手ブレ補正と並んで、“α700”の価値を高めているのは、Dレンジオプティマイザーです。
“α100”にもあったこの機能、今回はもう、すばらしい!というレベルにまで熟成されています。ちなみに、「オプティマイザー」とは、「最大限に生かす」という意味。「Dレンジ」というのは「CMOSセンサーが被写体から取り込んだもっとも明るいところから暗いところまでの範囲」ということです。それを全部生かして写真に再現する機能です。
みなさんも経験していると思います。夜景を撮るときに。ネオンってすごく明るい。だからネオンに露出を合わせると、
(1)のように夜景が暗い。じゃあ、夜景が出るように露出を調整すると、
(2)のようにネオンがとんじゃう。よく経験しますよね。
さあ、今度はDレンジオプティマイザーをONにして撮ってみたのが
(3)です。夜景も出ればネオンも出る。すごいですね。これはアドバンスレベル3。どういうことかというと、(Dレンジ)オプティマイザーの効果5段階のうち、ちょうど中間にあたります。
自然の風景にも、明るさの差が激しい場合があります。
(4)の空は単に白く見えます。実際は、ここには雲が浮いていて、さらに雲には諧調があります。目には見えているのに、写真に撮ると白くとんでしまう。一方、手前のしだの葉っぱも、目では見えているのに、写真にすると黒くつぶれています。
そこで、Dレンジオプティマイザー/アドバンスレベル3で撮ると、雲のトーンが出てきました。薄い水色の空も現れてきました。手前のしだの葉っぱのシャドウ部分も出てきました。フィルムで写真を撮る場合、カラーネガで撮影してフイルムスキャナーでトーンをゆるくしてスキャンすると、暗い部分を明るくすることができます。ただしそれは明るくはなっても、全体にコントラストの低い「ネムい写真」になってしまう。Dレンジオプティマイザーは、暗すぎる部分だけを明るくする、という点で、それとは違うものです。
さあ、もう一枚。これが一番効果を実感できますよ。暗い山肌と、明るい空。
(6)のように手前の山肌の紅葉を出そうとすると、空は真っ白です。反対に空の雲をちゃんと写そうとしたのが
(7)で、山は真っ暗です。これがいままでの写真。
(8)がDレンジオプティマイザー/アドバンスレベル5で撮影した写真です。これはすごい! 空は青く雲は白く、手前の紅葉もしっかりと出ています。印画紙の場合、一番明るい白から一番暗い黒の範囲は、露出でいうと6段階に当たります。写真というのはこの範囲でしか表現できない。これは写真の宿命ともいえる。カラーネガフイルムで撮ると、明るいところも暗いところもネガには写っているのに、プリントすると暗いところが黒くなってしまう。暗い部分のコントラストを再現しようとすると、白い部分がとんでしまう。ところが、今回の“α700”は、明るいところも暗いところも見事に再現できるんです。
さらに、
(10)のような写真も可能になります。逆光気味で、空の色は青。紅葉の色も明るく出ている。普通は
(9)のように撮れるわけで、
(10)のような写真は、目ではこう見えていても、今まで撮れなかったのです。