 レジデント イービル』(2017年発売)の正統な続編にあたり、引き続きイーサン・ウィンターズが主人公をつとめます。
前作の事件から妻と共に無事生還したイーサンは、その後、ローズマリー(ローズ)という娘を授かって平穏に暮らしていたのですが、ある事件がおきて娘が連れさられてしまいます。娘を救い出すために単身、謎の村に侵入し、前作以上に恐ろしいものと戦っていく……というのが本作の導入部分となります。
― 前作の正統な続編ということは、ゲームシステムも前作を受け継ぐかたちになるのでしょうか?
佐藤D:前作『バイオハザード7 レジデント イービル』は、「すべては恐怖のために」というキャッチコピーで話題になったように、“恐怖”を前面に押しだしたタイトルでした。対して『バイオハザード ヴィレッジ』は「死に物狂いのサバイバルホラー」をコアコンセプトに、その恐怖をどう乗り越えていくか、どう死に物狂いの体験をしていただくかを重視しています。
そのため、ゲームプレイにおいては前作の倍くらいの種類の敵を登場させ、激しい戦いを感じていただけるようにしました。さらに『バイオハザード4』(2005年発売)を彷彿させるショップシステムを復活。プレイヤーがお金を集めて武器を買ったり、強化したり、あるいは自分自身を強化したりとたくさんの選択肢を設けることで、どのように恐怖を乗り越えていくかを試行錯誤できるようにしています。プレイヤーのスタイルによって“村でのサバイバル”が大きく変化するのです。
― ファンの間では先行して配信されたPlayStation®5用の無料体験版『メイデン』が話題になっています。こちらについてもどういうものなのかを教えてください。
※本インタビューは『バイオハザード ヴィレッジ』発売前に行われました。
佐藤D:『メイデン』はビジュアルやサウンドの進化を実感してもらう事を主眼に置いたデモです。本編のような“戦闘”は味わうことが出来ません。主人公はイーサンではなく、あるお城の地下牢に閉じ込められていた一人の少女、すなわちメイデン(乙女)で、彼女がそこから脱出しようとする物語を描いています。物語の時系列的には本編の前日譚に当たりますね。
― 『バイオハザード ヴィレッジ』本編を切り出したものではないのですね。
佐藤D:そうですね。本編の一部ではなく、独立したショートストーリーとなっています。プレイしていただくと後に本編をプレイした時にニヤリとできる要素も入れ込んでいますので、そういったところもお楽しみいただければ。
― 今回、ソニーストア各店でのデモ展示が実現した経緯についてもお聞かせいただけますか?
佐藤D:『バイオハザード ヴィレッジ』は、シリーズ初のPlayStation®5対応タイトルということもあり、グラフィックスからサウンドまで、かなり力を入れて作り込んでいます。それをできるだけ良い環境、すなわち美しく大画面な最新テレビで体感していただける機会はないものかと探っていたところ、ソニーさんからお声がけいただいて今回のデモ展示が実現しました。
こういう機会はなかなかないので、なるべく多くのお客さまにご覧いただきたいですね。
― 『バイオハザード ヴィレッジ』および『メイデン』におけるグラフィックの進化について教えてください。
佐藤D:今回、ビジュアル表現の進化として最も大きかったのがPlayStation®5において「レイトレーシング」という技術を採用したことです。レイトレーシングとは光の屈折や反射をリアルタイムにシミュレーションする技術なのですが、これをゲームに取り入れることで、城のホールでシャンデリアが床に反射したり、暖炉の炎が周囲に映り込んだりといった表現ができるようになり、空間をよりリアルに、リッチに描けるようになりました。
― シャンデリア自体の質感もさることながら、その周囲の光の反射が凄まじくリアルですね。階段に塗られたニスの質感まで本物のように感じられます。
佐藤D:特にこの城のパートは、光と影、明るいところと暗いところのコントラストを意識的に強調して描いているのですが、レイトレーシングを使ったことで明るいところはより美しくきらびやかに、暗いところはより恐ろしく描けるようになりました。この次世代機ならではのグラフィックはシリーズとしても大きな飛躍であると考えています。
― PlayStation®4世代の作品、たとえば『バイオハザード7 レジデント イービル』でも充分にグラフィックが美しいと感じていたのですが、実際に『バイオハザード ヴィレッジ』の映像を見てしまうと、そのリアリティに圧倒されてしまいますね。
佐藤D:ありがとうございます。僕らとしては前作の時点でまだまだやれるという気持ちが強かったので、今回、さらに一歩先に進めたことをうれしく思っています。なお、『バイオハザード ヴィレッジ』の映像面でのコンセプトは「美しさと恐ろしさの競演」。従来作品では暗くおどろおどろしい闇の部分に注目されがちだったのですが、今作では光の描き出す美しさをしっかり描くことで、そのコントラストを強調したいと考えています。そのためにもレイトレーシングによるリアルな光の再現はどうしても実現したいことでした。
― たしかに薄暗い廊下の中で、燭台の灯りが明暗のコントラストを際立たせているのが美しくも恐ろしいですね。影に何か潜んでいるのではないかという怖さがあります。
佐藤D:あとはキャラクターですね。ここまで主に背景の美しさについてお話ししましたが、『バイオハザード ヴィレッジ』ではフォトリアルといって、人物についても実写に迫るリアリティを追求しており、髪の毛や顔のシワなどを本当に細かく作り込んでいます。これまでこんなにお婆さんの顔のシワを作り込んだゲームはなかったと思うので(笑)、そこもぜひ見ていただきたいです。
― サウンド面についてはいかがでしょうか? レイトレーシングのような、PlayStation®5なればこそのポイントはありますか?
