ソニー製品情報
地域密着のメディアとして多くの人に親しまれている、ケーブルテレビ局のコミュニティチャンネル(コミch)。そこで放送される番組は、人気のお店の紹介から行政情報までさまざまだが、その中でも地元のイベントなどのライブ中継番組は非常に人気のあるコンテンツだ。
しかし準備などでスタッフに多大な負担がかかるため、手軽に行うことが難しいのが現状だった。そこに、ライブ中継の常識を覆す強力なソリューションが登場した。ソニーのライブコンテンツ・プロデューサー『Anycast Station』だ。
日野ケーブルテレビ(株)
放送部課長代理の宮崎敦氏
大手通信事業者が次々と映像サービスに参入してきている現在、ケーブル業界は大競争時代に入ったと言われている。そのような状況において、ケーブル事業者が他事業者よりも優位な点としてよく挙げられるのが「地域密着」。地域に根ざしたサービスを提供することで、他事業者との差別化を図るものだ。
そんな地域密着サービスの中で最もポピュラーなものと言えば、やはりコミchだろう。そして多くのケーブル局が「地域密着」という優位点をより明確にするために、コミchの強化に努めている。
ではコミchの強化とは、具体的にどのように行われているのだろうか。ケーブル局の規模や地域特性などによって違いはあるが、その手法のひとつとして「ライブ中継の強化」を挙げることができる。
日野ケーブルテレビ(株)(東京都日野市、亀田稔夫社長)は、年に2〜3回のライブ中継を実施しており、「ひの新選組まつり」などのライブ中継で好評を得ている。ライブ中継は収録番組に比べて視聴者からの反響が大きく「取材先や営業先、はがきなどで数多くの反響が返ってくる」と、同社放送部課長代理の宮崎氏は語る。それだけ、コミchのライブは地域の人々に注目されているコンテンツなのだ。
だがライブ中継は、コミchを制作するスタッフに大きな負担をかける。現場に重くてかさばる機材を搬入してセッティングし、さらに収録後には撤収作業と、実際にライブ中継を行おうとすると、準備などで丸1日がかりとなってしまう。そのため、比較的少人数で制作をしているコミchにとって、「ライブ中継の強化」というのは意外と難しい。
その高性能から、日野ケーブルテレビでは
ニュース番組収録などにも
『Anycast Station』を利用している
もし、中継のためのセッティングがあっという間に終わるのならばどうだろうか? 中継機材が片手で持てるほどコンパクトで軽量ならばどうだろうか? そんな、ライブ中継の「もし・・・ならば」を実現するのが『Anycast Station』だ。
アタッシュケースほどのボディにビデオスイッチャーやオーディオミキサー、モニターなどを詰め込んだ、ライブ中継でその能力を最大限に発揮するこの機器。非常にコンパクトで持ち運びは容易、中継のセッティングも驚くほど短時間で行うことができるオールインワンのシステムだ。
宮崎氏は昨年の「ケーブルテレビ2004」で『Anycast Station』を見て衝撃を受け、すぐに導入を決めたという。「以前は、ライブ中継をする時々で機材をレンタルしていました。ミキサーやモニターなどを机2つ分ものスペースに並べて行うセッティングは、中継当日だけで半日程度の時間が必要だったんです。機材チェックなどに時間がかかり、ようやくセッティングが終わったのが本番30分前、ということもありました。しかしこの機器の導入後、セッティング時間は劇的に短くなりましたね。今では30分〜1時間程度でセッティングすることも可能になっています」。
またレンタル機材だと常に同じ機種を借りられるわけではなく、操作に不安を感じることもあったそうだが、今ではその不安もなくなり、安定したオペレーションができているそうだ。
日野ケーブルテレビ(株)
放送部主任の川又実氏
こうした『Anycast Station』のセッティングスピードの速さをいかしたライブ中継が、今年の「ひの新選組まつり」の中継で行われた。同社では屋外会場と屋内トークショー会場の2カ所からライブ中継を行なったが、「これまでならば中継機材を2セット用意し、2会場にセッティングしなければなりませんでした。しかし今回は各会場にカメラ等だけを用意。あとは『Anycast Station』1台を会場間で行き来させて使用し、中継を行うというスタイルをとりました」と、放送部主任の川又実氏。『Anycast Station』だからこそ可能な中継スタイルだろう。
また、この機器の利用シーンはライブ中継だけとは限らない。コンパクトなボディに搭載された機能は持ち運び可能なサブスタジオと言えるほどであり、直感的に使用できるインターフェースは操作性が高い。そのため、『Anycast Station』は複数カメラを使用したポータブル収録用途でも十分利用することができるのだ。実際、同社でもサブスタジオを編集などで使用しているときは、しばしば代替として『Anycast Station』を使ってニュース番組の収録を行うそうだ。
「ライブ中継は大変なものだという意識がありましたが、この『Anycast Station』を導入したことでそれがなくなりました。この変化は非常に大きいですね」と宮崎氏。逆に今後は「この機器のフットワークの良さをいかして、ライブ中継を増やしていきたいですね。たとえば学校の昼休みなどを利用して、週替りで市内の学校からライブ中継を行うといったこともやってみたいです」。
『Anycast Station』はコミchにおけるライブ中継のさまざまな問題点に対応するだけでなく、その利点を最大限に活用することで、コミchとそのスタッフに、「ライブ力」とも言うべきライブに対応する力と、フットワークの良さによる「スピード感」を与えてくれる。この「ライブ力」と「スピード感」は、コミchの新たな魅力のひとつとなるはずだ。コミch強化のためにも、さらにそれを通じて「地域密着」を進めるためにも、『Anycast Station』の存在は今後ますます大きくなりそうだ。
(C)月刊「B-maga」2005年9月号掲載記事
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