現在放送局や業務用に使われている記録メディア商品には必ずID(Identity)ホールという穴が記録メディア製品のシェルの裏側には必ずあります。このIDホールの役割は、Vtrに記録メディアを挿入した時に、Vtr自体が「どんな種類のメディアか?テープの厚みは?」を自動的に識別するために、フォーマットを決定する時に決められる約束事として盛り込まれます。
記録メディアは一見するだけでは、あまり外観の違いはありませんが、実は記録を担当する磁気テープなどは技術的に大変異なっており、誤って使用されると大変なトラブルが起こります。
それを避ける為にVtr側ではIDホールによってフォーマットを認知して、その対応メディアに対して最適な記録電流や再生時の最適イコライザーを設定する仕組みになっており、そのフォーマットとしてベストな記録と再生が出来るようになっています。
また、アナログのベータカムオキサイドテープで見られるように、分数によってテープの厚さが異なる場合が有ります。
この場合は、Vtrのテープの走行系にかかるテンションを最適に保つことで安定した走行性や信頼性が確保されます。
デリケートなテープを守るためにもこのIDホールは活躍しています。
最近はマルチフォーマットのVtrが多くなって来ましたので、益々このIDホールは大切になっています。
昔のオーディオテープの時代では、ノーマルポジションやハイポジション、メタルポジションなどがあり、それぞれのテープ特性を識別する機能がカセットに付いておりました。
オーディオに詳しいの方々の間では、更に特性を引き出す為に、ハード側でバイアスの調整などをしていました。
プロユースのVtrでは、各フォーマットの特性を最大限に引き出す為にIDホールが細かく設けられ、Vtrが自動認識し、さらに出力レベルの調整を行う為の機能が搭載されております。
ソニーのマルチフォーマットVtrは、全てのフォーマットが最高の画質で再生出来る為の機能が施されており、IDホールもその機能を補う重要な意味を持っているのです。 |