佐藤D:はい。PlayStation®5では、純正の『PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット』など、対応したヘッドセットを使っていただくことで、「3Dオーディオ」を体感していただくことが可能になりました。
― 3Dオーディオとはどういったものなのでしょう?
佐藤D:従来のステレオスピーカーやヘッドホンでは左右の方向、水平方向の音しか表現できなかったのですが、3Dオーディオでは上下も含めて360度の方向から音が聞こえてくる感覚を表現できます。これを受けて『バイオハザード ヴィレッジ』では、音の立体感を感じられるシチュエーションを意図的にかなり作っています。上の階に誰かがいるとか、下から気配がするとか、背後から何かが近付いてきているとか……。『バイオハザード ヴィレッジ』では、PlayStation®5の3Dオーディオ技術を活用することで、これまで以上に上質なホラー音響体験を実現できたと自負しています。
― ソニーのBRAVIA XRで『バイオハザード ヴィレッジ』PlayStation®5用無料体験版『メイデン』をプレイした感想を聞かせてください。ブラビアは開発チームの思い描く世界観をきちんと再現できていますか?
佐藤D:はい。BRAVIA XRは私たちが『バイオハザード ヴィレッジ』でこだわった光と闇の対比を、とてもクリアに表現してくれていると感じました。現場ではふだん、もっと小さな開発用のモニターを使っているのですが、それとはもう全然違いますね(笑)。暗いところが潰れて見えなくなってしまうなんてことはありませんし、明るいところの美しさも大きく底上げしてくれています。もちろん我々も最終的にはきちんとしたテレビに映し出して、アーティストが微調整を行うかたちで厳しく画作りをしていくのですが、そうしたこだわりをしっかり再現してくれているのではないでしょうか。
あと、本作では映像のリアリティを高めるために、これまでの作品と比べてもかなり細かくテクスチャーを作り込んでいるのですが、BRAVIA XRの大画面、4K解像度、そしてHDRの効果もあって、それがしっかりと効果的に再現されています。
― そのほか、BRAVIA XRでのプレイでお気づきになられたことがありましたら、ぜひ。
佐藤D:『バイオハザード ヴィレッジ』は前作に引き続き主観視点を採用しています。そして、主観視点のゲームで非常に重要なのが映像の応答性です。プレイヤーの操作に映像がほんのわずかでも遅れてしまうと、いわゆる3D酔いの原因になってしまうと言ったことがあります。その点、BRAVIA XRはとても優秀ですね。応答性が良く、ふだんよりもかなり近い距離でプレイさせていただいたのですが、全く違和感がありませんでした。
― 3D酔いは応答性に影響されるものなんですか?
佐藤D:はい。3D酔いは操作する人がこう動いてほしいと脳内で想定した動きと実際の画面上の動きがズレることで発生します。現実ではおこりえないことがおきて、脳が酔ってしまうんですね。もちろん、我々はこの問題を非常に重視しており、ゲーム側でも高いフレームレート(1秒間あたりの表示枚数。PlayStation®5版『バイオハザード ヴィレッジ』では4K画質時でも60fpsの高フレームレートを実現しています)と高速応答にこだわっていますが、最終的にはどうしてもテレビ自体の性能にも左右されてしまいますから、ブラビアの応答性の高さはありがたいです。
もちろん、こうした応答性の良さは3D酔い防止以外の点でも有効です。映像への違和感がなくなることで没入感を高め、激しいアクションシーンでより正確な操作を助けるメリットもあります。
― 高速な応答性は、3D酔いしがちな人、ゲームをより快適に没入してプレイしたい人、双方にメリットがあるということなんですね。
佐藤D:その通りです。
― 新型ブラビアの音についてはどのように感じられましたか? 先ほどはヘッドセットを利用した3Dオーディオのお話をされていましたが、ブラビアの内蔵スピーカーでプレイする『バイオハザード ヴィレッジ』はいかがでしょう?
佐藤D:『バイオハザード ヴィレッジ』では環境音を丁寧に作り込んでいて、音の面でもリアルに空間を感じていただけるようにしています。今回、ブラビアの内蔵スピーカーでプレイして改めて思ったのは、あ、こんなに細かく環境音を入れていたんだということ(笑)。それくらいしっかり細かい音まで再現されています。
― 今回プレイしていただいた有機ELテレビ「A90J」シリーズには、画面そのものから音を出す「アコースティック サーフェス オーディオ プラス」という機能が搭載されています。一般的なテレビでは画面の左右や下に配置されたスピーカーから音が聞こえてくるのですが、それらと比べてどのように感じられましたか?
