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クローズアップでぐっと迫ったら、次にちょっと引いて、「一輪の花」を写真にしてみます。細い茎の先に花をつけるコスモスには、頼りなげながら、凛としたすがすがしさがあります。一輪の花を主役にする場合は、人物のポートレートのように、メインの被写体が引き立つ背景づくりが腕の見せどころ。花が生きるような、美しい背景の演出を工夫するのは、写真の大きな楽しみのひとつです。
主役となる一輪を見つけたら、下から、斜め横からと、さまざまな角度から見てみましょう。見る角度によって、新鮮な表情が生まれます。背景は、人物のポートレートと同じように色味を抑えシンプルにまとめることが、主役を引き立たせるコツです。
また、この場合でも構図の基本は3分割。画面のどのあたりに花を配置するかで、印象が変わります。横位置ばかりではなく、縦位置でも撮りましょう。
「一輪を撮る」場合は、背景と主役との対比が顕著になる分、「構図の3分割」をより強く意識して構図を決める必要があります。
背景のボケは、単に後ろにあるものを見せないようにする、というだけではありません。そこにある色や形を、絵づくりに積極的に生かしていくことも考えます。
背景は主役を引き立たせるものでなくてはなりませんが、単色の無地では面白みに欠けます。同じ被写体でも、カメラの位置をほんの少しかえてみましょう。背景に写っているものや光の加減で、イメージが変わります。背景の工夫により、その場の空気を感じさせるような臨場感が生まれてきます。