コミュニケーションが大切

70-200mm F2.8Gの組立リーダーです。作業員みんなの様子や、やりづらそうなところがないかを見て回ります。 手順の工夫や部品の配置など、ちょっとしたことで作業が随分やりやすくなり、製品の品質も格段に上がりますから…。

適性を見極めて

作業者には、得手不得手もあります。 レンズのホコリが見える人、ハンダがうまい人、手感の優れた人…手感というのは、手の感覚です。 例えば、70-200の工程にはズーム機構があります。 隙間を10µmオーダーに抑えた高精度現合部品を使って、外筒に内筒を嵌め込みますが、組んだあとの動きの重さやスムーズさが微妙に変わります。 機器で測定しても検出できないレベルの差ですが、手感に優れた人はこの差を見極め、的確に調整することができます。作業者の能力・適性を見極めて、適材適所に配置することも私の重要な仕事。メンバー全員が力を発揮できるように気を配っています。

今、モチベーションは最高です

G レンズの組立は緊張します、すべての工程で質の高い作業が必要ですから…。 この部分の締め込みがしっかりできていないとお客様が使われるときにこういう操作感触になる、とか具体的に示して、自分のパートの大切さを意識するように指導しています。 メンバー全員が全体の工程を理解して作業すると、品質へのモチベーションもあがります。 みんなが、「さすがはソニーのレンズ」と納得していただけるようにと、ひとつになります。

完成まで、一人で全部…

Gの300mmを担当しています。絞り羽根の組立からMRセンサの組み込み、内筒や鏡筒の組立、それぞれの調整・検査、完成まで…。 一人で受け持ちますからやりがいがあります。

300mmの難しいところは、つねに最高レベルの精度を出さなければならないところです。 もちろん、部品すべてが高品位・高精度で厳しい規格をクリアしていますが、組み合わせていけば、わずかな許容誤差の部分が積み重なって、ヤンチャな子に育ってしまうこともあります。状態を見ながら、細かく調整をして、育て上げます。ボタン一つを取り付けるにも、たくさんのボタン部品の中からベストな組み合わせのものを選んで使うようにしています。「規格内だから」って割り切って考えることはできません。本当に「育てている」っていう感覚です。

その瞬間を想像しながら…

いつも心がけていることは、お客様が手にしたときの感動です。 300mmは手軽に買っていただける価格ではありません。 悩んだあげくに、清水の舞台から飛び降りるような気持ちでご購入してくださったと思います。 だから、手にしていただいた瞬間に「さすが！」って感じていただけるよう、感触の一つ一つを確かめながらつくっています。 もちろん、画質・描写力にも驚いていただこうと、検査・調整も納得いくまで繰り返しています。

明日も頑張ろう

1本1本、心を込めて育て上げた子たちですから、お客様に使っていただいているシーンに出会ったときは、ヤッターッって感じです。 難しい部分も多いので、他のレンズのような数は組めません。 だから、まだ数は少ない。 でも、育った子たちはお客様に可愛がって頂いている。 安心すると同時に、明日も頑張ろうって気持ちが引き締まります。