佐藤D:画面から音が聞こえてくるというのはすごいですよね。特にこの窓から風が吹き込んでくるシーンなどはすごくリアルに感じました。
― 『バイオハザード ヴィレッジ』をプレイする環境として新型ブラビアは及第点をいただけた、ということでよろしいでしょうか?
佐藤D:もちろんです! というか開発部に欲しいくらいですよ(笑)。特に新型ブラビアのコントラスト感の高さは明暗の表現にこだわった『バイオハザード ヴィレッジ』という作品にピッタリだと思います。
― 『バイオハザード ヴィレッジ』は、カプコンにとって初のPlayStation®5対応タイトルとなりましたが、その開発を通じて佐藤ディレクターはこのハードにどのような可能性を感じましたか?
佐藤D:ここまででお話ししたグラフィックやサウンドの素晴らしさに加え、ローディングの速さが印象的でした。内蔵SSDの読み込みが非常に高速なため、PlayStation®5版の『バイオハザード ヴィレッジ』にはなんとローディング画面がないんです。CD-ROM以降のゲーム作品は、ローディング時間も含めたゲーム設計が必要だったのですが、PlayStation®5ではそれが不要になります。これは革新的な進化と言えるでしょう。
― 第1作『バイオハザード』(1996年発売)ではドアを開けるアニメーションを挟むことでローディングの長さを感じさせないよう工夫していましたよね。
佐藤D:まさにそれです(笑)。そのほか、従来の作品ではゲームオーバーになるとリトライできるまで、一旦、ローディング画面を挟むことが多いのですが、PlayStation®5では本当にすぐにやり直すことができます。これは本当に素晴らしいことだと思いました。反面、作り手からすると、これまではリトライのローディング時間も織り込んで考えていたテンションやテンポのコントロールを改めて考え直す必要がでてきたので、難しくもあるのですが。
あとはコントローラーですね。PlayStation®5のコントローラーには「アダプティブトリガー」という、L2/R2を押し込んだ時のフィードバックを微細にコントロールできる機能が組み込まれているのですが、『バイオハザード ヴィレッジ』ではこの機能を使って、武器ごとにトリガーの押し心地が変わるようにしています。たとえばハンドガンであれば軽く、ショットガンや重火器であればもっとグッと押し込まなければいけないといった感じです。
― 触感でも臨場感を味わえるというのは面白いですね!
佐藤D:本作はとても多くの武器が登場するので、いろいろお試しください。なお、ここまででお話ししてきたようにPlayStation®5版にはさまざまなメリットがあるのですが、PlayStation®4版でもしっかりと作り込んでおりますので、まだPlayStation®5をお持ちでないという方にも十分に楽しんでいただけます。また、PlayStation®4版からPlayStation®5版へのアップデートは無償です。セーブデータもそのまま引き継げるので、攻略中にPlayStation®5を購入できた場合も追加費用不要でそのまま乗り換えていただけます。
― PlayStation®4版とPlayStation®5版を比べてみるのも面白そうですね。
佐藤D:そうですね。そういう楽しみ方もありだと思います。最新世代のゲーム機がどれくらい進化したのかがよく分かりますよ。
― 最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
佐藤D:我々が約4年間取り組んできた『バイオハザード ヴィレッジ』をやっと皆さまのお手元にお届けできることになりました。どなたにでも楽しんでいただける最高のサバイバルホラーに仕上がっておりますので、ファンの方はもちろん、これまでバイオハザードをプレイしたことがないという方にもお試しいただきたいですね。イーサン・ウィンターズとなって、この恐ろしい村を散策、探検してください。本当に細かいところまで一生懸命作り込みましたので、開発者としてはBRAVIA XRのようなより良い環境でプレイしていただけるとうれしく思います。違いが気になるという方はぜひ、ソニーストア各店で行われているデモ展示をご覧ください!
認知特性プロセッサー「XR」搭載ブラビア最新モデルはゲームプレイ環境としても最高の体験を提供。息をのむ映像美、臨場感溢れるサウンドに加え、4K/120Hz入力対応&最短8.5msという業界トップクラスの低遅延*を実現するゲームモードによって、これまで以上に快適なゲームプレイを約束します。
* 4K/120Hz入力時での計測結果。実際の遅延時間はプレイするタイトルや使用環境によって変わります。『バイオハザード ヴィレッジ』および『メイデン』は4K/120Hz入力に対応しません。
現在、ソニーストア全店で「バイオハザード」シリーズ最新作『バイオハザード ヴィレッジ』のPlayStation®5用無料体験版『メイデン』をデモ展示中。BRAVIA XRの美画質・大画面で、話題の恐怖体験をお楽しみいただけます。体験版プレイデモのほか、『バイオハザード ヴィレッジ』本編の最新PV映像も放映中。
新型コロナウイルス感染症拡大防止・予防対策として
・ソニーストア 銀座は2021年5月12日(水)から当面の間、予約制 にて営業をいたします。
・ソニーストア 大阪は2021年4月25日(日)から当面の間、臨時休業といたします。